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ただの小物なんですがそれは

現在製作しているゲームの小説です。ゲームのプロットを兼ねて執筆しています。拙い文章ですが、どうか楽しんでいただけたなら幸いです。今話はプロローグなので結構短いです。

早朝。


 眩しい、未だ赤みを帯びた太陽が半分ほど男達に顔をのぞかせている。

シルエットになった黒服の男達は、それでも直立不動の体制を維持している。


 LA郊外の豪邸を守るように佇む彼らはどう見ても堅気の人間ではない。

生傷のついた顔に、硬く閉じた口。


この時間帯にランニングする健康志向の男女や散歩をしている老人もこの周辺には近寄ろうとはしない。

それもそのはず、ここはギャングとは一線を画す有名マフィア「リンクセス」の豪邸。

地元の者たちは幼少の時より教え込まれてきたルールを破ることはないのだ。


==

6:00。


 黒塗りのセダンが小さな音を立てて停まる。

見た目からは分からないが、トラウマプレートが埋め込まれたドアに、防弾ガラス。

ホイールは鉄製でタイヤはラン・ガードシステムが装備されている、これまた穏やかではない代物だ。


 ゆっくりと開いたフロントドアから降りたのはチャコールのスーツを着た猫族の男。

彼が降りた事を確認すると黒服の男たちは一斉に頭を下げる。

それを右手を挙げて止めさせると、そのまま男は豪邸の中へと入っていった。


==


6:30。


 黒塗りの、怪しげなバンが派手な甲高い音を立てて停まる。

見た目から分かる通り、鋼板で作られた凹みのない車体に石英、つまり普通のガラス。

ホイールはスチール製で甲高い音の原因たるタイヤは溝が削れている。


 バン!と大きな音を立てて開いたフロントドアから降りたのは安っぽいスーツとフェドーラ帽を被った、アメリカでは珍しい狸族の男。

彼が降りた事を確認するでもなく、黒服の男たちは(FA-MAS)を構えたままにじり寄る。

それに両手を挙げて応えると、そのまま男は連れてかれた。


…なんてこった。

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