コッファーとコフィて似てない?
10/9:急に活躍しすぎて凄い不自然なので改稿しました。メインストーリーにはそれほど影響はありませんが、この話だけで見れば大幅に変わっているのでお気をつけ下さい。
MP5Kコッファー。
MP5シリーズの中でも異色を放つ銃。
使用弾薬は西側標準の9mmパラべラム、より正確に言うなら9×19mm弾。
性能はクルツそのまんま。
というかクルツを使っているから当然である。
では最大の特徴は何か。
こいつはSPや警備隊等、常に威圧を与えるような服装・武装は出来ないが、
重武装はできずとも其れなりの武装をしておきたい…そんな方にお勧めのH&K社の新製品です!
デデーン!
早い話、アタッシュケースにクルツを偽装し、そのまま撃てるようにしたモデルなのだっ!
最初の一発は銃口カバーを外すためなので初弾の差で即応力に欠けるし、威力も元のMP5と同じくケブラー繊維が貫通出来ないという悲しい性能だが。
だが!そんなことは関係ない!
制圧して大統領やらが防弾車両やら安全圏内に逃げるだけの制圧力を提供するのが目的なのだから!
別に無理に相手は殺さなくてもいい、ボディアーマーといえど当たったら衝撃と打撲で普通に死なないだけで凄い痛いし暫く行動不能になる!それでいいのだ!
…で、何でこんな話をしているかというと。
まさに持ってきてる訳です。コッファー。
アタッシュケースを二つ抱えている俺は、右手の方にチーズ、左手にコッファーを持っている。
そこまでは良い。
問題なのは、こいつらが一切コッファーについて触れないことだ。
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時はさかのぼる。
俺は厳ついおっさんから解放され、バンに戻って荷物を運び出した。
アタッシュケース等である。
…この仕事も結構危険な物で明らかな組織の後ろ盾がない、俺みたいな個人営業者だと脅された挙句、買いたたかれたり、
「命と引き換え」
だとかどうとか言われてタダで持ってかれたりする。
そこで大抵の人間は大手組織に安く給与する代わりに、後ろ盾になってもらったり、はたまた麻薬密売人で固まってグループを作ったり、某化学教師みたいに単独でも侮れない力を証明したりと色々対策をする。
俺は欲を出さず、取引相手は「なるべく大手の穏健派」にして如何にかしている訳だが…
まぁどんな事態にも予想外は起きるものだ。
詰まるところ、保険として最適だった武器、つまりMP5Kコッファーを俺は取引に持っていってる。
それは今回も変わらず、もっていったのだが…
「コッファーまだあるじゃん…」
そう、改造ダッシュボードの中にコッファーがまだあるのである。
マフィア達は荷物を調べたといっていたから、恐らくコッファーがある事はバレている。
アタッシュケースとしてしか見られていなかった可能性も否定はできないが、開けなかったかと言われると少し疑問が残る。
相手が試しているとしたら、最悪もっていくだけで暗殺目的だと思われかねないのが恐ろしい所だ。
そうやって悶々している内に、取引相手の部屋まで案内されことになってしまい、今に至る訳である。
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どうしたものか…
マフィア側がこちらを試している可能性がある以上、下手には動けない。
保険としてこのまま持っていくか、申告しておくべきか。
頭の中で延々と堂々巡りが続いていく。
途中、ガバメントが返却されたが、コッファー位になると過剰戦力として見られても可笑しくない。
でもガバメントを返したってことは武器の保持位は許してくれるのだろうか。
こんな感じで嫌な緊張感で胸を詰まらせている内に、取引場所臭い部屋が見えてくる。
日陰とはいえ、真夏であるが故の気温の高さと、緊張感によりワイシャツを汗が濡らす。
頭がおかしくなりそうな程の17年蝉の鳴き声とのダブルパンチで、動悸が早くなっていく。
結局、考えるのが面倒くさくなった俺は、案内されるがままに部屋へと入っていった。