第四章 31
ラミルが走って外に出るとそこには多くの兵士を連れたザギルの姿があり、ロザイルはすでに月の槍を構えている。
ラミルは剣を抜いてロザイルの側に駆け寄る。
「ロザイルやめろ、こいつがザギルだ、魔力を使うぞ」
ザギルがラミルを見てニヤリと不敵に笑った。
「また会ったな、ラミル、この前は油断したが今度はそうはいかないぞ」
「ここへ何しに来た、ガルディアがここを荒らして何も残っていないのに」
「お前には関係ない、ただ、またお前と会えて嬉しいぞ、ここがお前の墓になるのだからな」
(ロザイルに催眠術をかけられたら大変だ、その前になんとかしないと)
「お前ら2人とも相手になってやる、ラミル、この前の雷など私には効かんからな」
「効かないかどうかはわからない、あの時はたまたま避けられただけだろ」
「どこまでもこの私を愚弄するのだな」
「悪魔に魂を売った奴が元衛兵だなんて戦士として恥ずかしい、あなたがあの時、みんなを欺くような真似をしなければ別に愚弄することなど無かった」
「うるさい、あの世に送ってやるから覚悟しろ」
ザギルが右手を翳さずに呪文を唱えはじめた、ラミルはすぐにロザイルを庇うように前に立って盾をザギルに向けると、盾が青白く輝いてザギルの呪文を吸収して何も起こらない。
「なぜだ、なぜ魔力が効かない・・・」
「ラミル、どいて」
ロザイルがラミルの背後で槍を構えて叫んだ。
ラミルが体をずらした瞬間、ロザイルは槍をシチラの兵士たちに向けて突き出して叫んだ。
「フィード!」
ラミルはロザイルの槍先から放たれた凄まじい冷気を感じながら敵の方を見ると、槍を向けられた兵士たちは一瞬で凍りついて動けなくなり、それを見たザギルは驚いた。
「なに、それは月の槍か、それを使いこなせる奴も一緒だとは、どうやら今のうちにお前たち2人を倒しておかねばならないようだ」
(ロザイルやるな・・・本当に使いこなせるようになったみたいだ)
「ロザイル、残りの兵士を頼む、俺はザギルを倒す」
ラミルとロザイルは二手に別れ、ロザイルは槍の術を使うことなく兵士を次々と倒していく、一方のラミルはザギルと剣を構えて睨み合い、どちらも攻撃する隙を見ている。
ラミルには魔力が通じないと悟ったザギルは剣を握り締めて間合いを詰めはじめ、ラミルも盾を構えて間合いを計っている。
ザギルが先に攻撃を仕掛けるとラミルは盾で払いのけて剣を突き出して応戦する、しかしザギルの動きは速くてラミルの攻撃は当たらず、続けてラミルが攻撃してもザギルの盾に触れることすらできない。
一進一退というよりザギルの方が速さで勝っていて、ラミルは致命傷を受けていないが力と速さで一方的に攻め込まれている。
ロザイルが兵士たちを全滅させてラミルに加勢しようとしたが2人の速さと雰囲気にのまれて槍を構えたまま動けなかった、しかし、ロザイルが自分に向かって槍を構えている姿が視界に入ったザギルは一瞬ラミルから気を逸らしたためラミルはその隙に攻撃したが、それも簡単に避けられてしまい、ラミルが振り上げた剣は弾き返されてよろけるように大きく体制を崩した。
(しまった・・・)
ザギルがそれを見て素早く剣を振りおろしてきた、ラミルは必死に盾でかわそうとしたが、今度は盾も弾き飛ばされ、崩れた体制のまま地面に倒れた。
(やられる・・・)
「フィード!」
ロザイルがザギルに向けて呪文を叫んだ。




