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3-8  監禁

萩沢(はぎさわ)が黒手会と()めたのは

年が明けて間もない、年に一度降るか降らないかという雪が

茅ヶ崎の街の空に舞った

ある日のことだった。


その時、萩沢は道行く女性を風俗に勧誘する

スカウト

の元締めと、

キャバクラの経営の仕事を掛け持ちしていた。

羽振りは良かった。


世間では軽く話題の音楽指揮者

柴崎

と容姿が似ているといわれる

端正な顔立ちと穏やかな物腰が

街の女性の足を止めたし話をきかせた。


問題が起きたのは昨年の末。

キャバクラのボーイが禁止薬物を流していた。

萩沢は警察の手入れを恐れ、入手経路を調べると

一人のチンピラにたどり着いたので

彼はそのチンピラをさらった。


見せしめ、の意味もある。

脅すだけのつもりだったが、チンピラの何かがいらついて、

彼は殴打を繰り返した。

時。

細身の、黒ずくめの男が、彼を訪ねてきた。


男はまず謝罪し、札の束を用意して


うちの家族なんで、かえしてほしいんすよー。

無傷で。


といった。

ので。


萩沢は、

「もう殴ってるよ。

歯も折れている。」


といったので、黒ずくめはしきりに残念がり。

それから、笑った。


「残念だったね。

身元は明かさない決まりだったかんさ。

あいつも黙ってたけど、さあ。

俺たちは黒手会なんだ。

逃げたいなら逃げろよ。

時間やるから。」


噂はきいたことがある。

真っ黒な組織だ。

萩沢は情婦の友人の女のアパートにまず逃げ込み。

その晩を過ごした。


友人の女の寝息を確認し


「ごめん、な。」


と言って、アパートを出て、情婦と逃げた。

が、数日を経ずに捕まり。


裸で監禁され。

病院に運び込まれ

手術を受けた。


整形手術だった。


…という顛末(てんまつ)で、

萩沢は監禁され奴隷となり

夏の夜に髪を整えられ

ジープに運ばれて

着替えさせられ

そして


銃弾が髪をかずめて

大男に、襟元をつかまれて

宙に浮いている。








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