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Ⅰ-2
なんで僕が知ってるかって?
彼女を見ていればわかる。
相手は、きっと隣のクラスの橘隼人。
サッカー部で、爽やかで、かっこいい。
しかもみんなに分け隔てなく接する人気者だ。
そいつも、彼女のことを意識しているみたいで
二人はどんどん距離を縮めている。
わざわざ友達だって同じ部活のやつだっているのに
彼女に教科書借りに来るんだぜ?
見え見えじゃないか。わかりやすい。
もちろん彼女のほうもまんざらではない様子。
友達にひじでつつかれながら教科書を渡す。
女子特有のあの、行けよ~!好きなんだろ~?的なやつなんだろう。
そんな友達の煽りもあって、頬を赤くしている二人。
まあ、気づかないほうがおかしいか。
僕がかなわない相手なんだってことも知ってる。
僕が入り込む隙間がないことも知ってる。
結局、人気者は人気者とくっつく運命になってるんだ。
美男美女。いいことじゃないか。
どうせ周りも、あいつならしょうがない、好きだったけどかなわないや
ってなるんだ。
なんで人生って、日向の人間が得するようにできているんだろう。
けどさ、好きになっちゃったら、
この感情を消すってことはできないんだよ。