第四章 35
休み時間にもう一度レイラに会ってから、ロザイルと共に父の働く鍛冶場へと向かった。
「父さん行くね、今度はいつ戻れるかわからないけど、必ず帰ってくるから」
「わかった、2人とも気をつけて行きなさい」
「父さん、1つ聞きたいことがあるんだけど、僕が小さい頃に母さんは僕をどこかに連れて行ったと思うんだけど何か覚えてない?」
「お前の小さい頃か・・・そういえばワルムの西にあるザハの丘にはよく遊びに行っていたな」
「ザハの丘?」
「うん、母さんはザハの丘に行くのが好きだって言っていた、父さんと2人では1度も行ったことは無かったんだけどな」
「レイラを連れては?」
「いや、レイラが産まれてからは行ってはいないんじゃないか、行ったと聞いた記憶がない」
「そう・・・ありがとう」
「何かあるのか?」
「夢に見たんだ、母さんに手を引かれてどこかに行った夢、どこか気になっただけだよ、ありがとう、じゃ行くね」
ラミルはそう言ってロザイルと共に鍛冶場を出ると、ロザイルに話しかけた。
「ロザイル、ちょっとザハの丘に行ってみたいんだ」
「なんで?」
「さっき話した夢だけど、お前に見せたい物があるって母さんが言っていたんだ」
「見せたい物?」
「うん、母さんは自分がジゼルの末裔、レミルの末裔だということを知っていたんだと思う、そして、それを僕に伝えようとしていたんじゃないかと思うんだ、だからザハの丘には何かあるような気がするんだ、もし嫌なら馬で先にザハールに戻っていてもいいよ」
「いいよ、一緒に行くよ、ラミルが気になっている物がなんなのかも知りたいし」
「そうか、遠回りしてごめん、でも確かめておきたいんだ」
2人はザハの丘の麓まで来たが丘へ上がっていくための道や階段が見当たらない。
丘の麓に沿うように小川が流れていて、人が跨いで渡ることが出来るような幅ではないので丘に近づくこともできず、渡れそうな場所を探しながら小川に沿って馬を歩かせていると大きな丸太が橋のようにかけられている場所を見つけた、馬を降りて引いて渡った。
丸太橋を渡った先を少し歩いていくと草木に覆い隠された階段が見えたので近くの大きな木に馬を繋ぎ、ラミルは階段を覆い隠している草木を払って階段を登り始めた。
ロザイルもラミルの後について階段を登ろうとしたが、ロザイルは階段に近づくことすらできない。
「おいラミル、どうやって入ったんだ、僕は入れないぞ」
「えっ?」
(ラミル、ジゼルの跡と同じ呪文じゃないか?だから僕たちは入れるんじゃ)
(そうか、きっとそうだな)
「ロザイル、ここには呪文がかけられているみたいだ、僕はジゼルの末裔だから入れるけど、君は立ち入ることができないらしい、申し訳ないけどそこで待っていてくれ」
「そんな呪文もあるのか・・・わかった、ここで待っているよ、早くしてくれよ」
「わかった、じゃあ行ってくる」
ラミルは石が置かれただけの細い階段を登っていった。




