永久深紅の死人
何時からここにいるんだろうか……?
俺は丘の上から信号機を見る、踏切の前には人がいる、でも俺はそいつから目が離せない、だけど俺は知っているんだ。
そいつの顔は真っ赤に染まっている、いや、顔だけじゃない。
制服らしき布切れが体を纏っているが所々赤黒く、乾いてまるで鱗のような液体だった物がこびりついている……。
ああ、今日も踏切は鳴り出した。
丘の上まで響く金の音、いつもと変わらず遅く変わる赤信号、しかしこの辺りの配線のケーブルは全て切れているはずなのに……そしてそいつは歩き出す。
赤信号が点滅している踏切の向こうへ。
俺は眺める、その踏切の真ん中にはいつもと同じく当時、原因、彼女がいる。
助からない、だれも助からない、だからこの結果は変わらない。
俺は信じていた、誰かを助ければきっと世界は変わるんだって。
確かに変わった、助けるときに、彼女は笑っていたんだ。
その時、俺はこう聞こえたんだ。
ありがとう
って。
笑顔で言ってくれたんだ、
でも、それは俺の妄想だったんだ。
カンカンと鳴り続けるサイレンの音、電車が迫ってくる音で本当の真実を聞けなかった、聞かなかったんだ。
そして丘の上から今日も俺は当時を見る、結果は変わらない、ヒーロー気分で、無茶をして助けようとする、そして原因はいつも同じように俺に笑顔を向ける。
当時の俺を見ながら、丘の上の俺に聞こえるようにお決まりの台詞を放つ。
「死んじゃえ」