第8話 魔神と世界樹
9回目の投稿です
少しいつもより時間が早いですが投稿します
拙い文章ですが御願いします
俺は今世界樹と通信をしています。
ギミーが中継をしてくれてます。
かなり痛いです。チョウ痛いです。もう嫌です。
だって頭からまるかじりですよ。おかしいでしょこれ、この状況う〜んシュールだ。
「え〜と、世界樹さんですか。他にお名前とか愛称とかないですかね。世界樹さんでは呼びずらいですよ」
《私は世界を支え循環させる世界樹、それ以外の名前はありません》
《そんなことより今は、私の足元にある森の民の街で暴れる魔樹を、どうにかして欲しいのです》
そうですね。暢気に話してる場合じゃないですよね。
「え〜と、あの魔樹を倒すのですか。俺はそんなに強くないですよ」
《あの魔樹の目的は私に取り付き、この世界のバランスを崩す事。このままでは、貴方の世界にも影響が出るでしょう》
ありゃりゃ、俺の世界が寄生してるの知ってるんですね。
まぁ、知ってて当然か、世界を支えるとか言ってたし。
《あの魔樹には私の力が及びませんが、貴方はこの世界より上位の存在。何卒お力をお貸し願います》
俺の世界にもか。
仕方ないですね。倒しにいきますか。
ユキもいるし大丈夫でしょう。
俺は世界樹の願いを引き受け、ユキに跨がりエルフの街に急いだ。
街に近付くと、エルフ達が右往左往して大混乱している。
そして外壁の門では、街の外に逃げ出そうとする者や、泣き叫ぶ者で大混雑していた。
「うひゃー、これはまた凄い混雑だな」
これは街に入れそうにないな。
「ガウ、ガウーン」
ユキが吠え声をあげると、俺達を見つけてさらに大恐慌となった。
ユキさん、それは逆効果だから駄目だよ。
エルフ達の中には、俺達に向けて魔法を放つ者もいたが、全てユキの闇のオーラで吸収されていた。
特に偉そうにしていた男と、取り巻き達は慌てて魔法を放って、周りのエルフ達にも被害をだす有り様です。
うざいので、ユキが威嚇して俺が神矢100を足元に放つと、驚いて泡を吹いて引っくり返っていたけど、大丈夫ですかね。
もしかしたらエルフの長老とかだったらまずいですね。
でも偉い人なら世界樹を護らず、逃げ出すのは駄目でしょう。
まぁいいか、後は知らん。
ユキは門から離れるように走り出し、門からかなり離れた場所でそのまま外壁を飛び越して、家々の屋根の上を飛び移りながら疾走する。
飛び移る際に何軒かの家は崩れたけどね。
俺は知らんもんね。
いやー、相変わらずユキさんはチートですね。
これなら魔樹を相手にしても楽勝ですね。
とこの時まで思ってました。
戦いを軽く考えて、簡単に引き受けたら駄目ですね。
魔樹は既に世界樹の傍まで迫っていて、世界樹の前には何百人ものエルフが集まり、魔法で迎撃しているが大した効果をあげていない。
魔樹が、世界樹に到達するのは時間の問題のようだ。
俺達が近付いて行くとなにを思ったのか、エルフ達は俺達にも攻撃してきた。
何ですか。貴方達は先程も攻撃してきたし、俺達は味方ですよ。
勘弁してよ。
魔樹に近付くにつれて俺の心がざわつく。
この感覚は覚えがある。
俺は試しに神矢1000を放つと、太い幹に当たり削るが、黒い霧が漂い傷を回復させる。
やはりウォーターリザーと同じだ。
これは簡単に引き受けるのではなかったと、後悔しながらさらに近付く。
近付くと魔樹はかなり大きいのがわかる。
20メートル程の高さに5メートル近い幹を持ち、根をウネウネと動かして前に進んでいる。
色は黒で何本もある枝を鞭のように振り回して、周りの家々を破壊している。
ふっふふふ。しかーし、今回の俺には大量のポイントがある。
あれ、前も似たような事を言った記憶が。
「取り敢えずは、これでどうだ」
俺は神矢1000を続けて3発撃つが、魔樹は枝を犠牲にして防いでくる。
「ありゃ、失敗したか」
そして犠牲にした枝が、見るまに回復していく。
こいつはウォーターリザーの時より回復が早いな。
かなり厄介だぞ。
初撃に高ポイントで撃ち込めばよかったな。
後悔しても仕方ない。近付いて高ポイントか、ユキの火炎しかないな。
俺達は接近戦を挑むためさらに近付いていく。
近付く俺達に気付いたのか枝を振り回してくるが、ユキが軽やかにかわしていく。
おっ、おっと危ない。
今度は先の尖った根が突然、足下の地面から伸びてくるがこれもヒラリとかわす。
ユキは先程から右に左へ素早くかわしていく。
凄いですユキさん。
そして俺は落とされないように背中にしがみついている。
うぅぅ……俺って一体情けない……トホホ。
魔樹の攻撃が激しくて近付く事ができない。
これはまいったな。
今度は俺が、神矢で枝を撃ち払う事にする。
俺が神矢500で細かく襲いくる枝を撃ち払い、ユキは地面から伸びる根をかわし、魔樹との距離を詰める。
魔樹まで5メートル程の距離まで詰めると
「よし、今度はいけるぞ。今だ、ユキ火炎で燃やしてしまえ」
俺の合図でユキが火炎を吐き出すが、魔樹は黒いオーラで吸収する。
「ちっ、駄目か」
あれはユキの闇のオーラと同じような物か。
ならもっと近付くだけだ。
魔樹が黒いオーラで、吸収するのに動きを数瞬止めた隙をついて、更に肉薄する。
手を伸ばせば届く距離まで迫り、すれ違いざまに俺は魔樹の幹に手を伸ばした。
そして掌が幹に触れた瞬間
「これでどうだ、神矢10000!」
と叫び正に放とうとした時に
「えっ、なに、ギミーか?」
頭の上にいたはずのギミーが、俺の腕にかじりついて邪魔をした。
えー、うそー絶好の機会だったのに。
俺達は一旦、魔樹から距離を取った。
ギミーはケタケタ声を張り上げて、興奮して訴えてくる。
俺は状況がわからないので、ギミーを中継して世界樹さんに聞いてみる事にした。
ちょっと痛いけどね。
「あーもしもし、世界樹さん。もう呼びにくいからセジューさんでいいや」
《あら、名前を頂いたのかしら。嬉しいわ》
げっ、聞こえてた。
それに何故か、くだけた喋り方になってるし。
まぁ、いいか。
「セジューさん、あのですね。このギミーが邪魔をするんですが、どういう事でしょうか」
《ふふふ。その子にも名前を付けたのですね。……しかしそうですか、その子が……》
少しの間の後、またセジューさんが話出した。
《わかりました話ましょう。あの魔樹には多数の木精達が、取り込まれています。貴方の戦いに影響を与えてはと、黙っていましたが》
えっ、えーそれはあのまま攻撃していたらギミーの仲間も、いやギミーにとっては家族かも知れない木精達も、まとめて倒していたのか。
「セジューさん、駄目ですよ。助けないと」
《仕方ない事なのです。エルフ達や他の木精達を、この世界のバランスを守るため》
そんな馬鹿な。世界を皆を守る為に、家族を犠牲にしたら駄目だ。
「セジューさん、木精は貴方の眷属、家族じゃないですか、家族を犠牲にするのは許せません。俺は認めない。俺が助ける」
「それに家族を犠牲にすれば、必ず汚泥のように心に溜まり。セジューさんのバランスをくずしますよ」
とかっこつけたが、どうしようと考えていると
《貴方は不思議な方です。聖と邪ふたつが同居する不思議な神》
更に続けて、
《わかりました。どうか私の子供達木精をお救い下さい》
そして更に続けて
《私の力では魔樹に影響を与える事はできませんが、貴方の封印を少し解き、今使える能力を解放する事ができるでしょう》
俺が封印されてる事がわかっているのか。
ミギーから力が流込んでくると、心の中で何かひとつ鎖が外れるような感覚を覚え、心の奥底で黒い塊が身動ぎするのを感じた。
今のは…………。
俺はレクターのレベル上昇のいつものアナウンスが、頭の中で響き我に返った。
そうだ、今はやるべき事がある。考えてる場合じゃない。
《高レベルの封印の為、私の力ではここまでです。後は御願いします。無茶な事だと思いますが、どうか私の子供達を……》
確かに無茶な事だが、セジューさんやギミーの為、皆の為に頑張りますか。
俺は心を高揚させて能力を確認する。
俺はレベルがひとつ上がり、当然のように能力値は変わらないが、スキルがひとつ解放されていた。
<魔力操作>
魔素を吸収し魔力に変換して操作する事ができる
レベルに依存する
う〜ん、俺は封印のためか、魔力は使えないのだが。
しかしセジューさんは、使える能力を解放すると言っていたからな。
試してみるか。
ウォーターリザーの時と同じなら、あの黒い塊がとりついているはずだ。
このスキルで、あの黒い塊を引っ張り出せば、助けられるかもしれない。
ユキに合図して、また魔樹の攻撃をかわしながら近付いていく。
俺は魔素吸収を試してみる。
「我は異界の魔神、汝闇の者よ、依り代より出でよ」
ちょっと、かっこつけて念じてみました。
あっ、駄目だ。
見えない手が、相手を掴んだ感触はあるが。
これは両方が動きを止めないと、使えないようだ。
「何とかあいつをを止めないと」
すると俺の呟きが聞こえたのかユキが
「バウ、バウ」
とギミーに声をかけると
「ケタ、ケタ、ケータ」
とゆきに返す。
あれ、もしかしてユキさんは、ギミーと会話できるみたいですね。
またですか。またですね。
また俺だけ除け者ですか……トホホ。
そしてギミーは大声で空に向かって
「ケタ、ケタ、ケータ」
と叫ぶとその声は森中に響き渡る。
すると、森のあちらこちらから木精達が集まり始めた。
その数を瞬く間に増やしていき、俺達の上空には何百何千の木精達が集まり出した。
木精達はケタケタ声をだしながら花粉の様な物を吐き出すと、その大量の花粉は渦を巻いて魔樹を包み込んでいく。
花粉は状態異常を付与するのか、魔樹は次第に動きを止めて、最後には痺れたように動きを止めた
俺はこの時を逃さずもう一度、魔素吸収をすると今度は確かな手応えがあった。
「後、後少しで引っ張り出せる」
見ると魔樹から黒い塊が、ズルズルと湧き出てくる。
しかし魔樹は状態異常付与がきれたのか、ブルブル震えて今にも動き始めそうだ。
俺は渾身の力をふりしぼるが
「くっ、後少し力が!」
するとギミーを通してセジューさんの力が、いやセジューさんの力だけでなく、木精達のここにいる全ての者の力が俺に流込んでくる。
ユキもバウバウと応援してくる。
これでどうにかしないと男が廃るよ。
もう一度、渾身の力をこめて引っ張る。
「うりゃ、これでどうだ」
魔樹の体の中心から黒いグネグネ動く塊が、ズボッと音をたてて飛び出して来た。
俺はその黒い塊を見えない手で、そのまま空に向かって放り投げて
「これで終わりだ、神矢10000!」
黒い塊は、神矢が命中して爆散して消滅した
「やはり、あいつが原因だったか」
魔樹を見ると完全に動きを止めていた。
俺は慎重に神矢で細かく魔樹を削っていくと、中から数十匹の木精達が、ワラワラと転がり出てきた。
かなり衰弱しているようなので、神オーラで回復していると
今まで黙って眺めていたエルフ達が、動かなくなった魔樹に魔法を撃ち込み粉々に粉砕して、大歓声をあげている。
う〜ん、それは最後は自分達が、倒したと思ってないですか。
頑張って倒したの俺なのに酷いです。
上空を見上げれば木精達が、ケタケタ喜びの声をあげ空を舞っている。
ギミーもユキも喜びの声をあげている。
まあ、いいか。
《ありがとうございます。今回は本当に助かりました》
「あっ、そういえばまだ自己紹介もまだでしたね」
「俺は魔神のツヨシです。かってに居候していますが、これからも仲良く御願いします」
《ふふふ、本当に不思議な神ですね》
《今回は私が聞きたい事や相談したい事があったので、木精達に案内させ此処に連れてくるように命じたのですが、あのような魔樹が現れるとは》
《今回も神々が送り込んできたと思ったのですが、あれは一体……》
「えーと、セジューさんはもしかして、神々と対立する存在なのですか」
《あの者達はかってに神を名乗っているだけです》
《それは後でゆっくりと相談しましょう。今は私の巫女に貴方達を歓待させるとしましょう》
うわ〜、これは厄介事に巻き込まれそうだ。これは断って帰るか。
「あーと、俺はそういう事は苦手なので」
俺がそう言って断ろうとしていると、エルフ達をかき分けて、白い衣装を纏った女性のエルフが現れた。
キター、きましたよ。
エルフの巫女、しかも絶世の美女ですよ。
この世界にきて初めてですよ。
今までの俺の周りには……感激して泣きそうです。泣きます。
「ガウ、ガウ」
「えっ、なに、ちょっ、ちょっと待って、えっ、うそ〜」
ユキが突然何故か怒りだし、俺を乗せたまま街の外に向かって、エルフ達を飛び越え全力疾走です。トホホ。
「というわけなんで、セジューさんお別れのようです。さようならー」
あれ頭の上にギミーがかじりついたままですけど、いいのかな。
《ふふふ、本当に面白い方達。その子は貴方が気に入ったようです。そのままお連れ下さい》
「えーと、それって俺の眷属にしても」
《構いません。むしろそのほうが良いでしょう。これが子供を嫁にだす母親の心境でしょうか。これからは私は義理の母ですね》
母って、そんな無茶苦茶な。
《それに、その子がいればいつでも連絡が取れるから良いでしょう。それではまた後で、落ち着いてから連絡しましょう》
言いたい事言って切っちゃったよ。どんだけですか。
ユキは外壁を飛び越えて南に走ると、途中でエルフやコボルト達を飛び越えて行く。
ありゃりゃ、今頃きても遅いですよ。
ふふふ、事件は全てこの俺が解決しましたよ。ハハハハはっあぶなー。
ユキの運転が荒っぽいです。
ユキは今回も頑張ったしね。
俺はユキを撫でながら今回はギミーが家族に加わるし、これで良かったと思う。
そして俺達は塔に帰るため、南に向かって走る。
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墨を垂らしたような闇の中微かに動く物がある。
<監視のため><送った体の一部が暴走して><消滅><消滅><消滅した>
<危険><覚醒><覚醒した><いやまだ>
<封印されたまま>
<このままだと><危険>
<封印の強化><強化>
<いや闇にとりこめ><闇へ><闇へ>
<<<<闇へ>>>>
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次回
帝国と騎士団
ついに帝国も動きだす
更なる混迷を塔にもたらす
ツヨシ達、魔神の塔の面々はどうなる
一章も佳境にはいり一章最終話に向け加速する
次回もお楽しみに