( ˘ω˘)スヤァ
母様に付いて行って、漫画で見た事ある布団の敷かれた部屋で膝枕されていた。
え、何故?なんで膝枕?あぁ~、アカン。宴の疲労も相まって眠くなってしまうぅ。頭撫でる手が眠さに追い打ちをかけてくる~。
「かぁ・・・・さま・・・・」
「上様がお見えになったらちゃんと起こしますから、今は眠っていなさい」
コレ絶対起こしてくれないやつ。くっ、耐えるんだ、絶対にこの後母様に将軍様がさっきのお話するんだから当事者は起きて無いとダメ・・・・( ˘ω˘)スヤァ
「待たせたな」
ゆったりとした足取りで、将軍は寝室に足を踏み入れる。枕辺に置かれた灯篭が、朧に太夫の姿を映していた。
「久しいな、秋茜」
「そうですねぇ、今じゃ中々お会いできませんから」
親し気に、気心の知れた友人の2人は笑う。世間話に始まり、愚痴を零し、笑い合う。
普段の面倒な立場は今存在しない。ならば、女2人のひと時の楽しみを楽しんでも良いだろう。
「お前の子供は、賢いな」
秋茜の膝上ですよすよと眠る子供の頭を、将軍はするりと撫でる。その様子を見ながら、秋茜は微笑む。
「私の子だもの、父親は知らないけど」
「母に似て良かったな」
秋茜の軽口に将軍は神妙な顔をする。そして2人で顔を見合わせクスクスと笑う。
「今日、こやつとこやつの弟を呼んだのだ。それで、どちらかが姫の影武者、どちらかは私の狗になれと申したのだ。すると、この者はなんと言ったと思う?女子でありながら己の弟こそ城で暮らすに相応しいと申したのだ!」
「まぁ、貴女が宝石を取り損ねるだなんて」
「籠に仕舞うことには失敗したが、私を楽しませる愛らしい鳥は手に入った。自由に飛び、勝手に鳴き、私を楽しませてくれる雛鳥だ」
指先で眠る子供の唇を弄ぶ。紅を引くように滑らせ、口付けるように押し付け、隠すように覆う。
これが明日の朝から自分の物になるのだ、心躍らないわけがない。
「ふふ、じゃあ明日から私の子をお願いね?」
「事前に約束していたとはいえ、まさか実現するとは思わなんだ」
『もし私に子ができたら、貴女に任せるわ』
『よかろう!美しいそなたの子だ、楽しみにいしておくぞ?』
思い出すのは、花屋敷の一室での子供じみた約束事。狭い籠に閉じ込めておきたくない母親と、美しいものは己が手中に収めたい権力者。歪ではあれど、花屋敷という場所からは解放されるのだ。
「・・・・ぐっすりと寝ておるな」
「えぇ、疲れてたのよきっと。このまま寝かせてあげましょう」
そっと布団に子供は寝かせられる。幼い体は、働いた分の睡眠を必要としていた。
「そうさな、幼子をこの時間に起こすのはよくない・・・・さて」
「はい、今夜は貴女様のものでございます」
「分かっておるの」
子供が寝かされた布団とは別の布団に、二人分の黒髪が流れる。灯りを消し、衣服を脱げば、二人だけの世界だった。