10月15日-4 俺の目的が叶う
ああ、こいつはこんなやつだった。
関わる機会が最近はほとんどなかったせいで、ルエがどんな性格であるか忘れていた。
学生のころ嫌というほど思い知ったというのに、時はそんな記憶まで風化させていたらしい。
その発言を受けて冷静であれる私の方が正常でないわけで、当然レミは憤慨していた。
「対等に話す気になったと思ったら……予想通りのクズね」
ルエの顔色は変わらない。
「対等に話そうとはみじんも思っていない。すでに対等な立場じゃないからだ。替えのきくお前らと違って、俺はこの研究の根幹に携わっているんだからな」
「それにしても、もうすこし誠意みたいなものはないの?」
「あくまでこの状況ではな」
私の苦言もまるで意に介さない。
こうなると頑固だし、ここで言い争えばより不利になる可能性がある。
私はレミを制止した。
「レミ。癪だけど話だけは聞いてみよう」
レミは力いっぱい眉をひそめている。
「話がなるべく遠回りしないよう、脅迫という言い回しを選んだ。結果的にはそうなるわけだし、そこをオブラートに包む必要もない」
ルエはイスにふんぞり返り、こう続けた。
「俺はお前らの弱みを握っている」
「こっちの計画が知れ渡ってるんでしょ。上の連中に」
「意外かもしれんが、そうでもない」
レミの発言にルエはにやりとした。
「俺はだいたい知っている。しかし所長やリーダーは、お前らの挙動を怪しんでいても、確信を持ってはいない。計画を知ったのなら、その日のうちにお前らは消されるだろう。だがそうなっていない。その理由がわかるか」
「……気味が悪いわね」
レミの言葉には同感だ。
いや、こいつなら最初から計算で……。
「あんたの目的に私たちを利用するために、わざと情報をキープしているってこと?」
「おおむね正解だ。ま、利用しようと考えついたのは結果的な話だがな。最初からその目的があったわけじゃない」
「どっちにせよ気持ちのいい話じゃないわね」
レミはそう吐き捨てた。
しかし、続くルエの言葉は意外なものだった。
「だが悪い話でもない。全面的に協力するのなら、お前らの計画を手伝ってやっていい」
私は目を見開いた。
「あんたに何のメリットが……」
「俺の目的が叶う。それだけだ」




