第5話 コボルトと戦乱の予感
6回目の投稿です
今回はツヨシ?とゆかいな仲間達が暴れますよ
あまり話すとネタばれになるので
それでは本編を楽しんで下さい
駄文ですが宜しくお願いします
俺は今、ゲロゲーロと魚人を前にして話し込んでいる。先程、魚人が器用にも体を曲げて頭を下げて? 挨拶をしてきました。
う〜ん、何ともシュールです。異世界だ。
因みに、ユキは退屈したのか俺の横で寝ています。
「ゲロゲーロ50年前まで此の地は世界樹にも近い故かゲロ魔素が溢れだし特に塔が建っている辺りはゲロ大量の魔素が溢れる珍しい場所で御座いましたゲーロ」
魚人がヒゲをピュルピュルさせて相槌をうつかのように。
「ギョ、ギョ」
この魚人、結構ウザイぞ。さっきからヒゲが、目の前をいったりきたり。
あー、鬱陶しいわ。
2匹、揃うとかなりきついわ。
この凸凹コンビはどこのお笑いコンビだ。
俺に何がしたいのよ。
「ゲロゲーロその為か50年前までゲロ人族の邪神を崇拝する者達にゲロ占拠され本拠地となっておりましたゲーロ」
おっと、そのヒゲ邪魔。
しかし、50年前に邪神を崇拝する者達ですか。
まさかですよね。
「ゲロゲーロ我等は魔素を魔力に変換しゲロ増幅する技に長けていたので各地より集められゲロ実験に使われいたので御座いますゲーロ」
あーそれで、人族に良い感情を持ってないのですね。
差し詰めこの沼は、実験場といった処ですか。
「ゲロゲーロそして邪神に捧げる為にと称してゲロ近くの人族の集落から婦女子をさらいゲロ生け贄に捧げていましたゲーロ」
邪神ってまさかね。
「ゲロゲーロ今より50年前とうとう近くの集落の人族はゲロそれに気付き怒り協力して攻めてまいりましたゲロ邪神を崇拝する者達はこれに対抗してゲロ各地より信者を集め大戦となりましたゲーロ」
魚人が興奮したように相槌をうつ。
「ギョ、ギョ、ギョー」
貴方達は何処の講釈師ですか。べ、べ、ベーンとか似合いそうですよ。
「ゲロゲーロ10日余り続いた戦は信者側が劣勢となりゲロとうとう信者側は自らの拠り所とする邪神をゲロ召喚しようとしたので御座いますゲーロ」
おいおい、50年前に邪神を召喚か、それってもしかして……。
あっユキちゃん、今大事な話してるからね。もう少し大人しく寝てて下さいね。
「ゲロゲーロ信者共は我等を沼の各所に配してゲロ沼を魔方陣に見立て戦で流れた血を贄にしてゲロ塔に流れ込む魔素を魔力に変えてゲロ大規模な召喚を行ったので御座いますゲーロ」
おっ、上手いじゃないか。
間のゲロがなかったら講談で食ってけるぞ。
「ゲロゲーロ空が真っ赤に染まり禍々しき黒き球体がゲロ渦巻きながら天空より舞い降り塔にゆっくりとゆっくりと近づきゲロ戦いし者共も手を止め唖然と黒き球体を見上げゲロこれは召喚が成功したと皆が思った正にその時に〜ゲーロ」
「ギョ、ギョ、ギョー!」
お前ら絶対、調子に乗ってるだろ。
本気で講釈師になるつもりか。
「ゲロゲーロ塔に黒き球体が触れた時ゲロ白き光に満たされ皆が目を閉じ開けた時にはゲロ塔の3階より上部と球体は消えていたので御座いますゲーロ」
う〜ん、時期も合うし俺は邪神だったしな。今は何故か、魔神になってるけどな。
やはり、俺が召喚されたということですか。
「ゲロゲーロ塔に居た指導者も一緒に消えてしまいゲロ戦は終結しそれ以来召喚が失敗した為かゲロ沼では溢れる魔素も微少となり誰も寄り付かないゲロ呪われた沼となったので御座いますゲーロ」
やはり召喚された邪神は俺だろうな。
召喚されて50年後に登場ってどうなのよ。
しかし良かったわ、戦の時に登場してたらどうなってた事やら、考えるだけで恐ろしいね。
それと魔素が微少って、俺の世界が寄生してるからなのか。
おっ、ユキさん後ろから覆い被さるのは止めて下さい。ユキさんの体は大きいから俺はペチャンコですよ。
あと少しですから我慢して下さい。
「そういえば、キング達はどうしている」
「ゲロゲーロキングというのは? ゲーロ」
俺はキングの事を説明するが、ゲロゲーロもよくわからないらしい。
なんでも本来、虫系の魔虫は知性もなく、感情もなく本能で行動しているらしい。
だから戦いの時に彼等が何故、協力したのか不思議がっていた。
陛下の威徳のお陰だとしきりに言っているが、俺も不思議だよ。
勝手に名前を付けたりした所為なのかね。
後はナマズ男に名前を付けた。
苦手なのとめんどくさいので、ギョーと名付けた。
何時もギョーギョー言ってるからね。
喜んでるし、いいよね。
皆を塔に集めるように指示を出して、果樹園に向かう事にする。
皆を、俺達の世界に連れて行かないとね。
俺とユキが塔から出ていこうとすると、1匹の河童がケロケロ言いながら慌てて駆け込んで来た。
どうやら果樹園で何か有ったらしい。
塔から出て、果樹園の方を見ると、火の手が上がっているのが見える。
「ノー! 俺のスイカ!」
俺の命綱のスイカが、少しでも傷付いたら許さん。
許さんぞー!
無くなったら、どうやってユキを宥めるんだよ。
俺はユキに飛び乗り急いで駆け出した。
ユキが、かなり怒ってます。大激怒です。
ユキさんウォーターリザーの時より怒ってませんか? 恐いですよ。
俺はユキに跨がり、廃村を駆け抜けながら状況を確認すると、果樹園の中辺りでファンタジーで謂う所のコボルトですかね、五匹の犬頭人と20人程の人族の兵士が争い、廃屋と化した管理小屋が燃えている。
キング達は何本かのスイカの木に別れ、彼等を威嚇して警戒している。
人族の兵士の一人が先程から、しきりに笛を吹いて仲間を集めているようだ。
何とかスイカは無事なようだ。
キングはエライ。
スイカの木からは離れず、ちゃんと守ってくれているようだ。
「奴等も他所で戦えばいいのに、家の庭を荒らした天罰だ。突撃だ!」
あっ、ユキさんすいません。嘘です降ろして下さい。俺は乱戦に弱いです。
「ギャー、止めて。降ろして〜」
ユキは人族とコボルト達の間を駆け抜けて、キング達の傍で降ろしてくれた。
ユキさんは解ってくれてたようです。
すいません最弱神で。
ユキに余りやり過ぎないように言い聞かせて、突入させようとすると、森の中から30人程の人族が現れ、行き成り火の玉を俺達に向け打っ放してきた。
ユキが俺の前に立ちはだかり、黒いオーラを体から放出する。
そして火の玉を吸収するように霧散させて
「ウォーン」
一声、雄叫びを上げて突撃していく。
俺は知らんよ。どうなっても、ウチのユキさんを怒らせると。
ユキさんの無双です。
人族の後続の部隊も来たようですが、もう関係ないです。
持ってる武器で斬りつけようが、突こうが無傷です。
火の玉、あれは魔法のファイアーボールとかですかね。それも吸収されるし。
ユキは一応手加減してるようで、牙や爪は使わず軽く体当りしてるだけですが、10メートル程吹っ飛んでますねえ。大丈夫ですかね。
人族の中には廃村の方に逃げ出す者も出てきたが、今度は俺を追いかけて来ていた200匹近い河童達と遭遇して、泡を食ってもどった所をユキに体当りを喰らってますね。
河童達は何を思ったのか、果樹園に入った所で整列してケロケロと大合唱を始めました。
何がしたいのかな君達は、バックミュージックのつもりですかね。
今度はジジジと、キングが俺に訴えるように鳴き出す。貴方も参加したいのですか。
もう好きにして下さい。
但し手加減してね。どちらが悪いか解らないからね。
コボルト達が盗賊で、人族が捕まえに来ただけかも知れませんからね。
キングはジジジと鳴くと飛び出していった。
解ってるのかね。
あれっ、そういえば祝福を与えた時は人形態だったと思ったが、今は体が倍近く大きくなったが、角が1本増えただけで姿形は前と変わらない。
何故だろうと見ていると。
キングは人族の中で偉そうにしている人の上空に来ると、一瞬、光ったかた思うと、人形態になり降下しながら蹴りを放った。
「うおっ、何。変身? したよ。スゲー」
キングは黒い甲殻がゴテゴテとした鎧兜のように成り、頭には2本の角が生えている。
そして着地した後、周りにパンチやキックを放っている。
うおースゲー、カッケー。
まるで昔のTVヒーローそのままだよ。
やっぱり必殺技はキックとかで、キングキックとかやるのかな。
神眼で確認すると
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ステータス
名前 :キング
年齢 :0
種族 :異界の蟲人
職業 :果樹園の管理人
称号 :蟲神
level:62
HP :8000/8000
MP :760/760
----------------------
筋力 :750
耐久力:1200
素早さ:1000
知力 :300
魔力 :350
精神力:450
器用さ:600
運 :450
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スキル SP 100
ウィンドカッター
形態変化
風象操作
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職業の管理人てどうなのよ。果樹園が無くなったら無職になるのかね。
気になるのが2つあるな。
称号
<蟲神>
虫を統べる者、昆虫の王
風属性の下級神
スキル
<形態変化>
人形態と飛行形態に変化する事ができる
虫を統べる者は虫を操れるのかな。
ある意味、最強じゃないの、ゴッキーとか数千匹で襲ってきたら考えるだけで恐ろしいわ。
風属性の下級神か、あと俺の世界で何の属性が足りないのかな。
形態変化があの変身か、人形態がヒーローもどきで、飛行形態がカブトかな。
他のカブト達を見ると、河童達と同じく神民になっている。
形態変化も、できるのはキングだけのようだ。
おしいね、戦隊がつくれたのに。
ユキが駆け抜けるだけで、5人10人と吹っ飛んでいく。
キングが人の間をすり抜けながら拳や蹴りを鮮やかに放って吹っ飛ばす。
そして周りで河童達がケロケロと大合唱して、カブト達もジジジと唱和する。
人族はもう戦う意思もなく叫びながら逃げ惑う。
これはなんでしょう。阿鼻叫喚と謂う所ですかね。
何か叫んでいるようですが、俺には異世界語は解らんし、日本語しか知らんからね。
もうそろそろ終わりのようだな。
人族の最後の一人を、キングが鮮やかに蹴り倒した。
コボルト達は隅っこで、茫然として座り込んでいる。
少しやり過ぎたか。後が面倒な事になりそうだなと、考えながらユキ達に向かって歩いていると、ゲロゲーロとギョーがヨタヨタと歩いて来るのが見えた。
ゲロゲーロとギョーは歩いて来ると突然
「ゲロゲーロ!」
「ギョギョ、ギョー!」
2匹が雄叫びを上げた。
いやいや、もしもし。
貴方達はもしかして今来たのですか?
遅すぎですよ。
ギョーさんは、まだ短い手足を見ればわかりますが、ゲロゲーロさん貴方は太りすぎです。もう転がった方が速いですよ
ゲロゲーロとギョーは雄叫びを上げた後、ウォーターカッターとブレスを吐き出した。
いやいや、もう終わってますからね。
皆さんすいません。ウチの凸凹コンビが御迷惑をおかけしてます。
ユキが俺の傍に来て勝利の雄叫びを上げてます。
ユキの頭を撫でながら周りを見渡すと、人族は百人程転がってますね。
かなり手加減したのでしょう。なんとか死人は出なかった様ですが、重症者はかなり居ます。
コボルト達は震えて座り込んでいたおかげで、無傷ですが何故かコボルトのリーダーは、俺を震えながらも睨んでます。
失礼ですね。
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私は今、4人の配下を率いて、世界樹の森を目指し南の森を歩いている。
6日前、獣王率いる我等獣人の部族連合と、ヒューマンの国アッシア帝国が南の平原で会戦したが、まさか我等が敗れるとは未だに信じられん。
しかしまだ完全に敗けたわけではない。
もう一度、態勢を整えて戦い、最終的に勝利すればいいのだから。
その為にはどうしても、森の民エルフの協力を得なければいけない。
ヒューマンの最終目標は世界樹だから、森の民も今度は我関せずを貫けまい。
我等、獣人が倒れたら次は自分たちだからな。
他の部族からも密使が出ているようだが、我々コボルト族が交渉を成功させたいものだ。
「隊長、あの木の所に魔獣が」
配下の一人が私に呼び掛けてくる。
「あれは、ホーンビートルだ。比較的おとなしい魔獣だから近づかなければ大丈夫だと思うが、一応警戒だけはしておけ」
しかしホーンビートルにしてはでかいな。
あれはアドリアの木なのか、たしかアドリアの実には魔素が大量に含まれると、聞いた事があるそのせいか。
「お前ら、あの実はアドリアの実だから食べるなよ。中毒になるぞ」
「アドリアの木があると謂うことは、この先に沼があるはずだ。確かその手前に廃村があったはずだ。そこで休憩するとしよう」
「呪われた沼ですか色々と噂を聞きやすが、大丈夫ですかい」
配下の一人がそう言ったが
「根も葉もない噂にすぎん。50年前の戦いの後この辺りが問題になった事はない」
私が生まれる前、この辺りで大きな戦いがあり、我々コボルトもヒューマンと協力して戦ったと聞くが、今は敵として戦うとは、我々の祖父達も想像もしていなかっただろう。
「隊長、敵です。敵は約20人。追っ手のようです。敵も此方に気付いたようです」
後方を警戒していた部下が声をあげる。
ヒューマンも馬鹿ではないらしい。
「ヒューマンより我等コボルトの方が身体能力は高い、ヒューマン20人なら我々精鋭5人で勝てる。此処で迎え撃つぞ」
部下達が応えて展開すると、ヒューマン達がゾロゾロと剣を抜きながらやって来た。
先頭のヒューマンが
「はっ、何だよ犬コロかよ。虎族かと警戒したがお前らが相手なら楽勝だぜ」
「ふん、それは此方のセリフ、そのままお返ししよう。我々がヒューマン共に負けるはずがない」
私はそう言い返しながら相手の隙を探すが、このヒューマンは隙が無い。
「ハハハ、言うじゃねえか、ならその実力見せてもらう」
そう言って上段から斬りかかってくる。
ぐっ、速い。
ヒューマンの剣速はかなり速いが、何とか受け止め鍔迫り合いとなり、押合いをしていると
「ガハハハ、なかなかやるじねえか、だが俺達は傭兵だから綺麗な剣ばかりじゃないぜ」
そう言いながら私の右足の甲を踏みつけて怯んだ時に、剣の柄で右手首を抑え片手を襟元を伸ばしてきた。私が気付いた時には宙を舞い、地に転がされ喉元に剣を突き付けられていた。
私の完敗だ。
周りを見渡すと部下達も取り押さえられていた。
「悪いなこれも商売だからな。おい、合図の笛を鳴らせ」
どうやら我々は失敗したようだ。
ヒューマン達は傭兵と言っていたが、何処かに本隊の帝国兵がいるのだろう。そして我々は引き渡され処刑されるだろう。
他の密使が、森の民の元にたどり着くのを願うばかりだ。
しかしヒューマンがこれ程できるとは、確かに身体能力は我々が上だが、これ程の技術があるとはこの事を部族に伝えたいが、それも最早無理だな。
部下達を見ると、皆項垂れている。すまないな、こんな上司の部下になって、私がそんな事を考えていると彼等がやってきた。
最初の始まりは、我々の間を黒い風が駆け抜けたのが始まりだった。
「なっ、今のはなんだ」
「おっ、なんだなんだ」
あちこちで声が上がる。
「団長、アドリアの木です。アドリアの木の根元に巨大な魔獣がいます」
「くそっ、あんな魔獣がいるとは聞いていないぞ。全員捕虜を囲み警戒態勢をとれ、そしてゆっくりと離脱するぞ。あれは人が勝てる相手じゃない」
「団長、帝国の本隊がきます」
「このややこしい時にきやがって刺激するなよ。なっ、何、行きなり攻撃してんだよ。くるぞ全員攻撃態勢をとれ!」
私はあの魔獣から目を離せないでいる。
ヒューマン共は魔獣と言っているが魔獣なのか。
たしかに見た目は凶悪そのものだが、心の中から沸き上がってくる感情は、これは歓喜なのか、あの魔獣に従えと心が訴える。
私だけなのか、そう思い部下を見ると、皆恍惚とした顔をしている。
帝国にはヒューマンの神が現れ加護を与えたと聞く、あの魔獣も我々の前に現れた神。神獣ではないのか、馬鹿らしい考えが頭に過る。
しかし横にいるヒューマン、いや何かの亜人なのだろうか。こちらは心の奥底から恐怖が沸き上がる。視線を向けられるだけで、恐怖の余り痺れて動けなくなる。
彼等はいったい何者。
* *
「何故、私がこんな目にあうのだ。私は帝国4大貴族の血族だぞ。このような森の中で下等な獣人なぞ追いかけるとは、高貴な身分の者がする仕事ではない」
「ですが閣下、今回の任務は重大ですぞ。獣人共にエルフが協力をすれば戦局がひっくり返りかねません」
「馬鹿な事を言うものだな、先の戦で我らの帝国が完勝して奴等下等な獣人も思い知っただろう。最早奴等は戦を仕掛ける力もないわ」
「軍の首脳部はそうは考えておりませんな。今回の任務も重大な案件として、閣下に騎士が20名に神官兵10名、魔法兵20名、完全武装の兵士50名を与えたのですから」
「ふん、馬鹿な首脳部だ。いっそ此のままエルフ共のもとに行ってみるか。エルフは美形揃いと聞くからな。フフフ」
「この森は魔獣が蔓延る森ですので、世界樹の森まではとても、今の装備では無理で御座います」
「魔獣など何処にいる。此処に来るまでに、一度も会っておらんではないか」
「そういえば、魔獣の素材を売って生業をしている者共が、南の森の魔獣が東や西に移動していると、申しておりましたな」
帝国の部隊が森の中を歩いていると、ピィー、ピィーと、笛の音が森中に響き渡る。
「閣下、先行させていた傭兵が獣人共を見つけたようですな」
「よし急げ、さっさと終わらせて帝都に帰るとしよう。森に散っている兵も集めよ」
そして、帝国兵が森と果樹園の境に差し掛かると
「閣下、魔獣がおりますぞ」
「なんだ一匹か、いや横にもう一匹いるのか、構わん此のまま突入して討ち取り傭兵達に合流するぞ」
「我、意思に従い敵を撃て、ファイアボール」
魔法兵が魔法を撃ちだし武装兵が声を上げて突撃していく。
「なにっ、魔法が効いてないのか」
黒い魔獣はファイアボールを気にもせず、此方に駆け寄り武装兵を、薙ぎ倒し弾き飛ばし始めた。
「くそ、この化け物!」
武装兵のひとりが、叫びながら短槍を突き出すが、逆に短槍が半ばで折れ飛ばされて
「なっ、馬鹿なぎゃー」
武装兵は弾き飛ばされる。
魔法兵のひとりは
「お前ら足止めしろ。俺が魔法で仕留める」
武装兵にさけび魔法を唱える。
「我、意思に従い敵を撃て、ファイアランス」
しかし魔法は魔獣の手前で霧散する。
「そんな俺の魔法が、うわっ、此方にくるな。ぎゃー」
そして弾き飛ばされる。
「閣下、ここは一旦退きましょう」
「なにを、馬鹿な事を言っている。我等精強なる帝国兵は敵に背を向ける事などない」
「騎士アラン、確か教団より神剣を賜っていたな。騎士の半分と神官兵を連れてあの魔獣を討ち取れ」
「御意、この神剣はドラゴンさえ切り裂くと言われています。必ずや討ち取って御覧にいれましょう」
そう言ってアランは駆け出した。
「そこの魔獣、私は騎士アラン! この神剣の錆となれ」
騎士アランは声を張り上げて、大上段に構えた神剣を降り下ろすが、弾かれて剣は半ばで折れ曲がった。
「そ、そんな馬鹿な! 私の神剣が、う、うわー」
そして弾き飛ばされた。
周りにいた騎士達も
「「「アラン殿、う、うわー」」」
まとめて弾き飛ばされた。
「ば、馬鹿な、騎士アランがあっさりと……」
閣下と呼ばれていた男は、茫然自失となり固まっていた。
「閣下、退却しなければ我軍は全滅します。閣下、閣下」
参謀らしき男が呼び掛けるが反応がない。
「オーイ、傭兵共お前らも此処に来て閣下の周りを固めろ」
「団長、むこうで何か言ってますぜ」
「知るかそんなもん。命あっての物種だ。俺達は離脱するぞ」
傭兵達は廃村の方に駆け出した。
「団長、見たこともない魔獣の群れです」
「くっ、此方は駄目だあっちから抜けよう」
「団長、黒い魔獣がこちらにう、うわー」
魔獣が傭兵達の中を駆け抜けて半数を地に転がした。
「くそっ、俺が足止めするお前らは、うっ、うわー」
魔獣が傭兵団の中を縦横無尽に駆け回り、瞬く間に全ての傭兵は地に転がった。
「ちっ、傭兵達もやられたか。閣下、お気を確かに全員閣下の周りを固めろ」
「参謀殿、上空に新しき魔獣が現れました」
なんだと、あれはホーンビートルか、かなり大きい亜種かも
「魔法兵、上空に物理障壁を張れ」
上空にいた魔獣は輝いたと思ったら、ヒトガタに変わっていた。
「なっ、なんだ魔獣なのか、魔人か」
黒い魔人は降下しながら閣下に蹴りを放ち吹っ飛ばした。
「閣下、閣下をお守りするのだ」
黒い魔人は旋風のように回転しながら拳と蹴りを放ち、帝国兵達を地に転がしていく。
「こんな馬鹿な事があっていいものか」
そう言いながら参謀と呼ばれた男も吹き飛ばされた。
***
私は夢を見ているのか。あの帝国兵達が蹂躙されていく。
黒い魔獣は魔法も武器も効かぬようだ。野を走り回るかのように駆け抜ける。
黒い魔人は旋風のように兵の間をすり抜け兵を倒していく。
私を倒した傭兵さえもあっさりと。
そして沼の方から現れた異形な者達、耳をふさぎたくなる金切り声で叫んでいる。
そして恐怖を体現した奴が来る。此方にゆっくりと近づいて来る。一歩近付く度に恐怖が増す体の芯から震える。 恐ろしい。此処は呪われた沼。
噂は本当だった。
そして私は意識を手放した。
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墨を垂らしたような闇の中微かに動く物がある。
<封印が解けたのか>
<完全に封印されていたはずだが何故目覚めた>
<いや能力は全て封印したはず>
<監視のため残した体の一部が戻った>
<完全体にはなっていない>
<覚醒はまだ>
<今一度封印を>
<いやまずいそれはだめだ>
<今一度監視をおくろう>
<<<そうしよう>>>
それはひとつの物に、いくつもの精神を詰め込み同時に喋る、会話にもなっていない奇妙な物だった。
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次回
木精と森の民
木精と謂えばドライアドですかグフフフ
はっ背後に殺気が
「ガウ、ガウ」
「ぎゃー痛い何もやましい事は考えていませんからユキさんやめてくださいやめてー」
はたしてツヨシの願いはかなうのか?
それでは
次回もお楽しみに
ゲロゲーロ
ギョ、ギョ、ギョー
ジジジジ