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血痕と薬莢と加齢臭

文字数少ないですが、ご了承ください。あと今話から字下げ入ります。二話連続投稿なので、許してつかあさい…

 豪邸前。


 非常線が張られ、数時間前とは打って変わって黒服は一人もいない。


 代わりに大量のパトカーと、バンが一台停車している。

 外で警備していた黒服は銃撃の末、屋敷内へ撤退したようで、現場には血痕と未だ熱を持ったままの薬莢が散乱していた。


 しかしながら未だ邸内から聞こえる銃撃の音が、事態は収束していないことを伝えている。




 状況開始から既に十数分が立っている。


 大規模マフィアの検挙なだけに、報道用の車も駆けつけ、アナウンサーが野次馬にインタビューをしたり、既に非常線間際の警察と探り合いを始めている。


 そして救急車。


 当然銃撃戦のさなかに被弾した警官数名の応急処置と搬送が同時進行で行われている。


 

 この戦いは未だ始まったばかりなのだ。


==


 警察無線の音声が外に漏れだしているバン。


 本来人が座っているであろうスペースに、大量の機材と数人のオペレーターが鎮座している。


 そして、ジャケットー雄々しい鷲が描かれ「司法省」「麻薬取締局」「特別捜査官」と記されたーを着た、白髪交じりの男が一人、立っていた。



 男は不機嫌そうな顔をしたまま、オペレーター越しにモニターを見つめている。


 いや、語弊があった。


 正確にはモニターとオペレーターを目を行き来させ、オペレーターの方に視線が行っている間のみは頬が少し緩んでいた。




 とにかく男は移り変わるモニターに目を巡らせながら、オペレーターに話しかけた。


「S.W.A.T.(特殊武装戦術突撃部隊)の点が停滞している様だが、状況はどうなっている?」


「奇襲は成功しましたが、広い邸宅と高性能な装備、少々の訓練を積んだマフィアのせいで膠着に持ち込まれている様です。」


 それを聞くと男は更に顔をしかめさせた。




 そう。これこそが男が不機嫌な原因。

 本来警察特殊部隊とは立て籠もり等を行う単独及び少人数の人間を素早く鎮圧し、人質等の救出を行うのが主任務。



 要は奇襲によって、素早さと火力をもって敵がマトモに抵抗してくる前に殲滅する。



 一撃で、少なくとも最初に引き金を引いてから15分以内でカタを付けねば、特殊部隊としての意義と真価は大きく減衰する。



 しかも特殊部隊の大前提として、最初の一撃、正確には一分間程の計画的で素早い突入で、敵を全員駆逐できることがある。



 マフィアというギャング以上の人員の質と武器、そして防犯システムを持つ相手では、良くて警備班を一つつぶせる程度。



 最初から特殊部隊は「効率的」とはいえない任務。

 かといって警官隊での銃撃戦は効率が悪く、死傷者が多数出る。



 結局のところ、選択肢として被害を考えて残ったのが特殊部隊なのだ。


 そもそもこの様な大規模組織は余程の問題を起こさない限り、意図的にも警察は見逃すし、取り締まろうにも前述の理由で難しい為普通は行わない。




「上は一体何を考えているんだか…」


 しかしどんなに効率が悪かろうと、訓練された特殊部隊とマフィアでは差がある。


「時間の問題だろう。死人が出なければいいが…」




 男の言葉は、がなり立てる警察無線にかき消され、誰にも届く事はなかった。

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