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第5話 異世界リリーシア

少しファンタジーっぽくなってきましたかね?

読んでくれてありがとうございます。





『…………ナニコレ。』


かめおは人生最大の困惑の中にいた。

目の前の幼女、自分の周りに寝ている3人の美女。

見たことのない自然が広がる景色。格好は寝る前に

着ていた黒のパーカーと同色のスウェットだ。

夢なのか?それとも妄想のし過ぎで頭が逝かれたか?

グルグルと答えの出ない思考を続けているかめおに声がかけられた。


「もぅ!かめ兄ったらぼーーっとしてぇ!エリはお腹が空いたの‼︎ちゃんとエリの話きいてるの‼︎」


しかめっ面でぷりぷりしながら目の前の何処かで見たことがあるような少女の言葉でかめおの思考は目の前の少女に切り替わる。


(…このぷりぷり幼女何処かで見た気がするな……。と言うかエリ?かめ兄⁇俺に妹はいないが………)


巡る思考。頭に引っかかる物はあるが答えにたどり着けない。否、実は少し気付き始めている。しかし現実離れしすぎていて言葉に出来ない。


『もおーーかめ兄聞こえてるの⁉︎………

″ちゃんとエリのことみてるのかしら‼︎〟』


既視感がかめおを襲う。疑いが確信に変わる瞬間だった。


(………まさか…この幼女は…熊を模様したパジャマを着ていて、この俺が大好きな妹属性を詰め込んだような幼女は…………。)


『…エリ、、エリスなのか……?』


「もぅ!だからさっきからそう言ってるじゃない‼︎エリはかめ兄の妹の伊藤エリスよ。」






『っだ……っだよなぁ〜〜〜‼︎。そうとしか思えないもんな。お前は俺の可愛い妹、エリスだよな〜………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………って、うへぇぇぇぇぇえええええええ‼︎⁉︎』










何がどうなってんのーーー‼︎とかめおは慌てふためき次々にエリスに質問をなげかける。


『つーかあり得ないだろ⁉︎俺には妹なんていないしエリは俺の妄想の中の人物だよな?それがどうして⁉︎夢⁉︎夢なのか⁉︎夢なんだよな?………そうか夢なのか……………よしっ!エリス!ちょっと俺を殴ってくれ。』


「ッボゴォ‼︎‼︎」


かめおの鳩尾に幼女らしかぬ動きで右ストレートが嫌な音を立てて入った。


『……………………痛っっっっってぇぇぇえええええええぇぇえええええええ⁉︎‼︎なん…だこれ…いっ痛すぎる。お、、、おろろろろろろろら』


放送出来ませんとばかりに土下座にも近い姿勢でかめおの口から何かが溢れ出した‼︎


「もぅ!かめ兄ったら!夢じゃないのよ?これで分かった?」


『っわ、分からん、、分からんけど、オェ、、、何で、どうしてエリスがここに??』


「だってかめ兄は超越者になったでしょ?私たちはそのおかげで産まれてくることができたのよ。

ぇへへ、かめ兄ありがとぅね。」


にへらーっとエリスが笑い、少し落ちついたかめおは再びエリスを見る。


『ちょ、超越者……?』


つい最近聞いた言葉だ。段々とかめおは自分に起こった事を思い出してきた。


『っけ、けどあれは夢で!…………………いや、でも、…………………………………夢じゃ…なかったんだな?』


未だに痛む体に気付かされながら今起きている出来事について考えようとするが、それよりも先にエリスが放った言葉によりかめおの意識はそちらに向かう。


「とりあえずかめ兄。皆んなを起こすところから始めよぅ?」


辺りを見れば自分の周りで寝ている美女3人。

目の前のエリスとの出来事に頭がいっぱいだったかめおは今の今までこの、何処かで見た気がする3人の事を忘れていたのだ。しかしかめおは再び3人の姿を見た瞬間気づいてしまうのだった。









『っあ、あの〜すいません。起きてくれませんか〜』


体の痛みも引いて来た所、すぐ隣で寝ている3人に控えめに声をかけるかめお。しかし彼女達は起きない。

参ったなぁと、手始めに綺麗な白い髪が特徴的な、真っ赤なドレスを着ている女性の顔を頭の上から覗き込み、頬っぺたを優しく叩いてみた。


『起きて下さ〜い、お願いしま〜〜〜〜す。………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………シルヴィ?』




瞬間、ッバ!っと彼女の目が開き情熱的な赤い切れ長な瞳が露わになった。次の瞬間


『うわぁ』とかめおの驚きの声が上がる。彼女の頭部の後にて正座の形で覗き込んでいたかめおは彼女の赤い瞳に魅入られ固まっていた所頭を掴まれ強制的に



キスをしていたのだから。



3秒程の少し長いキス。かめおの思考は停止していた。妄想の中では百戦錬磨のかめおさんもリアルな唇の、脳が溶けてしまいそうな柔らかな感触は、産まれて始めてだったのだから。次いでくる顔に集まる熱。

かめおは勢いよく顔を引き上げ、彼女の拘束を解き2メートル程距離を離した後、










『なぁ!!何をしてるでありましゅかぁああああ⁉︎』










少し噛んだ。 それに対し起き上がり正座になりかめおの方を見つめる赤い瞳から涙を流し、次第に俯き小さな声で 「っふぅ…ぅぅ……余は……グス……余は…」と呟く彼女は顔を上げた時とても輝かしい笑顔で、


「やっとだな。やっと出会えた!……カメオ‼︎

余は!余はッ、嬉しいぃ‼︎」


輝かしい笑顔にまた見惚れるかめお。だから気づかなかったのだろう。かめおを見つめる不機嫌な3人の視線に。そしてかめおの意識の外から声が聞こえた。
















「何をしてるでありましゅかぁ?っは!あんたこそ何をしてるでありましゅの⁇」


「もぅ!かめ兄‼︎エリの事置いてけぼりにしてなんなの⁉︎」


「お前様よ、ワシとの再会の場面にて他の女との接吻を見せつけるとは………少しその身に教えねばならぬ事があるようじゃな。」


上から、いつか妄想した大人カジュアルな格好をした黒髪で姫カットの少女。


熊を模様したであろうパジャマを着込んだ金髪の髪の愛らしい幼女。


最後にローブ姿のまん丸な金色の瞳。紫色の安らぎさえ与えそうな髪。ローブの上からでも分かる艶やかな肢体を持つ妙齢な女性。


『っなぁ⁉︎お、お前ら起きて⁉︎⁉︎』


そんなかめおに彼女達は、















「「「とりあえず‼︎‼︎」」」


「「「そこに座りなさい‼︎‼︎‼︎‼︎」」」


言われた通り素直に正座する。伊藤かめお25歳。

逆らってはいけないセンサーがフル稼働している。

座り込んだ瞬間、記憶に新しい熊幼女の





鳩尾に右ストレート‼︎‼︎

『ッゴフ‼︎』


次いで蹲りかけたかめおに姫カット渾身アッパー‼︎‼︎

『ッオゴォオ‼︎』


最後に妙齢ローブの手の平から放たれる不思議な力‼︎


『…………ッカハ……』






少し吹き飛んだかめおの意識は闇に落ちた。

側には満足そうにお互いの功績を称えあい、笑顔でハイタッチしている3人の女性と「カッ!カメオ〜余の…余のせいなのか⁉︎…ぅう…すまぬカメオ〜〜起きてくれ〜〜」と泣いている計4人の姿があった。







こうしてかめおの異世界生活はリンチを受ける事から始まるのであった。

人によってはご褒美ですよ……

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