イベント発生
お城の使用人さん(立場が分かんないので)に連れられてやってきたのは、お城の中の一室だった。なんか、物凄く入り組んだ道を歩いてた覚えはある。途中から訳わかんなくなった。
広すぎず狭すぎずの一室で秋一と共に私たちを置いてどっかに行ってしまった使用人さん。え、酷くない?って思ったのは内緒です。
不安そうにしてる秋一の手を握って待つこと数分、さっきの使用人さんが帰って来た。って事は、もう将軍様きちゃうの?心の準備出来て無いんですけど。
ちょっとしたパニック状態になっていると。足音も無く将軍様が部屋に入って来た。ひぇ。
慌てて秋一と礼を取ったけど、心臓が煩いので誰か止めて下さい(あかんやつや)
「其方らが、秋茜太夫の子らか?」
これは、答えても良いんだろうか?お偉いさんには直接答えちゃダメってどっかで聞いたんだけど。
伺うようにそろーっと使用人さんを見ると、一つ頷いたので、多分答えて良いんだろう。
「おっしゃるとおり、あきあかねたゆうのむすめとむすこです」
「ほう、まだ幼いのに難しい言葉を知っておる。どれ、面を上げよ。それと、無理に敬語は使わんで良いぞ」
この将軍様優しくない?
そろりそろりと頭を上げて、今度はドアップで将軍様のお顔を拝見。くっ、目が潰れる!!
「これはこれは、なんとも愛らしい」
うっとりとした表情で此方を見つめる将軍様。眼福が過ぎて目がやられそうです。
けど、わざわざ宴を抜け出してまで私たちを呼び出した理由ってなんだろ?
「あの、ひとつおききしてもいいですか?」
マジかよ、秋一勇者。てか、私の着物の裾を握り締めながらとか可愛すぎてしんどいんですけど。
「よいよい、申してみよ」
「なぜぼくたちはここによばれたのですか?」
その言葉に将軍様は笑みを深め、満足げに頷いた。
「まさか姉弟揃って賢いとは、嬉しい事だな。さて、本題に入るとするか。実はな、最近江戸吉原での催し物の時期が被ったり、不正が増えておる。そこで催し物の時期の調節と不正を正す者が欲しい。更に欲を言うなれば、次代である我が娘の影武者としての友も欲しい。そんな事を考え宴に参加してみると驚いた事に賢く幼い姉弟がおるではないか」
唐突に芝居の様な口調で語り始める将軍様。
え、つまりこれはアレか?アレなのか?
次代様の影武者となるか江戸吉原での将軍様の手駒になるかでしょう?
「しかも姉弟の片割れは我が娘とよく似ている。これを利用せん手はあるまいて」
秋一はまだ話がよく分かっていないのか、きょとんとした顔で将軍様と私を交互に見ている。
あぁ~・・・・可愛い。
「おぉ、そういえばまだお主らの名を知らんかったな。許す、名を申せ」
此方をひたと見据える瞳には、私を試すような色が浮かんでいた。
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