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異界の魔神  作者: 飛狼
9/31

第8話 魔神と世界樹

9回目の投稿です


少しいつもより時間が早いですが投稿します


拙い文章ですが御願いします


 俺は今世界樹と通信をしています。

 ギミーが中継をしてくれてます。

 かなり痛いです。チョウ痛いです。もう嫌です。

 だって頭からまるかじりですよ。おかしいでしょこれ、この状況う〜んシュールだ。


「え〜と、世界樹さんですか。他にお名前とか愛称とかないですかね。世界樹さんでは呼びずらいですよ」


《私は世界を支え循環させる世界樹、それ以外の名前はありません》


《そんなことより今は、私の足元にある森の民の街で暴れる魔樹を、どうにかして欲しいのです》


 そうですね。暢気に話してる場合じゃないですよね。

「え〜と、あの魔樹を倒すのですか。俺はそんなに強くないですよ」


《あの魔樹の目的は私に取り付き、この世界のバランスを崩す事。このままでは、貴方の世界にも影響が出るでしょう》


 ありゃりゃ、俺の世界が寄生してるの知ってるんですね。

 まぁ、知ってて当然か、世界を支えるとか言ってたし。


《あの魔樹には私の力が及びませんが、貴方はこの世界より上位の存在。何卒お力をお貸し願います》


 俺の世界にもか。

 仕方ないですね。倒しにいきますか。

 ユキもいるし大丈夫でしょう。

 俺は世界樹の願いを引き受け、ユキに跨がりエルフの街に急いだ。


 街に近付くと、エルフ達が右往左往して大混乱している。

 そして外壁の門では、街の外に逃げ出そうとする者や、泣き叫ぶ者で大混雑していた。


「うひゃー、これはまた凄い混雑だな」

 これは街に入れそうにないな。


「ガウ、ガウーン」

 ユキが吠え声をあげると、俺達を見つけてさらに大恐慌となった。

 ユキさん、それは逆効果だから駄目だよ。


 エルフ達の中には、俺達に向けて魔法を放つ者もいたが、全てユキの闇のオーラで吸収されていた。

 特に偉そうにしていた男と、取り巻き達は慌てて魔法を放って、周りのエルフ達にも被害をだす有り様です。

 うざいので、ユキが威嚇して俺が神矢100を足元に放つと、驚いて泡を吹いて引っくり返っていたけど、大丈夫ですかね。

 もしかしたらエルフの長老とかだったらまずいですね。

 でも偉い人なら世界樹を護らず、逃げ出すのは駄目でしょう。

 まぁいいか、後は知らん。


 ユキは門から離れるように走り出し、門からかなり離れた場所でそのまま外壁を飛び越して、家々の屋根の上を飛び移りながら疾走する。

 飛び移る際に何軒かの家は崩れたけどね。

 俺は知らんもんね。

 いやー、相変わらずユキさんはチートですね。

 これなら魔樹を相手にしても楽勝ですね。

 とこの時まで思ってました。

 戦いを軽く考えて、簡単に引き受けたら駄目ですね。


 魔樹は既に世界樹の傍まで迫っていて、世界樹の前には何百人ものエルフが集まり、魔法で迎撃しているが大した効果をあげていない。

 魔樹が、世界樹に到達するのは時間の問題のようだ。


 俺達が近付いて行くとなにを思ったのか、エルフ達は俺達にも攻撃してきた。

 何ですか。貴方達は先程も攻撃してきたし、俺達は味方ですよ。

 勘弁してよ。


 魔樹に近付くにつれて俺の心がざわつく。

 この感覚は覚えがある。

 俺は試しに神矢1000を放つと、太い幹に当たり削るが、黒い霧が漂い傷を回復させる。

 やはりウォーターリザーと同じだ。

 これは簡単に引き受けるのではなかったと、後悔しながらさらに近付く。


 近付くと魔樹はかなり大きいのがわかる。

 20メートル程の高さに5メートル近い幹を持ち、根をウネウネと動かして前に進んでいる。

 色は黒で何本もある枝を鞭のように振り回して、周りの家々を破壊している。


 ふっふふふ。しかーし、今回の俺には大量のポイントがある。

 あれ、前も似たような事を言った記憶が。


「取り敢えずは、これでどうだ」

 俺は神矢1000を続けて3発撃つが、魔樹は枝を犠牲にして防いでくる。


「ありゃ、失敗したか」


 そして犠牲にした枝が、見るまに回復していく。


 こいつはウォーターリザーの時より回復が早いな。

 かなり厄介だぞ。

 初撃に高ポイントで撃ち込めばよかったな。


 後悔しても仕方ない。近付いて高ポイントか、ユキの火炎しかないな。

 俺達は接近戦を挑むためさらに近付いていく。


 近付く俺達に気付いたのか枝を振り回してくるが、ユキが軽やかにかわしていく。

 おっ、おっと危ない。

 今度は先の尖った根が突然、足下の地面から伸びてくるがこれもヒラリとかわす。

 ユキは先程から右に左へ素早くかわしていく。

 凄いですユキさん。

 そして俺は落とされないように背中にしがみついている。

 うぅぅ……俺って一体情けない……トホホ。


 魔樹の攻撃が激しくて近付く事ができない。

 これはまいったな。

 今度は俺が、神矢で枝を撃ち払う事にする。


 俺が神矢500で細かく襲いくる枝を撃ち払い、ユキは地面から伸びる根をかわし、魔樹との距離を詰める。


 魔樹まで5メートル程の距離まで詰めると

「よし、今度はいけるぞ。今だ、ユキ火炎で燃やしてしまえ」

 俺の合図でユキが火炎を吐き出すが、魔樹は黒いオーラで吸収する。

「ちっ、駄目か」

 あれはユキの闇のオーラと同じような物か。

 ならもっと近付くだけだ。

 魔樹が黒いオーラで、吸収するのに動きを数瞬止めた隙をついて、更に肉薄する。

 手を伸ばせば届く距離まで迫り、すれ違いざまに俺は魔樹の幹に手を伸ばした。

 そして掌が幹に触れた瞬間

「これでどうだ、神矢10000!」

 と叫び正に放とうとした時に

「えっ、なに、ギミーか?」

 頭の上にいたはずのギミーが、俺の腕にかじりついて邪魔をした。

 えー、うそー絶好の機会だったのに。


 俺達は一旦、魔樹から距離を取った。

 ギミーはケタケタ声を張り上げて、興奮して訴えてくる。

 俺は状況がわからないので、ギミーを中継して世界樹さんに聞いてみる事にした。

 ちょっと痛いけどね。


「あーもしもし、世界樹さん。もう呼びにくいからセジューさんでいいや」


《あら、名前を頂いたのかしら。嬉しいわ》


 げっ、聞こえてた。

 それに何故か、くだけた喋り方になってるし。

 まぁ、いいか。


「セジューさん、あのですね。このギミーが邪魔をするんですが、どういう事でしょうか」


《ふふふ。その子にも名前を付けたのですね。……しかしそうですか、その子が……》


 少しの間の後、またセジューさんが話出した。

《わかりました話ましょう。あの魔樹には多数の木精達が、取り込まれています。貴方の戦いに影響を与えてはと、黙っていましたが》


 えっ、えーそれはあのまま攻撃していたらギミーの仲間も、いやギミーにとっては家族かも知れない木精達も、まとめて倒していたのか。


「セジューさん、駄目ですよ。助けないと」


《仕方ない事なのです。エルフ達や他の木精達を、この世界のバランスを守るため》


 そんな馬鹿な。世界を皆を守る為に、家族を犠牲にしたら駄目だ。

「セジューさん、木精は貴方の眷属、家族じゃないですか、家族を犠牲にするのは許せません。俺は認めない。俺が助ける」


「それに家族を犠牲にすれば、必ず汚泥のように心に溜まり。セジューさんのバランスをくずしますよ」

 とかっこつけたが、どうしようと考えていると


《貴方は不思議な方です。聖と邪ふたつが同居する不思議な神》

 更に続けて、

《わかりました。どうか私の子供達木精をお救い下さい》

 そして更に続けて

《私の力では魔樹に影響を与える事はできませんが、貴方の封印を少し解き、今使える能力を解放する事ができるでしょう》


 俺が封印されてる事がわかっているのか。


 ミギーから力が流込んでくると、心の中で何かひとつ鎖が外れるような感覚を覚え、心の奥底で黒い塊が身動ぎするのを感じた。

 今のは…………。


 俺はレクターのレベル上昇のいつものアナウンスが、頭の中で響き我に返った。

 そうだ、今はやるべき事がある。考えてる場合じゃない。


《高レベルの封印の為、私の力ではここまでです。後は御願いします。無茶な事だと思いますが、どうか私の子供達を……》


 確かに無茶な事だが、セジューさんやギミーの為、皆の為に頑張りますか。

 俺は心を高揚させて能力を確認する。


 俺はレベルがひとつ上がり、当然のように能力値は変わらないが、スキルがひとつ解放されていた。


<魔力操作>

魔素を吸収し魔力に変換して操作する事ができる

レベルに依存する


 う〜ん、俺は封印のためか、魔力は使えないのだが。

 しかしセジューさんは、使える能力を解放すると言っていたからな。

 試してみるか。

 ウォーターリザーの時と同じなら、あの黒い塊がとりついているはずだ。


 このスキルで、あの黒い塊を引っ張り出せば、助けられるかもしれない。


 ユキに合図して、また魔樹の攻撃をかわしながら近付いていく。


 俺は魔素吸収を試してみる。

「我は異界の魔神、汝闇の者よ、依り代より出でよ」

 ちょっと、かっこつけて念じてみました。


 あっ、駄目だ。

 見えない手が、相手を掴んだ感触はあるが。

 これは両方が動きを止めないと、使えないようだ。


「何とかあいつをを止めないと」

 すると俺の呟きが聞こえたのかユキが

「バウ、バウ」

 とギミーに声をかけると


「ケタ、ケタ、ケータ」

 とゆきに返す。


 あれ、もしかしてユキさんは、ギミーと会話できるみたいですね。

 またですか。またですね。

 また俺だけ除け者ですか……トホホ。


 そしてギミーは大声で空に向かって

「ケタ、ケタ、ケータ」

 と叫ぶとその声は森中に響き渡る。


 すると、森のあちらこちらから木精達が集まり始めた。

 その数を瞬く間に増やしていき、俺達の上空には何百何千の木精達が集まり出した。


 木精達はケタケタ声をだしながら花粉の様な物を吐き出すと、その大量の花粉は渦を巻いて魔樹を包み込んでいく。


 花粉は状態異常を付与するのか、魔樹は次第に動きを止めて、最後には痺れたように動きを止めた


 俺はこの時を逃さずもう一度、魔素吸収をすると今度は確かな手応えがあった。


「後、後少しで引っ張り出せる」


 見ると魔樹から黒い塊が、ズルズルと湧き出てくる。

 しかし魔樹は状態異常付与がきれたのか、ブルブル震えて今にも動き始めそうだ。


 俺は渾身の力をふりしぼるが

「くっ、後少し力が!」

 するとギミーを通してセジューさんの力が、いやセジューさんの力だけでなく、木精達のここにいる全ての者の力が俺に流込んでくる。

 ユキもバウバウと応援してくる。


 これでどうにかしないと男が廃るよ。

 もう一度、渾身の力をこめて引っ張る。

「うりゃ、これでどうだ」

 魔樹の体の中心から黒いグネグネ動く塊が、ズボッと音をたてて飛び出して来た。

 俺はその黒い塊を見えない手で、そのまま空に向かって放り投げて

「これで終わりだ、神矢10000!」

 黒い塊は、神矢が命中して爆散して消滅した


「やはり、あいつが原因だったか」


 魔樹を見ると完全に動きを止めていた。


 俺は慎重に神矢で細かく魔樹を削っていくと、中から数十匹の木精達が、ワラワラと転がり出てきた。

 かなり衰弱しているようなので、神オーラで回復していると

 今まで黙って眺めていたエルフ達が、動かなくなった魔樹に魔法を撃ち込み粉々に粉砕して、大歓声をあげている。

 う〜ん、それは最後は自分達が、倒したと思ってないですか。

 頑張って倒したの俺なのに酷いです。


 上空を見上げれば木精達が、ケタケタ喜びの声をあげ空を舞っている。

 ギミーもユキも喜びの声をあげている。

 まあ、いいか。


《ありがとうございます。今回は本当に助かりました》


「あっ、そういえばまだ自己紹介もまだでしたね」


「俺は魔神のツヨシです。かってに居候していますが、これからも仲良く御願いします」


《ふふふ、本当に不思議な神ですね》


《今回は私が聞きたい事や相談したい事があったので、木精達に案内させ此処に連れてくるように命じたのですが、あのような魔樹が現れるとは》


《今回も神々が送り込んできたと思ったのですが、あれは一体……》


「えーと、セジューさんはもしかして、神々と対立する存在なのですか」


《あの者達はかってに神を名乗っているだけです》


《それは後でゆっくりと相談しましょう。今は私の巫女に貴方達を歓待させるとしましょう》


 うわ〜、これは厄介事に巻き込まれそうだ。これは断って帰るか。


「あーと、俺はそういう事は苦手なので」


 俺がそう言って断ろうとしていると、エルフ達をかき分けて、白い衣装を纏った女性のエルフが現れた。


 キター、きましたよ。

 エルフの巫女、しかも絶世の美女ですよ。

 この世界にきて初めてですよ。

 今までの俺の周りには……感激して泣きそうです。泣きます。


「ガウ、ガウ」


「えっ、なに、ちょっ、ちょっと待って、えっ、うそ〜」

 ユキが突然何故か怒りだし、俺を乗せたまま街の外に向かって、エルフ達を飛び越え全力疾走です。トホホ。


「というわけなんで、セジューさんお別れのようです。さようならー」


 あれ頭の上にギミーがかじりついたままですけど、いいのかな。


《ふふふ、本当に面白い方達。その子は貴方が気に入ったようです。そのままお連れ下さい》


「えーと、それって俺の眷属にしても」


《構いません。むしろそのほうが良いでしょう。これが子供を嫁にだす母親の心境でしょうか。これからは私は義理の母ですね》


 母って、そんな無茶苦茶な。


《それに、その子がいればいつでも連絡が取れるから良いでしょう。それではまた後で、落ち着いてから連絡しましょう》

 言いたい事言って切っちゃったよ。どんだけですか。


 ユキは外壁を飛び越えて南に走ると、途中でエルフやコボルト達を飛び越えて行く。


 ありゃりゃ、今頃きても遅いですよ。

 ふふふ、事件は全てこの俺が解決しましたよ。ハハハハはっあぶなー。


 ユキの運転が荒っぽいです。

 ユキは今回も頑張ったしね。

 俺はユキを撫でながら今回はギミーが家族に加わるし、これで良かったと思う。

 そして俺達は塔に帰るため、南に向かって走る。


**********************


 墨を垂らしたような闇の中微かに動く物がある。

<監視のため><送った体の一部が暴走して><消滅><消滅><消滅した>

<危険><覚醒><覚醒した><いやまだ>

<封印されたまま>

<このままだと><危険>

<封印の強化><強化>

<いや闇にとりこめ><闇へ><闇へ>

<<<<闇へ>>>>


**********************



次回

帝国と騎士団


ついに帝国も動きだす


更なる混迷を塔にもたらす


ツヨシ達、魔神の塔の面々はどうなる


一章も佳境にはいり一章最終話に向け加速する


次回もお楽しみに

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