第1話 かめお死す。
初小説です^ ^
楽しんで貰えたら何よりです。
頭に心地のいい感触を感じながら俺は何時もは凛としていて鈴の音のようで綺麗だと思える、だけど今は何かを思いつめ震えていてか弱い声を聞いていた。
「何故…?何故カメオは余の為に傷ついて…余を、こんな余を救ってくれたのだ……」
(あぁ、泣いてるのか…)顔に感じる暖かさでその事に気付く。すでに目は見えなく体はあまり動く気はしない。腕は片方吹き飛ばされて身体中ボロボロ言うなりゃ死に体、時間はあまり残されていないようだ。
「ッこんなの嫌だ!……何故カメオが‼︎…こんな事になるなら強くなんて…世界を救う力なんてカメオになければ……何故…?何故カメオはこんなにも強くなってしまったのだ?………誰か…誰かカメオを助けて‼︎」
沢山の瓦礫の山に囲まれる中、空に向かって
王女・シルヴィ-ロコムンドが悲痛な声を上げる。
しかしその声は宵闇の空に只々溶け込むだけだった。
………スゥ………
「⁉︎…カメオ⁇」
俺は震える手でシルヴィのしなやかな腕に触れる。
『……すまねぇ…不安に、不安にさせちまったよな…』
まだ喋れる事に感謝し最後の言葉をかめおは紡いでいく。
『…シルヴィ…男ってやつはな、強くなる理由なんて昔から…そう、昔っから1つしかねぇんだ…。』
「ッ…カメオ!喋ってはッッ」
少しだけ触れてる腕に力を込め最後の思いを告げる。
『…シルヴィ、頼む…聞いてくれ』
少しだけ開いた目でシルヴィの目を見つめる。何時もの情熱的で綺麗な切れ長の赤の瞳は悲痛な色を持ち、気高く凛とした顔は泣きじゃくる少女のものだった。
かめおを覗き込む顔は先ほどよりも近い。震える手で大好きなシルヴィの真っ白で艶やかな髪を撫でる。
『……シルヴィ、俺が強くなれたのは世界で1番幸福だからだ……。』
「カメオ…何を言ってッ」
『いいかいシルヴィ…俺の幸福は世界で1番好きな人と居られる事だ…しかもその人が世界で1番美しい。…外見だけの話じゃない…勿論外見も大好きだ…けど、弱さを認め受け入れそれを強さにしてしまう心、他が為を思い流せる涙、少し猪突猛進なところ、世界で1番恐ろしい化け物に1人で立ち向かう勇気……君を知るたび俺の世界に新しい色が増えたんだ……ッゴフ…』
「ッ…カメオ‼︎」
命が零れ落ちていくのがわかる。あと少ししか時間が残されて居ないのを理解してしまったが言うべき事は決まっていた。
『…シルヴィ、俺の最愛の人シルヴィ…これが最後だ。何より1番好きなのは君の笑顔だ…俺は君と出会うまで生きていてもいい事なんて1つもなかった…死に場所をずっと探してたんだ…けど最後は最愛の君を守れた。守って死ねる…こんなに嬉しいと思える死は絶対にない…だからお願いだ…最後は笑ってくれ…そして強く…強く生きてくれ!!』
少しの沈黙、シルヴィは涙で濡れた顔でかめおを真っ直ぐ見つめ言葉を紡ぐ。
「……そんな…そんな事……そんな風に言われたら‼︎………………………………………………………………笑うしかないではないかぁ〜〜〜〜〜‼︎
余も!余も好きだ!カメオを世界で1番愛しておる‼︎
カメオが!守ってくれたこの世界できっと!
きっと誰よりも強く誰よりも気高く生き抜く!
だから!…来世でも何でもいい!
きっと余を見つけて…‼︎その時まで余はカメオの好きな笑顔で待っておるから‼︎‼︎」
そう言った彼女の顔は涙交じりのとても愛おしい不可能を可能にさえするようなそんな世界の法則さえも飛び越えてしまえそうな笑顔だった。
『…ありがとう。…また新しい色が増えたよ…大好きだ…愛してる。…必ず見つけ出すから……だからサヨナラは言わないよ。』
「余もいわぬ。………また会おうぞカメオよ。」
そう言ってシルヴィはカメオにキスを落とす。少し経って顔を上げた時かめおは微笑むようにして旅立っていた。
「カメオが何処に居ても寂しくない様に余は輝き続ける!……だから、だから今は……ヒグッ…うぅ〜〜〜」
…………その後彼女、シルヴィ-ロコムンドは人々の中で太陽の様な存在として国を統治していく。
英雄との再会を夢見た傾国の王女の話は後世に語り継がれていったのだった。
〜fin〜
『ていう妄想を昨日寝る前にしてたんだ〜(笑)』
と数少ない友人である木嶋 優に話す伊藤 かめお(25歳)
「っえ?素直にバカきめーよw妄想力が天元突破してるよw話なげーしww」
『るせぇえええ!最高の死に方だろーが‼︎こんな死に方してみてーだろーーが‼︎‼︎』
「今時中2でもそんな妄想しねーよw何で普通の会社員のおめーが勇者みてーになってんのwてかよくそんな話を堂々としてきやがるな!ww お前のその心意気だけは勇者だよww」
『けど妄想の中で約束しちまったからな〜〜〜会えるといいなシルヴィ』少し照れた様にかめおが言う。
「きもすぎワロタ」。
これが伊藤 かめお(25歳)の日常。
しかしこれからかめおに待ち受けている運命は不可思議なものだった。
かめおの運命はいかに……