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晴れ女と雨男が恋に落ちたら。  作者: 縁野むすび
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晴れ女

「待ってて、みんな!今助けるから!いけっ!○○チュウ!キミに決めた!」


私は赤と白のボールを投げる。

中からは、黄色いモンスターが出てくる。


「よし!今だ○○チュウ!10万ボルト!」



『ピピピッ、ピピピッ…』


…なんかいつもより変な鳴き声だな。

いやいやとにかく今はあの魔女に囚われたみんなを助けなきゃ!



『ピピピッ、ピピピッ…』


…だから鳴き声が変…ていうかこの音どこかで…


…あ。




『ピピ ((ガシャッ!!!』


どうりで聞いたことがあると思ったよ。

だって私の目覚まし時計の音なんだから。



「あー…またあの夢だった…」


私は小学校の時から同じ夢を時々見ている。

内容は、○○モンマスターになる夢という、何とも小学生らしい夢である。


そして高校2年生になった今まで、一度もみんなを助けられたことは無い。


まだ明かりも点けていない部屋のベッドから起き上がり、青い無地のカーテンに手を伸ばして開ける。


隙間から覗き込む光と寝起きで重たい瞼を何とか開けて外を眺める。


「…やっぱりね」


外の天気は雨だった。

私があの夢を見た時は大体、雨が降っているのだ。


私は憂鬱な気分のまま、クローゼットにかけておいた制服を着て、昨日の夜に現代社会の宿題をした時に机に置いたままだった、シンプルな黄色い筆箱をリュックに突っ込み、

筆箱の分だけさっきより重くなった気がするリュックを背負って階段を降りた。



「あ、晴香(はるか)!やっと起きたのね、もう少し早く起きた方がいいんじゃないのー?」


フライパンで目玉焼きを焼きながら、振り返ってお母さんは言った。


「別に間に合うからいいし」


素っ気なく答えると、お母さんは呆れたようにハァ…とため息をついていた。



朝ごはんを食べ終わり、歯を磨き、髪を梳かす。バレーボール部に所属している私は、ショートカットなので、結ぶほど髪の毛がない。


準備を終えて、玄関で座って靴を履いていると、お母さんが


「レインコートね!!」


そうキッチンから言っていたのを聞いて、私は慌てて階段を駆け上がって自分の部屋にレインコートを取りに戻った。


「…まぁ、必要ないとは思うんだけど」


一応傘も持って、外に出た。

自転車に跨り、漕ぐ。


雨は確かに降っていた。

でも、

だんだんと薄暗い空の色が、

水色に変わっていった。


「やっぱり必要ないね」


私は一人自転車を漕ぎながら、そう呟いた。


近所の伊藤さん家の三毛猫、きなこが、一人でニコニコしている私を不思議そうに見ている気がしたから、


「雨が止んだのは、私のおかげだからね!」


晴れ女らしく、自信たっぷりにそう言ってやった。

私は圧倒的雨女です。

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