第2話 呪いの沼とカエルの合唱団 前編
三回目の投稿です
前半部分は本来は前回で投稿するはずだった文章です
そのおかげで今回は前編、後編の2回に分ける事になりました
どうもすいません
駄文ですが宜しくお願いします
これ以上考えても仕方ないので、とりあえずステータスの確認をしてみる。
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ステータス
名前 :ツヨシ
年齢 :50
職業 :異界の魔神
称号 :恐怖の大王
level :1
HP :−/−
MP :−/−
神力P :5048
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筋力 :10
耐久力 :10
素早さ :10
知力 :100
魔力 :−
精神力 :−
器用さ :10
運 :−
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スキル
神力 神眼 魔眼
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なぜかレベルが、1に成っているなどういうことだろう。
モンスターを倒してレベルを上げるわけでもないのか。
経験値もないから闘って上げるというわけではないのだな。
祝福を与えて眷属にしたからレベルが上がったのか。しかし、ひとつ上がっただけか。
う〜ん、よくわからん本当に取説が欲しいな。
おっ、神力ポイントは5000もふえてるぞ。これでポイント貧乏から脱出できるな。
なぜか能力値は変わってないですよ。普通は、レベルがひとつでもどこか変わるでしょ。
まだ最弱神のままなんですね……トホホ。
次は神眼と魔眼が、レベル1になって使えるようになったが、レベル1だから期待できないな。
後で確認するとして神力を調べてみる。
何かスキルが使えるようになってるかもしれないからな。
おー、ひとつだけ使えるようになってるな。
う〜ん、ひとつだけかレベルが1に成った。
ひとつだけだからそんなものか。
確認してみると
<神矢>
指先より神気を飛ばす
ポイント数により威力が変わる
おーおー、よっしゃ、きたきた、キター。
闘いで使える能力があるじゃないか、これはかなり嬉しい。
「ふふふ、今この時より俺の最強伝説が始まる」
まあ、始めませんけどね。なんとなく言ってみただけです。
だって痛いの嫌だし。
やはり問題はレベルの上げかたが気になるな。
「レクター、闘ってもいないのにレベルが上がったのはなぜだ」
《ハイ マスター レベルガ アガッタノデナク フウインガ イチブ カイジョサレタノデ レベルガ モドッタノデス》
「えっ、そうなの知ってたら早く言えよ。俺は闘って上げると思ってたのに、ほかにレクターが知ってる事や意見があれば先に言ってくれ」
《ワタシハ ジガモナク タダノ プログラムナノデ イケンハ デキマセン マスターノ シツモンニ コタエルダケデス》
「そうかわかった、ではレクター、封印の解除の仕方は解るか」
《ハイマスター ソレハ カリマセン》
う〜ん、今の時点では封印の解除は解らないか。
しかし、レベルは上げるではなく戻るか。
あーそうか、俺は勘違いをしていたんだな。此処はゲームの様なものであって、ゲームでない現実なんだ。
モンスターと闘ったからといって、レベルが上がるはずがないじゃないか。元々あった力と、能力の封印が解けて戻ってくる。
それが、レベルに表されてるだけなんだ。
完全体がレベル100なのか、1000なのかわからないけどね。
そして50年の時間のせいなのか、それとも誰かの思惑かはわからないが、封印の綻びが俺の覚醒を促し、今また綻びが大きくなっているのだろう。
そう考えると辻褄があってくるな。
俺がそんな考えに耽っていると
「バウ キューン」
どうやらユキらしきものが、目を覚ましたようだ。
ユキに視線を向けると、そこには体長は5メートル程で、全身が艶やかな漆黒の色に染まり、ナイフのように鋭い黒い爪を生やした、太く力強い4本の脚が体を支えていた。
そして見るからに凶悪な顔には、口元から2本の牙がのび、額からは30センチ程の黒い角が1本生えていて、禍々しいオーラを周囲に撒き散らしながら、黒い犬が立ち上がり此方にやってくる。
おー、コエー恐いわ、少し後退りながら
「えーと ユキさんですよね。少し容姿が変わったようですが大丈夫でしょうか」
恐る恐る呼び掛ける。
「バウ」
一声鳴くとクンクンと俺の匂いを嗅ぐと、嬉しいそうに周りを走り回り跳び跳ね、天井に頭をぶつけていました。
えーと、床は爪で捲りあがり天井は角で削れていくとか、塔が崩れそうなので嬉しいのは解るけどはしゃぐのは止めようね。
そういえば神眼が使えたな、ユキに使ってみる。
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ステータス
名前 :ユキ
年齢 :0
種族 :異界の魔犬
職業 :魔神の番犬
称号 :犬神
level :68
HP :12000/12000
MP :560/560
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筋力 :820
耐久力 :1150
素早さ :1500
知力 :350
魔力 :230
精神力 :570
器用さ :690
運 :710
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スキル SP 120
火のブレス
闇のオーラ
地象操作
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えーと、これはかなりチートですね。
もうあれですねユキが恐怖の大王ですね。
しかも俺より知力が高いってどうよ。
それに白いからユキって名付けたのに、真っ黒になってるし。
もういいや、疲れたので寝る。ふて寝する……トホホ。
ユキに抱え込まれるようにして眠った後起きて見れば、部屋が大きく成っていました。
因みに、ユキは眷属に成ったので部屋に入れるようになったみたいだ。
部屋の大きさは縦、横、高さが、50メートル程に広がり、周りは青い色に変わり、床は土の地面に変わっている。
そして俺のレベルがまたひとつあがっていたが、ステータスはなにも変わっていなかった。
なぜですか? もう嫌。
「おーい、レクター、部屋が広がって様子が変わったけど、どういうことだ」
《ハイマスターノ フウインガ イチブトケ コノセカイガ セイチョウシマシタ アト ユキサンガ コノセカイニ エイキョウヲ アタエマシタ》
へぇ、そうなのか。俺が世界を広げユキが影響を与え、この土の地面を創ったと、レベルが2になったのはユキがこの部屋に入ったからか。
もうここは部屋とはよべないな。
「新しい世界か」
俺はそう呟き、ちょっぴり嬉しくなる。
後で名前を付けるとしよう。
まだピューピュー鳴きながら、安心したように眠っているユキを眺め、あらためて神眼でたしかめる。
種族
<異界の魔犬>
魔狼が異界に転移しその際、位階を上げクラスチェンジした魔犬
あれ、ユキは狼だったのか、犬だと思ってたよ。
魔狼が魔犬に変わったのは、俺が原因かな。
まあ、狼も犬も同じ様なものだよね……すいません。
あと俺には種族とかないのにユキにはあるな。
なぜだろう。転移は転生みたいなものか、年齢が0になってるし、俺の世界の生き物になったということだろう。
職業
<魔神の番犬>
常に魔神の傍で付き従い魔神を守護する
これは見たままだし、いいや次。
称号
<犬神>
犬を統べる犬族の王
地属性の下級神
ユキは犬族の王になってるよ。いや女王か。見た目が強そうだしね。
地属性の下級神ってなに、もう強そうなの通り越して神ですよ。
俺は神様を創っちゃったよ。
これはあれですね。神話とかにある、神生みとかいうやつですか。
最初の神様が、次々と神様を生み出したとかなんとかですね。
ユキが地属性の下級神なので、俺の世界に大地ができたようです。
次は、この能力値ですが、やはりチートです。なにこれもう嫌、俺の能力値を確認して……涙目…………トホホ。
ユキは俺の番犬だからユキの活躍は、俺の活躍だ…………くそ、ちくしょう次だ。
スキル
<火のブレス>
口から火炎を周りに吐き出す
<闇のオーラ>
全身から漂う黒いオーラが物理攻撃以外の攻撃を全て吸収する
<地象操作>
地形操作ができる
地属性の魔法が使える
えーと……もういうことないです…………チートですね……魔法がつかえますね…………羨ましいです。
「ちくしょう!」
俺の叫び声にびっくりして飛び起きて、俺を見て安心したのか舐めまわしてじゃれつく。その間、俺は無抵抗だよ。
ユキのおもちゃだよ……トホホ。
満足したのか、俺の襟元をくわえて背中に放り投げて、俺を背中に乗せたまま扉から外に駆け出し、塔の2階から外に飛び出す。
「あっ、あぶなっ、危ないってユキさん、もう少しゆっくり安全に」
どっかの標語なような事を言うが、喜んでると勘違いしたのか、逆にスピードがあがっていく。
「ギャー、俺は喜んでないから」
なにこれ、これは死のコースターですか? デッドコースターですか? 涙目で背中にしがみつく。
一気に対岸の廃村の果樹園までやって来た。
「ゼェ、ゼェ、今度からは緊急の時以外、自分の足で歩くから背中に乗せなくていいよ」
「バウ、バウ」
本当にわかってるのかね。
どうも朝の散歩がてら食事に来たようだ。
ユキはスイカが、すっかり気に入ったようだな。
俺との出会いの思い出の果実ってか。照れるな。
「バウ、バウ」
ユキが俺のほうにスイカを転がす。一緒に喰えってことか、おもわず頭を撫でる意外と可愛いね。
スイカを一口食べようとした時
「ガウ、ガアグルルル」
ユキが警戒の声を上げる。
ユキの視線の先には奴がいた。
そう奴だ前回俺が塔に戻された原因、あのカブトもどき、これはリベンジするしかない。
ユキに待ての合図をして、ユキにも少しは、いい所みせないとね。そして奴と向かい合う。
前回は、あっさりとやられたが
「しか〜し、ふふふ、今の私にはこれがある」
あれ、デジャヴか? まあ、いいか。
右手をカブトもどきに差し出して
「神の怒りをその身に受けよ、ゴッドアロー」
本当は念じるだけでいいけど、必殺技ぽく言ってポイントを10で念じる。
すると、ビー玉程の大きさの光の玉が、ふわふわゆらゆらカブトに飛んで行きパン、ちょっとよろめかした。
さすがに10は、けちりすぎたか、だってポイント貧乏は嫌だもん。
怒ったようにカブトが突っ込んでくる。
「うおっ、はやっ、危ない」
咄嗟に、体をかわそうとした時にバチン、ユキが前足で叩き落とた。
地面に押さえつけて、どうするというかのように、顔をこちらに向けてきた。
あー、そのドヤ顔、ちょっと、うざいからやめてもらえますか。
はあー、ユキさんには、こいつはハエみたいなものですか。足元を見ると、カブトはジタバタもがくが、ユキの足はピクリとも動かない。
少し哀れに感じて
「ユキ、離してやろうか。この木はこいつの家みたいだし、今度からはお願いして少し分けてもらおう」
話しが通じるかわからないが、今回はもういいや。
「バウ」
一声鳴き前足をどけると、ジジジと鳴きながらどこかに飛んでいった。
その後、またユキの背中に放り投げ上げられて、ユキが嬉しそうに沼の周りを廻り出す。
俺の意思は無視ですか。
道なき森の中を、邪魔になる木々を薙ぎ倒し弾き飛ばし、ユキが通った後には道ができあがっていくんですけど、これは地形操作を使ってるのでしょうかね。
ユキ一匹で道路工事ができるよ。
あっ、今巨大ムカデのモンスターが、ユキに踏み潰されて舜殺されたよ。
さっきは、熊みたいなのが弾き飛ばされてたしね。
さっきから何気にユキが、無双してるんですけど、恐いです。
まだ廻ってます。何が楽しいのか延々と廻ってます。
なに、この無限コースターどうやって止めるの、どうすればいいの、ユキはいつ満足するのでしょう。
あっ、何か大木がこちらに倒れてきたよ。
ぶつかる…………痛い……意識が……そういえばまだスイカたべてない…………。
意識が戻るといつもの部屋に、いや、もう部屋じゃない俺の世界だな。
起き上がりまた扉から塔の2階に出ると、あせったユキが窓から飛び込んでくる。
そこは出入り口じゃないから、しかも2階だし女の子がはしたないですよ。
キュンキュン鳴きながら鼻を擦りつけてくる。
俺が突然消え失せたので、驚いたようですね。
頭を撫でながらユキを宥める。
しかし、ユキのおかげで、前世の頃の穏やかな性格になれそうだ。
ぼんやりと、そんな事を考えながら頭を撫で続ける。
あれから何事もなく5日たち。あー、5日の間にふたつ、わかったことがある。
俺とユキの角を合わせると、会話はできないがイメージのやり取りができる。
因みに、今朝ユキから受け取ったイメージは、乙女チックなお花畑の中で、俺とユキが跳び跳ね駆け回って、見るからに凶悪そうな俺たちが、ウッフキャッキャしてる。なんともシュールなイメージだ。
そんな夢でもみてたのかね。こっちが恥ずかしいわ。
後はスキルの神矢を試してみた。ポイントを100で念じると、ちゃんと光の矢になり飛んでいった。
2回程、飛ばしてやめた。
ポイントがもったいないからね。
威力は、太さが50センチ程の木を貫通させた。
ポイント数を増やせば、もっと威力が上がるだろうが、いまはこれでいいだろう。
ユキは、今朝の散歩をかね狩りに行っている。
昨日までは毎朝デッドコースターに連れて行かれたが、今日はお願いして勘弁してもらった。
のんびりとスイカを食べながら、2階の窓から外の景色を楽しむ。
あースイカは、あの次の日にちゃんと食べました。
まだあのカブトはいたけど、こちらにちょっかいをかけてこないし、俺たちも気にしないことにした。暗黙の不可侵協定みたいなものですか。
それと異世界のスイカの味は、マンゴーそっくりでした。甘くて美味しかったけど、なんか騙された気分だ。
因みに俺が食べたものは、体の中で消えてなくなり、エネルギーとなって俺の世界に還元されるそうだ。
レクターが言っていました。
ユキも魔素だけでいいみたいだけど、普通の食事の方が好きみたい。
あと気になるのは2日前から沼で、カエルのような鳴き声が激しい。
ケロケロうるさい。
あまりに煩いときは、俺たちの世界に逃げ込むのでいいけど、そういう時期なのだと思う。
何かあってもユキもいるから大丈夫だろう。
窓から外を眺めていると、塔から対岸にのびる道のちょうど真ん中辺りで、ユキがしきりに沼に向かって吠えたてている。
かなり興奮しているようだ。ユキが吠えたてる方を見ると、背中に棘のようなものを生やしたワニもどきが、沼の中を優雅に泳いでいる。
「ガウ、ガウガア」
尋常ではない、ユキの様子に心配して慌てて塔の外に飛び出した時には、ユキは前足をすでに沼の中に入れ、吠えたてながら泳ぎだそうとしている。
なんだかヤバい。あいつはヤバい。そんな気がする。俺の勘がそう告げる。
いくらユキがチートでも、沼の中では相性が悪すぎる。
「ユキ! ちょっと待て。俺が行くまで待つんだ」
俺は叫びながらユキの方に駆け出し、ユキの首筋に飛び付く時には、体は半ばまで沼の中に入り込んでいた。
「ユキ! 落ち着け、落ち着くんだ!」
耳元で叫ぶが聞いちゃいない。完全に頭がぶっ飛んでやがる。
角と角を合わせてイメージを送るしかない。そう思い角を合わせる。
俺が慌てているせいかユキのイメージが先に流れて来る。
あー、そういうことか。あいつはユキの母ちゃんを死に追いやった相手か、ユキを守ろうとして死んだんだな。
仇なのか、それでこんなに興奮しているのか。
ユキの気持ちは分かるが、今はだめだ。ユキがチートなようにあいつもチートだと、俺の勘が告げる。沼の中で闘うのは駄目だと感じる。
ユキを止めるにはインパクトのあるイメージを送るしかない。あれだあれを送ろう、今朝のユキの乙女チックなイメージを逆に送り返してやる。
角を合わせたままイメージを送ってみる。そうすると、ビクッと体を震わせ首を振りつつ俺の方を見てくる。
俺はユキの頭を撫でながら目を見詰めて
「ユキ、よく聞け。奴は強い沼の中で闘っては駄目だ。相手の土俵ではなく陸上に引きずり出して闘わないといけない。その為にはちょっとした作戦が必要だ。むやみやたら突っ込んでは駄目だ」
「俺もユキの母ちゃんの墓をたてた縁がある。俺も協力するから、今回は退こう。次は準備を整え俺たちで狩ろう」
ユキはちょっとの間、しゅん順をみせるが、ひとつ俺に頷き戻り始める。
塔に戻る間も、何度も沼を振り返り吠え声を上げていた。
奴は俺達を嘲笑うかのように、尻尾で水を弾き沼の中に消え失せた。
奴が沼の中に消える前に神眼を使ってみる。
能力の差がありすぎるのか、能力値とスキル等はわからなかったが。
種族
<ウォーターリザー 亜種>
本来は、竜種の下位種だが、闇の魔素を大量に取り込み亜種となり上位種並みの能力を有す
称号
<水を征す者>
水を操作する事ができる
水の中では能力が上昇する
このふたつが見る事ができた。
能力を見ることができなかったが、やはりチート臭いな。ユキを止めたのは正解だったようだな。
しかし竜種か。ドラゴンとかいるんだ。やはり異世界だな。
まともに戦えば、ユキが負けるとは思えないが。
俺達は塔の2階に戻り作戦を練る事にする。
といっても考えるの俺だけだけどね。
ユキはというと俺の横でスピースピー寝てます。
何ですか貴女は、俺が懸命に考えてるというのに、まあいいけど、俺を信頼してるから安心して寝てるのだろうから。
よし頑張ろう。
いつの間にか日が落ちて、外が暗くなっていく早く考えよう。
ユキの鼻を摘まんで遊びながら考える。
俺達は水の中では戦えないケロッケロだから奴をケロケローゲロ陸上にケロゲロケロ誘き寄せゲロゲーロケロゲロユキのケロケロゲロケロケロゲロゲーロケロケロゲロケロ。
俺はおもわず窓に駆け寄り
「あーもう、ケロケロうるさい! 特に途中のゲロのだみ声は非常に苛つくんじゃー!!」
外に向かって叫んだ。
俺の叫び声に反応したのか、ユキが伸びをして起き上がる。そして俺に近づき、尻尾を振り振り首を傾げる。
おっ、何か可愛いです。
狂暴な顔も見慣れたせいか、可愛く見えてきた。
「バウ?」
「あーちょっと考え事をね、後は外が煩かったからね」
ユキも同じように外を眺め、何かを聞きとるかのように耳をピクピク動かしている。
そして突然、外に飛び出していった。
おいおい、またですか。
夜中に2階の窓から外に飛び出すって、どこの不良少女ですか。
そんなこといってる場合じゃない。まさかウォーターリザーの所に行ったのか。
「おーい、ユキどこだー」
叫びながら沼の方を眺めるが、何処にいるのかさっぱりわからん。
慌てて外に出ようと、階段の方を振り向くと、ユキが帰って来てました。
今目の前の窓から出て、もう反対の窓から帰ってくるって、どんな忍者ですか。
お主、腕をあげたのう。
ふざけてる場合じゃないですね。
あれっ、ユキがなにか口にくわえて来てるな。
ユキがくわえていたものを俺の方に転がした。
よく見ると、カエル? カエルらしき生き物が、目の前にちょこんと座っている。
体長が50センチぐらいで、緑色の皮膚の表面がぬらぬらと滑り、大きな口から舌が垂れ下がっている。
う〜ん、カエルをグロくした感じかな、グロガエルに決定だな。
それで、俺になにをさせたいのかな。俺にこれを食べろと、カエルとか食べないし。特にグロガエルはね。ユキもこれは食べない方がいいよ。
「バウ」
ユキが一声鳴くと、目の前のグロガエルがお辞儀をして
「ゲロゲーロ」
「お前か、さっきのダミ声は、俺に謝りにきたのか?」
「ゲロゲロゲーロ、ゲロゲーロ」
グロガエルは、何度もペコペコと頭をさげる。
あー、昔の営業してた頃を思い出すからもう止めて下さい。
それに、何を言ってるかわかんないですけど。
でも、カエルにも知性があるんですね。う〜ん異世界だ。食べなくて良かった。
ユキがグロガエルに
「バウ」
グロガエルがユキに
「ゲロゲーロ」
ユキが
「バウ、バウ」
グロガエルが身振りをまじえて
「ゲロ、ゲロゲーロ」
あれっ、ちょっと待て、お前ら何気に会話が成立していないか。おかしいよ、俺だけ分かんないよ。どういうこと。
俺をそっちのけで2匹で会話している。
いいよ、後でユキにイメージで教えてもらうから。
だから会話に参加できなくてもいいもん…………チクショウ。
2匹を眺めながら、一応神眼でグロガエルを確かめておく。
種族名しかわかんないな。
種族
<ケロピョン>
水の精霊が受肉し生物に変化した妖精種
ケロピョンは可愛いすぎだろ。断じて違うお前達はグロガエルだ。
それ以外は絶対に許さん。
それに水の精霊が変化した妖精だと、おかしいだろ。普通は手のひらサイズの可愛い女の子に、羽が生えてるのが定番だろ。
この世界は間違ってるぞ。
「俺は絶対、認めん!」
俺が急に叫んだので、2匹が驚いたように、こちらを見てくる。
「あー、何でもないです。どうぞ会話を続けて下さい」
はあ、何か疲れたよ。
俺はため息をつき2匹を眺める。
しかし、5メートルの魔犬と50センチのカエルが会話をして、それを眺める魔神か。なんともシュールだ。
はあ、またひとつため息をつき、塔の夜は更けてゆく………………。
次回
呪いの沼とカエルの合唱団 後編
今度こそ ツヨシは活躍できるのか?
そして怪獣大決戦
ユキとウォーターリザー
勝つのはどっちだ?
そして奴がなぜ
次回もお楽しみに
ゲロゲーロ