第5話:「生意気な子だ」とエルフのお姉さまは笑った。
奴隷印を刻まれてからの1年は、あっという間に過ぎた。
僕の声帯はだいぶ成長してきたらしい。
「ゲル、フ……」と、その日僕は初めて発音できた。
「おおおおおおッ! そうじゃ! ゲルフじゃ!」
年甲斐もなく、とはまさにこのことだろう。
家を飛び出していくゲルフは少年のようだった。
「ま、ほう……」と僕はつぶやく。
言葉は序の口だ。気になるのはやっぱり魔法。
そう考えると、少し不安になる。
僕はピータ村の人が魔法を使うところを一度も目撃していなかった。
ピータ村の人っていうのはゲルフも含む。
例外なく。誰一人だ。
暖炉の火が絶えてしまったら気合いで熾す。水汲みは人力。服もソフィばあちゃんたちが機織りをしているみたいだし、新しい家を建てるのだって村人みんなでやる大仕事。分野に特化した魔法使いがささっと仕事をしてしまうわけではない。
狩りの間に獣を仕留める魔法を使っている可能性はあるけれど、ゲルフは狩りに行くときは弓矢と槍でしっかり武装していくし、その可能性も低いのかもしれない。
僕のイメージする魔法の国って、もうちょっと違っていた。科学を魔法が置き換えている、って感じをイメージしていたのだ。蛇口魔法陣に触れば水がどこからともなく出てきて、コンロ魔法陣に触れれば料理に最適な炎が使えて、明かりの魔法に照らされて野菜とか小麦とかがすごいスピードで育てられていて――
でも、ピータ村は違う。ほんの小さな明かりの魔法すら使っていない。ガチなファンタジーってこういう感じだったか、とも思う。
そもそも、文明レベルが低い。すさまじく低い。
ひどいことを挙げればキリがない。
まず、食事。不味い少ない安定しないの三拍子。ピータ村の食料事情は村をとり囲む森にほとんど依存している。商人もたまに来るけど、貴重な塩を売りに来るだけで、安定して食料を供給してくれるわけではまったくない。
しかも、貨幣経済はないみたいだ。商人とも物々交換。ソフィばあちゃんとも物々交換。21世紀を生きた僕は絶望する。こういうのワクワクするかと思ってたけどとんでもない。不便なものは不便なのだ。
そもそも、と僕は思う。仮に、お金という仕組みを誰かが作ろうとしても、あまり広まらなかったんじゃないかな。
だって、この世界の数字は――――
扉が開いたのはそのときだった。
ゲルフがソフィばあちゃんと戻ってきた。
「おおげさだねえ」とソフィばあちゃんが苦笑している。
「いや、確かにわしの名を呼んだのじゃ」
「ソ、フィ……」と僕は言った。
ばあちゃんが目を丸くする。「頭がいいんだねえ」
「じゃろう!? どうじゃ!」
「あんたの手柄じゃないんだけどね……」
ゲルフ、はしゃぎすぎ。
「ゲ、ルフ……」
「む? どうした? タカハ」
「な、ん……さい……?」
「歳をきいてるんじゃないかい?」
ふおおおおおッ、とゲルフは奇声を発した。楽しそうでなにより。
「わしは、先日、17歳を3度すぎたところじゃよ」
えっと、51歳ってことか。たぶんかなりの長生きなんだろうな。
…………そう。
ピータ村の人々は自分の歳を17という数字で表現する。
よく分からない風習だな、と最初は思っていた。
でも、それは単なる風習ではなかった。
――
時期を同じくして、ラフィアも一言、二言を発するようになった。
「タカ……?」
首をかしげたラフィアに僕は笑いかける。ラフィアもつられて笑う。メインヒロインとの関係は良好だった。
1歳の僕たちは眠い時間が多くて、僕が起きているときにラフィアは眠っている……というようなすれ違いがたくさんあった。ゲルフは家をあけていることが多い。
要するに暇だった。
そんな僕に出来ることは――1つだけだった。
『――転生をご用意させていただく皆様にはぼくの力の一端を差し上げていますぅ』
転生のとき、あの胡散臭いカミサマはこう言った。
それだけじゃない。僕に与える力は『僕の行き先で』『最強の能力』とも言っていた。
10点満点の数字。
生まれながらの才能。
その正体は――どうやら翻訳の力であるらしい。
振り返ってみれば、僕は生まれた瞬間からこの世界の言葉を理解することができた。文字を読むことができた。カミサマが干渉したのだとしたらここかもしれない、と疑ってみて、事実その通りだったようだ。
僕はこの力を『対訳』と名付け、その性質をいろいろと調べていた。
まず、この世界の言葉を『聞く』ことに関してはシンプル。今まで僕に話しかけてくれたすべての人の言葉を問題なく理解できたからだ。『対訳』の力は、僕が理解できる日本語に変換してくれているのだろう。
では、『発音』はどうなのか。
この世界でみんなが使っている言葉を、そうだな、『リームネイル語』と呼ぶ。
僕がもともと使っていた言葉は『日本語』だ。
ふつうの会話なんかは『日本語』から『リームネイル語』に上手に翻訳してくれる。試しに、〈今日はいい天気ですね〉と言ってみた。
「きょう、は、いい、てんき、ですね」
口や喉を強制的に動かされる不思議な感覚がして、僕は『リームネイル語』を発していた。便利だ。このスキルほんとうに便利。この世界を生きている間、僕は言葉の壁に苦しまなくて済みそうだ。ぜんぶ日本語で意味が分かって、勝手に『リームネイル語』を話せるのだから。
となると。
この機能を苛めたくなるのが人の性だろう。
僕は〈インターネット〉と言ってみた。
「じょうほう、ちしき、うみ、たゆたう、ばしょ」
……もう1度言ってみよう。
「せかい、かいせん、あみ、つながる、ばしょ」
言葉がブレた。
この世界に『インターネット』という単語が存在するはずはない。てことは、この力は、僕のイメージや考えを無理やりこの世界の言葉に落としこむ、という性質なのだろう。
次は〈パソコン〉。
「もうそう、の、はこ」
ちょ待て僕。
「こじん、よう、でんき、しき、はんよう、けいさんき」
うん。
普通にファンタジー世界を生きていくうえでは、なんの問題もなさそうだな。
次は数字だ。
とりあえず〈0〉をチェック。
「無」
0という数字の概念はなさそうだ。思い出してみれば「0歳」って言われたことは無い。村の奥様方には、いつも「第13月の生まれ」と紹介されていた。
続けて、〈19〉と僕は言ってみた。
「17と2」
もう1度。〈19〉。
「17と2」
〈38〉。
「2個の17と4」
……ふむ。
続けて、適当に思いついた〈1780〉。
「6個の17倍した17と2個の17と12」
6×(17×17) +2×17 +12 だから……えっと……。
暗算して、1780で合っていることを僕は確かめた。
下から数えてみる。「1、2、3……」
ゆっくりと僕は数の階段を上っていく。「……15、16、17」
〈18〉以降は――
「17と1、17と2、17と3、……」
こうなるのだ。
1歳児の頭を回転させても、結論は1つしかない。
17までの数字しか『リームネイル語』には存在しないようだ。
数はあるけど、数字がない。
この世界の人たちは1から17までを意味する17個の数字を使って、日常に必要なすべての数を表現しているのだ。たとえば、〈30個の木の実〉だと――
「17と13個の木の実」
……めんどくさいなぁ。
けれどまあ慣れれば日常生活に支障はないだろう。
僕がカミサマから与えられた翻訳の力によって分かることは、たぶん、ここまで。
「なんだぅ」と僕はよく分からない言葉を吐き出した。
これのどこが『最強の能力』だというのだろう。ふつうにこの世界の言葉がしゃべれるってだけなら、才能とは言わないと思うんだけど……。
転生を仕組んだ神様の言葉と、自信たっぷりなその口調を思い出して、僕はため息をついた。
――
17の月にそれぞれ17日が収まって、この世界の1年になる。
各月の1日目には、ゲルフの家にピータ村の子どもたちが押し寄せてくるというイベントがあった。魔法の教えだ。
どうやらゲルフはこの村で1番の魔法使いらしい。
「魔法とはなんじゃ? エミール?」
「まっ、魔法は、せいれい様の、お力です」
「うむ」ゲルフは優しく目を細めた。「よく勉強しているな」
「は、はいっ」
「魔法は、この世界の隣にいらっしゃる7体の精霊様が、われらをほんの少し手助けしてくれる恵みじゃ。太陽や雨と同じように感謝をしなければならない。決して、自分の力であると思ってはならない」
子どもたちは神妙な様子で聞いている。
魔法は6歳から、というのがピータ村の掟だ。
……で、9歳のとき、魔法使いになるかどうかの儀式がある。
だから、ここには6歳から9歳の子どもがいることになる。全部で10人くらい。
「――――とはいえ、招集に行けば、魔法を素早く、正確に唱えなければならない」
招集。
これは、最近の僕が気になっているワード第1位。
初めて聞いたのは、異世界転生をした初日だったと思う。僕とラフィアを拾ってピータ村の門をくぐったゲルフに駆け寄っただれかが、その単語を言ったのだ。魔法を使うために強制的に連れて行かれることのようだ。ダムでも作るんだろうか。
ゲルフの授業は続く。
「世界には『マナ』というエネルギーが満ちている。
この世界の隣には『7体の精霊様』が居て、
魔法使いは『願い』を精霊様に届けるために『呪文』を使う。
呪文が『完璧であれば』精霊様がマナを力に変えてくださり、『魔法』が発動する」
ゲルフは黒板に白い枝で文字を書きつけながら言った。
「わしの授業はこの順番で進む。まず、マナを視て、呪文のための精霊言語の発音を訓練し、そして――9歳になったとき、初めて魔法を唱える、というわけじゃ。……今日はマナを視る訓練から始める」
マナ……ね。
『世界はマナに満ちている』とゲルフは言った。
僕はカゴの中で目を閉じてみる。満ちてるってどんな感じなんだ? 空気とかそういうもの? 目では見えないってことだよね? 音は聞こえるのか?
そのとき――一瞬だけ、暗闇の中でキラキラと光るものが見えた。
……ような気がした。
ぼわんとした、音のようでもあって、匂いのようでもあって、味のようでもあって、でも、やっぱり光みたいな、不思議な感覚。
粒? それが、空気の中に散らばっている。
これがマナか? 考えているうちに、ぼわん、というその感覚は消えた。もう一度探すが、どうしても見つからない。
もどかしい。
目を閉じてマナを探ろうとしているうちに、またいつもの強烈な眠気が来て、僕は眠った。
――
久しぶりにピータ村に滞在していたメルチータさんとゲルフが喧嘩した。
「どうして教えてくれないんですか!?」
メルチータさん怒っても魅力がハンパないです。翡翠色の大きな瞳がきりっとゲルフに向けられている。
「ゲルフ様!」
だが、無責任な傍観者でいられたのはそこまでだった。
「――――理由か? 聞いたところで変わらぬぞ」
「……ッ」メルチータさんが息を呑んだ。
僕も驚いた。首筋の後ろのあたりにぶわりと鳥肌が立った。
ゲルフの黒い小さな瞳はむき出しのナイフのように鋭い。
藪の中にいるヘビを見つけたような恐怖を赤ん坊の僕の身体は感じている。これが魔法使いの目だ。そう思った。
「わ、私が、言いふらすと思ったから、ですか?」
メルチータさんの声は震えている。
ゲルフはゆっくりと応えた。「唯一の第7系統魔法じゃ。隠しておきたい。それは間違いないな。じゃが、お主が誰彼かまわず言いふらすような人間でないということは、このわしが1番よくわかっておる」
「じゃあ……どうして!? 火属性も空属性も、使えるようになりました! これで全部で3系統です! 私だっていつか全系統を使えるようになります! ゲルフ様が第7系統を教えてくだされば!」
「……」
「……それは私に才能がないから?」
「お主の才能も、努力も、よくわかっておる」
「なら――――」
「じゃが、この魔法は授けられぬ」
重苦しい沈黙が部屋の中に広がった。
「……なぜ求める?」
話が大きくなってきたな。今回の収穫は多いぞ。魔法は全部で7系統あって、ゲルフはその7番目の系統を使える唯一の魔法使いのようだ。
「知識欲です。世界で唯一の第7系統を使ってみたい。ただ、それだけ」
僕はメルチータさんを観察する。
おそらく、メルチータさんの言ったことは本心だ。その魔法をもらって最強の魔女になりたいとか、復讐したいとか、そういうギラついたものをメルチータさんからは感じない。
だが、ゲルフは答えない。
「……ゲルフ様、理由、教えてくれてません」
ゲルフがテコでも動かないと分かったのだろう、メルチータさんの声にはトゲがある。
「単純なことよ。――お主よりも才のありそうな者を見つけた」
メルチータさんの緑の目が大きく見開かれた。
「……だれ、なんですか?」
腹が立つ。メルチータさんは泣きそうだ。心優しい彼女ににこんな表情をさせたどこかの誰かに腹が立つ。
そして、そいつに秘伝の魔法を授けると決めた、ゲルフにも。
「――――タカハじゃ」
「え?」とメルチータさんが言う。
どこのどいつだよ、その胡散臭い名前の野郎は。ていうか高橋みたいな名前だね。笑える。大人になったらメルチータさんに代わって僕が仕返ししてやる。覚悟しとけよ。タカハ。
……………………僕じゃん。
「タカハくんに才能が?」とメルチータさんは言った。
純粋な驚きのほうが大きい、そんな口調だった。
「タカハはすでにマナを目で追っておる」
「本当ですか!?」
「17秒あたり回路はすでに17マナを超えておる」
「……って、9歳の平均くらいです、ね……。1歳なのに……。あはは……」
「マナを偶然視ることができるようになったのじゃろうな。そのせいで、回路が自然と鍛えられておるようじゃ」
僕は首をかしげる。どうリアクションしたらいいか分かんないよ。だってマナを視ろって言ったのはゲルフだ。時間は有り余ってたし、暇だったからなんとか見ようとしていたけど、そんなすごいことなのか。
「父親としての甘えを引き算しても……タカハにこの魔法を託したほうが面白い。魔法使いとしてそう思ったのじゃ」
ひどい言葉だ。もっとオブラートに言いいなよ。むしろ言わなくてよかったでしょ。
でも、今の僕には言葉がない。文字通り。
メルチータさんは目を伏せていた。
大きくため息を吐き出すと、言った。「……分かりました」
「行くか?」
「はい。ピータ村に滞在できるのもあと数日でしたし……。教わるべきことは全て頂きました。ゲルフ様」
「いつもは老婆心から様々な忠告をするが、お主に関しては何もない。間違いなく1番の才能だった」
「2番、ですよね?」とメルチータさんは笑う。
ゲルフは不意打ちに表情を歪める。「……そうであったな」
「ゲルフ様はどうして都に住まないのですか? こう言ってはなんですが、教えるのもお上手だし、魔法の知識も深いです。いい暮らしが出来ると思います」
「都は騎士が多すぎる。それに、わしは人と会話をするのが嫌いなのじゃ」
「ふふっ。たしかに冗談もお下手ですもんね」
「……小娘め」
メルチータさんは僕のほうに近づいてきた。エルフのお姉さまがいつかのように僕を抱きかかえる。あのときの僕は幼かった。メルチータさんの胸に抱かれてはしゃいでいた。今の僕はじっくりと背中でその感触を確かめる紳士だ。
「静かなんだね、タカハくん」
「メ、ル……」
「私の名前覚えてくれたんだ」
メルチータさんが笑うと、キラキラして見える。
そのキラキラをまとったまま、メルチータさんは言った。
「恨んじゃうけど、ごめんね」
「……」
言葉、分かんないと思ってるんだろうな。
ため息をつきそうになる。それはやめて、首をかしげる。
「メル……がんば」
メルチータさんは驚いたような表情をして、その後、笑った。「生意気な子だ」
「だ」
僕はそう言った。
絶妙なアクセントで『お会いしましょう。またいつか』という意味を表現した。
「うん、またね。すごい魔法使いになって会いに来てね」
メルチータさんは儚い微笑を浮かべて、呟いた。
「なーんて。ずっと話しかけてたけど、タカハくん1歳だもんね。言葉、わかんないよね? わかるのかな……?」
な、なにいいいいッ!
メルチータさんと会話できたと思っていたすべては、偶然の産物だったってことか。
僕はヘコんだ。正直、かなりヘコんだ。
「ね、タカハくん。繰り返してみて。”火”」
いやいや、お安い御用ですよ?
〈火〉って言えばいい。
『対訳』の力が僕の舌や喉を勝手に制御し、言おうと思った単語を口にする。
「”火”」
…………あれ?
最初の違和感はかすかなものだった。
僕が口にした言葉は、ふだん僕たちが使っている『リームネイル語』とは違うような気がした。
次の違和感は、はっきりと僕の目の前にあった。
「――――嘘」
メルチータさんが瞳と表情を凍り付かせて僕を見ている。
「そん、な――」
「タカハ」
ずい、とメルチータさんの向こうからゲルフが顔を見せた。ゲルフの表情もまた、メルチータさんと同じように険しい。
「もう1度繰り返してみよ。”火”」
「”火”」と僕は言った。
「”土”」
「”土”」
さっきから何の実験をしているのだろう?
僕は言われたとおりに答えただけだ。
それなのに、2人の魔法使いが、あり得ないものを見るように僕を見ている。
「……?」
「メルチータ」
すがるような僕の視線を無視し、ゲルフはメルチータさんに顔を向けた。メルチータさんもまた真剣な表情で頷いた。
「はい。もちろん分かっています。決して他言しません」
メルチータさんはこわばっていた表情をかすかに崩して、僕にもう1度微笑みかけてくれた。
「それに、今のを聞いて、諦めもつきました。たったの一瞬で、2系統の発音をこなせるようになるなんて……」
「……わしも、気付いておらなんだ」
「タカハくんと再会できる日のことが今から楽しみです。……ちょっと、羨ましいくらい」
どういうことだ?
僕の今の発音って、すごいの?
『対訳』の力が2人を驚かせた……?
「では、ゲルフ様、これで」
「うむ。……お主の未来に、精霊様のご加護があらんことを」
「ありがとうございました。ゲルフ様とタカハくんにも、祝福がありますように」
メルチータさんが柔らかい手つきで僕をカゴに戻す。
「元気でね、タカハくん。本当に、また会えるのを楽しみにしてるから」
美しい金色の髪があっさりと視界から消えた。
いい匂いが僕の服に少しだけ残っていた。
「……タカハ、お前は……」
何かを言いかけたゲルフは、しばらく僕を見つめ続けた。真っすぐに僕の深いところを貫くようなその視線の意味を、僕は理解できなかった。
僕の何かが、ゲルフとメルチータさんを驚かせた。
それは、なんだ……?
結局、この疑問の答えは見つけられないまま――――ピータ村を、春が5つ巡った。




