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2-10 狩り

その部屋の天井はとても高く。

 四つの大型の白熱灯が、丁度小学校の体育館の天井に備え付けられるのと変わらない光量で

室内をまばゆく照らしあげていた。

 空間は正確に近い立方体を成している。

 壁に消灯スイッチは無いが鉄製の扉はある。

 床は灰色のコンクリートで、中央に男が這いつくばっている。

 着衣は纏っていない。

 浮き出たあばらと裏腹に、黒く豊かな長い髪。

 床に近い顔全体が髪や髭に覆われている。

 鼻は高く整っている。

 口は床にぶちまけられて粉々に近いハンバーグ

 デミグラスソースがコンクリートに

 大きなしぶきをいくつも作っている、肉片を咀嚼している。

 

 そのつむじを見下ろす形で

 白スーツの長身の男が壁面に右肩を預け寄りかかりつつ、ギャラクシーを操作している。

 扉が不意に開く音が低くして

 白スーツが肩越しに振り返る。

 黒スーツの中肉中背の男が肩を揺らしている姿が飛び込んでくる。

 肩を揺らしている時は、機嫌がいいという経験則に基づいて

 白スーツは口角を上げる。


 「黒さん。」

 「調子はどうよ。白」

 「仕上がりは上々ですよ。

  柴崎にも何にもないですよ。

  全部、うまくいってます。」

 「それは良かった。

  まあ、今回はさ、余裕じゃね?

  仕事ってかさ、狩り、だろ。」

 「まあ、そうですね。

  でも大丈夫ですかね。」

 「何が?」

 「相手があの村ですし。

  わけわかんない団体でしょ?

  そんなとことあれでしょ?

  警告ガン無視してガチバトルでしょ?」


 黒は一瞬きょとんとして

 それから屈託なく笑う。

 「大丈夫だって。

  初手を間違えるやつらなんてさ、お里が知れてる。

  それに、そのために、こいつだろ。」


 そう言って、黒は裸で這いつくばる男の前に進み

 モップの先のような黒髪のそばにしゃがみこんで

 床のハンバーグだった肉のかけらをつまみ上げ

 口に含む。

 「…まっず!

  白お」

 黒は首をのけぞらせて、上目で白を見上げつつ言い、白は微動だにせず応える。

 「はい、なんでしょう?」

 「もっとさあ、いいもん食わせてやれよ。

  今回上手く行くかとかはさ、結構こいつにかかってんだぜ?」

 



 


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