第1章 第1話 廃墟の塔と黒い番犬
2回目の投稿です
本当はもう少し先まで書くつもりでしたがすいません
拙い文章ですが宜しくお願いいたします
「痛いー、いたーい、イーターイ、ぎゃー、しぬー」
そして光の粒子になり拡散し消えていく。
そして何も無い真っ白な部屋に帰って行く。
「またかよ、これで5回目だよ。死ぬほど痛いしまあ死なないけど、はあ〜参ったねこれは」
そうこれは、ゲームでいうところの死に戻りというやつだ。まあ死なないけど不死身だし。
最初の時は、勢いよく扉から飛び出すといきなり横から襲われ、あまりの痛さに意識がとび気が付くと元の部屋に戻っていました。
わけがわからず2回目は慎重に顔だけだし周囲を見渡して見ると、どうも廃墟となった建物のようで、目の前は奥行き30メートル程の大広間のようだ。
天井は大きく崩れ半分程無くなり、星空が見える。
今は夜のようだな。ゆっくりと大広間の中程に進み出る。さっきのはなんだったのだろうと考えてると、今度は上から襲いかかってきた。
どうやら天井の崩れ落ちた所の上階から飛びかかってきたようだ。
今度ははっきりと相手が見えた。体長3メートル程のでかい狂暴そうな白い犬のようですね。
目の前には大きく口を開け5センチ程の牙が並んだ顔がみえる。
もう口じゃなくてそうアギトだね。恐いわ。
「ギャー」
あせって叫びながら扉に戻ろうとすると頭からパクですよ。
もう、痛いのとおりこして一瞬で意識が飛びました。
そして5回目まで扉から出ては襲われてを繰り返して、今部屋に戻った所ですって誰に説明してんだよ。これは完全に詰んでますね。
あとわかったのは、不死身といっても死ぬほどのダメージを受けると、この部屋にもどるということか。
まるでゲームだよ。まあ、ゲーム仕様で頼んだの俺だけど、それならこの痛みもどうにかしてほしかった。痛いのだけは勘弁してほしいよ。
「なんだよ、あの犬野郎はもう今は扉の前で、出てくるのを待ち構えてるじゃないか」
そう奴は今も扉の前にいる。どうする闘うにしても耐久力がないから瞬殺されるし、あとはまだ使ってないスキルがあったな。
<神オーラ>
神のオーラを周囲にただよわせ周りに癒しを与える
必要 P 秒/1
ポイントが後2000しかないからあまり使いたくないが仕方ないか。
でも30分ぐらいしかもたないんだよね。ポイントって回復するのかね?
これでだめなら完全に詰みだな。
そうなったらまた何年か寝てすごすか。
奴もあの部屋には、入れないみたいだし。
「スキル、神オーラ」
声に出していう必要はないけど、気合いを入れるためにだしました。
「おーこれは!」
全身から光を発して周りに光を撒き散らしているようだ。
これなら奴を驚かせる事はできるだろう。そのすきに建物の外に出よう。
そして扉の外に踏み出す。
やはり奴は扉の前で待ち構えていた。しかしさっきとは様子がちがう。
ふふん、かなり怯んでいるようだな。
そうだ称号の恐怖の大王はどうなっているんだ。意識を称号に集中すると波動のようなものが放たれる。
おー、奴は完全にびびって、尻尾を丸めて隅っこで震えてるじゃないか。
まあ、これ以上は攻撃する方法がないから何もできないが、さっきまでの事が馬鹿馬鹿しいぐらい簡単だったな。
これなら恐怖の大王だけでよかったな。ポイント無駄にしたよ。なにやってんだか、駄目な俺。
震える奴をしり目に外に出る出入口を探すが、どうもここは2階だったようで窓から外を見ると周りは、沼と鬱蒼と繁る森にかこまれている。
ちょうど夜が明けていくようだ。これが異世界の風景かと感慨にふけりながら眺めていた。
あの後、1階に降りる階段を見つけて無事に外に出る事ができました。
途中スキルをつけたままなのに気付きあわてて外しました。
早く気付けよ。駄目な俺。残ポイント800……トホホ。
外に出て背後を振り返ると、この建物は円錐形の形で基礎がしっかりしていて、1、2階部分が大きく3階より上がなくなっている。
廃墟になる前はかなり高い塔だったのだろう。1、2階部分は広いだけで何もなかったけどね。
あらためて塔の周りを見てまわると、塔から5メートルも離れずに沼に囲まれている。
かなり大きな沼の中に塔が立っているようだ。そして沼の周りを深い森が囲んでいる。
1階の入口の前には対岸まで続く幅3メートル程の道があり、木材と土で固めてできた道がかろうじて残っていた。
「とりあえず対岸に渡ってみるか」
対岸に渡る50メートルぐらいの道を、景色を楽しみながらのんびりと歩いて行く。
しかし異世界といってもあんまり日本と変わらないなあ。あの犬は少し大きかったけどな。
うーん、この沼に自分の姿を映して確認しようとしたが、緑色に沼の表面が濁っていて全然わからない。
着ている服を確認するが、あれだけ動きまわっていても、まったく汚れがなく傷ひとつない。
さすが神製の服だよなと感心しながら歩いていると、背後からボチャッと音が聞こえてきたので振り返ると、何か黒い生き物が沼から道の上に上がってきた。
体長は5メートル程もあり、ワニとトカゲをたして背中に棘を生やした姿をしている。
そして、その棘を逆立て
「キシャーグルルル」
と威嚇してきた。
かなりグロいし怖いし、もう一目散に逃げるしかないでしょう。
誰だよ、日本と同じなんていったの全然違うし。
日本には、ワニもどきなんていないし。あーいってたの俺でした。すいません。
対岸に向かって全力で走る走る走る。対岸に着く頃には息も絶え絶えになり、その場に座り込みながら後ろを振り返ると、ワニもどきはさっきの場所を動かず、こちらに向いてまだ威嚇してるし。
どうも襲いかかろうとしたわけでなく、余所者が来たので威嚇しただけみたいですね。縄張りとかでしょうか。
しかし、ちょっと走っただけで息切れするとは、なんとも情けない神様ですねトホホ。
ワニもどきも落ちついたのか居なくなったので、暫く休憩してから探索することにした。
そうして辺りを見渡すと崩れ落ちた民家がちらほら見える。
どうやら廃村のようだな。あの塔とこの廃村を見るとこの辺りで何十年か前に何かがおきたようだな。
体力が回復したので廃村を中心に見てまわることにしたが、かなりの年数が経っているのだろうか、森にのみこまれ全てが朽ち果て最早、残骸しかない。
村のはずれまで来ると、かつては村で管理されていたであろう果樹園があり、今も2メートルぐらいの高さの枝に果実が実っている。
「お〜あれは、スイカが、木の枝に見事にたわわと鈴なりに実がなっているな……ん、確かスイカって木になる実でなく畑みたいなところで収穫されてたはず。それにあの大きさでよく落ちないなあ」
あれはどう見てもスイカに見えるよなあ。
あの緑色に縞模様やはりスイカだ。異世界のスイカをみたらやっぱり食べないとだめでしょ。
その場で跳び跳ねるが指先にかすかにふれるだけで取れそうにないな。
周りを見渡し
「おっ、ちょうどいいのがあるな」
近くにあった果樹園の管理小屋の成れの果てから、長さが1メートル程の木の棒を拾ってきて叩いたりつついたりするが落ちてきそうにない。
だめか登るしかないな。木登りなんて小学生の時以来だな。
木の棒をベルトに差しさっそく登ってみると以外と登れます。
まあ2メートルぐらいの高さしかないけどね。
太さが30センチぐらいの木の枝に体を乗り上げていく。
「大丈夫か この枝、折れたりしないよな」
枝の上をゆっくり進んで行き、ふたつほどスイカもどきをなんとか収穫して両脇に抱え込んだ。
「ふう、ふたつもあれば十分だろ。さっそく降りて食べますか」
え〜と、どうやって降りよう。
今、枝にまたがって両脇にスイカを持って動けません。転生して頭まで馬鹿になったのか。
飛び降りれば良いだけなんだけども、下から見たらたいしたことなくても上から見たら結構高く感じるよね。
枝の上でじたばたしていると枝の先に奴が現れた。
黒い光沢のボディーに力強い角、そう昆虫の王者カブトムシ…………少し縮尺がおかしいですが、体長が1メートル程あります。
もしかするとこの木は彼の縄張りかもですね。ありえそうです。
ゆっくりと枝の上でこちらに近づくカブトを見据えながら
「しか〜し、ふふふ、今の私にはこれがある」
称号、恐怖の大王を発動させた。
あれっ、まったく反応がない。もしかして昆虫には恐怖の感情とかないのかな。
後はおきまりですね。
手がふさがって動けない。
カブトが角から突っ込む。
俺が避けようとする。
木から落ちる。
地面とスイカのダブルパンチ。
カブトの角でとどめの一撃。
まるでマニュアルのような流れ作業……痛い……そして意識が……。
目覚めると、いつもの白い部屋の中にスイカと木の棒が転がっていた。
「はあー、散々苦労してスイカふたつに木の棒かよ、どんだけだよ」
しかし持ってた物はこの部屋に一緒に戻るのか。
「もうどうでもいいや。やる気もなくなったよ。俺はがんばったと思うよ。だいたいどんな無理ゲーだよ。レベル0とかふつうはありえないだろう。幼稚園児にも勝てねえよ。どうやって闘えばいいんだよ。このままじゃレベルも上げれねえよ」
最初は呟きだったのが徐々に大声に変わっていく。
「なにが、邪神だ魔神だよ。はなしにもならねえよ。恐怖の大王、笑わせるぜ豆腐の大王の間違いじゃないのか。豆腐ぐらいの防御力しかないじゃねえか。ははは本当に笑わせるぜ……だんだん腹が立ってきたな。だいたい神様も神様だな、間違って送ったらまた呼び戻せよ」
「俺を日本から召喚したなら、ここからも召喚できるだろ。50年も何してんだよ。ほったらかしかよ。もういやだ日本に帰せ元に戻せー!」
大声だったものは最後には泣き叫んでいた。
もうキレて暴れまわりました。まあ何もないので被害無し。
ただジタバタころげまわってただけです。
もうほんと子供かよ。ああ恥ずかしい。
体力がないのですぐに落ち着いたが、感情を爆発させて暴れたせいかスッキリして、床に大の字に寝ころがった。
まあ、わかってた事だけどね。もう元に戻れない事はね。
それに神様にも都合があるんだろうし。時間の概念とかも俺達とは違うだろうしね。
神様の感覚で1日が俺達の百年とかありえそうだしね。
そういえば俺も神のひとりだったな……ははは、笑うしかないな。ダメ神、最低神、最弱神すべて俺の事です……トホホ。
しかし転生して邪神か魔神か、よくわからんが容姿だけでなく性格とかも変わったと思う。
かなり行動的になったしね。前の俺はキレて暴れたりしたことなどなかったしね。
この部屋にひきこもってただろうな。
あと自分の事を俺なんて呼ばなかった。魔神になったせいなのか?
魔神のレベルが上がれば性格も変わっていくのか?
どんどん人間ばなれしていったらそれは嫌だな。
これからどうするかだがのんびり生活しながら神様からの連絡なり、なにかのアプローチを待つしかないな。
問題は最弱神の俺と、塔の外の野生の王国だけだな。要は俺のレベルを上げて強くなればいいだけだが、闘いかたを考えるしかないな。
とりあえずは、使えるスキルの神オーラと称号の恐怖の大王だが、神オーラは光輝くだけで周りどういった影響を与えてるのかよくわからん。多少は驚いているようだがな。
称号の恐怖の大王は小さな見えない波動のようなものを、全身から絶えず発散させ意識をすれば大きくなるようだ。
これは恐怖を相手に与え畏怖させるようだ。
武器になるものがいるが今あるのはさっきもってきた木の棒しかない。
「木の棒じゃだめだろ。今日は、もうじき日が沈みそうだし、明日の朝から何か武器になりそうな物を探す事にしよう。後はスイカでも食べながら考えるか」
そうときまれば、塔の2階から景色を楽しみながら食べるか。
あれだけびびらせたからあの犬もどっかに行っただろう。
もし居たなら豆腐の大王で、いやいや違った俺が間違えてどうすんだよ。
恐怖の大王でびびらせてやる。
スイカをふたつ両脇に抱え塔の2階に出てみると、大広間の隅の暗がりで白い犬がこちらを警戒しながら眺めている。
その横には毛布の様な物が転がっていた。
最初に襲いかかってきた犬と同じ犬の様にみえる。
この塔の2階が奴の寝床だったようだな。
今度は前の脅しのようなものが効いたのかおとなしい。
自分の家で夜中に寝てる時に他人が突然入ってきたら、そらびっくりして撃退しようとするわな。
俺でもそうするわ。
しかしこっちもあの部屋が塔の2階と繋がってるからな、可哀想だが出ていってもらうしかないな。
しかし、暗くてよくわからん。 奴のいる所は窓もなく夕暮れ時が重なって薄暗くよく見えない。
神オーラを全身ではなく、指先だけに纏えば灯りに使えるのじゃないのか。
指先だけならポイントもそんなに使わないだろう。試してみると使えそうだ。
灯りを奴に向けると俺とスイカを交互に見てくる。
よくみると、体はでかいが大分痩せているようだな。あばら骨が浮いて見える。もう何日も食事もしてないようだ。
仕方ない、出ていってもらう餞別がわりにひとつやるか。
「ほら、ひとつ食べるか」
奴の方にスイカをひとつ転がしてやるが、何故か俺のことを睨んでくる。
「なんだよ気にいらないのか。俺からの施しはうけないってか食えよ、腹がへってるんだろ。何もしないから心配するな」
「ウーグル、ウー」
少し迷うようなそぶりをみせるが動かずまだ睨んでくる。
なんだよ、もの欲しそうに見てたくせに、苛ついたので少し恐怖の大王を発動させて
「ほら、早く、食え!」
きつめに言うと、びくっと体を振るわせて渋々と食べ始めた。
なんだよ俺が無理やりたべさせてるみたいじゃないか。本当に腹が立つ犬だな。
食べ終わったみたいなので奴の方に近づきながらよく見ると、横にある毛布みたいな物は犬の死骸のようだ。
死亡してから何日も立っているようだ。こいつの身内なのだろう。
死んだことに気付かず守っていたのだろうか。
いや、こいつは結構、頭がよさそうだしな。さっきも俺の言っている事が、わかってたみたいだったからな。
認めたくないだけかもな。
そう考えると、ぐっと胸にくるものがあるな。
仕方ない。さっき食事を与えたから少しは信頼も生まれただろう。
俺が埋葬してやろう。少しは感謝もするだろう。
そう思い死骸に手を出したら、ガブッ……えっ……痛い……頭から丸かじり……痛ー……意識が……またかよ…………。
そして、いつもの部屋にいた。
「くそっ、あの馬鹿犬、ちょっとは、わかりあえたとおもったのに今度は本当に頭にきたぞ」
神オーラと恐怖の大王を、全開にしてあの馬鹿犬の前に突撃していった。
「クウーン」
馬鹿犬は、亡骸に寄り添い悲しげな鳴き声をあげていた。
あー、もう何だよお前は、俺は怒る気もなくなり
「いいかよく聞け、馬鹿犬、そいつはもう死んでんだよ。お前が認めてやらないと、そいつの魂もお前を心配して成仏できないだろ。それがお前の望みなのか違うだろ!」
俺は、大声でそう言って力一杯、威圧を込めて睨み付ける。
馬鹿犬は驚いたように目を開き項垂れて後ずさる。
どうやら解ってくれたようだ。
「解ったら今から埋葬しにいくぞ。付いてこい」
そう言って亡骸を持ち上げる。ちょっと、グロいがこいつの前ではそんな素振りもみせられず塔の外に運ぶ。
途中から体力もなくなり引きずって休憩しながら運びました。
ほんと体力とかなさすぎだよ。この体を何とかしてよ……トホホ。
ちなみに神オーラは途中で灯りがわりに指先にきりかえてます。
塔から外に出るとあたりは、日が落ち月明かりにつつまれていた。
異世界にも月があるんだな。結構明るい。
もう夜になってるし、わるいが入口から出てすぐ横の塔と沼の間に墓をつくらせてもらう。
木の棒しか道具がないので、木の棒で土をほじくり手で運んでいるので大分時間がかかり、かかったわりに深く掘り下げられないがなんとか埋葬できた。
その間こいつはじっと眺めるだけで動かない。
そういえば塔から降ろす時も手伝わないし、何だよこの馬鹿犬は本当になに考えてんだか。
まあ、こいつにも思うところもあるのだろう。
最後に墓標がわりに木の棒を盛り土に差して完成だ。
お供えでスイカを墓の前に置いて祈る。
「あー、こいつのことはもう心配しなくていいと思うので、あんたもまよわず成仏してくれ」
どうもこういうのは苦手だ。
一応俺も神の1柱なので、最後に全身に神オーラを纏い手を合わせ来世での幸せを祈る。
すると墓の中から光の粒子が、キラキラと輝きながら満天の星空の中、天に昇っていく。
何とも幻想的だ。あれが魂だったのだろう。
ふと犬の方をみると同じように涙を流しながら魂が昇っていくのを見上げていた。
《ありがとうございます娘をよろしくお願いいたします》
えっ、頭の中に声がするが、もしかして今昇っていく魂の声なのか。
母親だったのか。
それにこいつメスだったのかよ。
そして光の粒子は星空に融けるように消えていった。
「ふう、おい、お前はどうする。お前の母ちゃんに頼まれたしな、面倒をみてやるから一緒に此処に住むか?」
一息つき話ながら犬の方を向く。
ガツガツ、ムシャムシャ、スイカを食べてます。
それ、お前の母ちゃんへのお供え物なのに、何いきなり食ってんだよ。 そういえば、俺は一口も食ってないよ。
あー、全部喰ってるよ。俺にも寄越せよこの馬鹿犬があ!
結局一口も食べてないよ。
まあいいか。こいつも何日も食べてなかったみたいだからな。
今は食べてる間だけは悲しみも薄れるだろう。
それに早く元気にならないとな。
それがお前の母ちゃんの望みでもあるからな。
ふと視線を感じて犬を見ると、俺を不思議そうに見つめていた。
その後、塔の2階に戻り少し落ち着き暫くすると、外は夜が明けてきた。
そして目の前には満足そうにして、尻尾をブンブン振りながら白い犬が座っている。
「じゃあらためて聞くが、俺と一緒に此処に住むか?」
「バウ!」
これはイエスのようだな。
今さっきの事で大分信頼度があがったようだ。
「なら名前をつけないとな。よし、お前の名前は白いからユキだ」
「バウ?」
なんか不満そうだな。
「いいだろ、呼びやすい名前が一番なんだよ」
「それと自己紹介だな。俺の名前はツヨシだ。一応魔神をやってる。出会いは最悪だったが、これからは仲良くしよう。よろしくなユキ」
「バウ!」
ひと鳴きすると、俺にとびついてきて押し倒され、顔中を舐めまわされました。もう、顔中が涎だらけです。もう、勘弁してください。
ユキの体は俺の倍ぐらいあるからどうしようもなく、そこらじゅうを転がされるは、じゃれつかれるだけであの部屋に戻りそうだ。
もうどうしようもないからユキの好きにさせるしかない。
その間に残ポイントの確認でもするか。
だいぶスキルを使ったからな、そう思いステータスを開くと残り神力ポイントは、98……はあ100を下まわったよ……トホホ。
あれ、神力の所が点滅している。
クリックしてみると、スキル覧の祝福という項目が点灯している。
なんだこれは、レベルは0なのに点灯している。
とりあえず開いてみる。
<祝福>
忠誠を捧げた者に祝福を与える
祝福を与えられた者は眷属となり能力や才能が解放される
必要 P 50
あー大体わかったな。
今まで俺に忠誠を捧げる者などいなかったから使えなかったんだろう。
そりゃそうだな、この世界で出会ったのユキとワニもどきとカブトもどきの3匹だけだからな。
しかし俺の祝福は安いな。かりにも神の祝福だろ安すぎるわ、大丈夫かよ。
たぶんユキに祝福を与えることができるようになったので、使えるようになったみたいだな。
う〜ん、98に50ポイントか。
ぐっ残ポイントがー! このままではポイント貧乏になるよ〜。なんとかしないとね。
とりあえずユキに祝福を与える事にする。
だって眷属って家族みたいなものだろう。ぼっちは嫌だもん。
いまだに俺にじゃれついているユキに
「あーユキさん、今から重大な発表があります」
と言うとユキはきょとんとして、何かを察したのか俺の目の前にきちんと座り直した。
おっ意外と可愛いぞ、見た目狂暴そうで怖いけどね。
「エーアナタハ、ワタシヲ、シンジマスカ、シンジルモノハ、スクワレル」
ユキは、一瞬ひきつったような顔をする。
ちがうよ。ふざけた訳じゃないよ。
ほら一応俺って神様だし忠誠心も確認しないと駄目だし……本当にすいません。見捨てないで下さい。
あー、気を取り直して
「ごほん、今からユキに祝福を与えようと思います。祝福を与えられるとユキは俺の眷属。まあ家族のようなものになります。祝福を受けますか? 受けるなら返事をしてください」
「バウ!」
おっ、即答か。嬉しいね。
なら早速ためすか。
「それなら、早速でわるいが今から祝福をあたえるぞ」
そう言って両手を天に向かって差し上げる。
「我が魔神への忠誠に報いるため、汝に魔神の祝福を与えん」
本当は念じるだけでいいけど、一応神様としてかっこつけてみました。
すると、あたり一面が光に包まれ、その光がユキに集束して光に包まれていく。
おおっ、なんだか大スペクタクルの映画を観てるみたいだな。
しばらくすると光が小さな粒子となり、まわりに弾けとんだそして中から……真っ黒なユキが……あれ、色がおかしい体もでかくなってるしどういうこと?
ユキらしき生き物は今は眠っているようだ。
起こして良いものか悩んでいると、
《マスターノ フウインガイチブ カイホウ サレマシタ マスターノ ノウリョクガ イチブ カイホウ サレマシタ》
んっ、何っ、誰?……レクターか!
「レクター、今のはお前なのか?」
《ハイ マスター イマノハ ワタシデス》
「どういうことだ、質問をした覚えがないのだが」
《ハイマスター シツモンハ アリマセンデシタガ マスターノ フウインガ カイジョ サレタトキニ オシラセ スルヨウニ プログラム サレテイマス》
「なんだと! いつ、誰にされた」
思わず大声で怒鳴った。
《ワカリマセン ソノトキノ キオクガ サクジョ サレテイマス》
「そうか わかった大声だして悪かったな」
どういうことだ。封印されたのは指輪をもらった後だ。
なぜ封印に関連したプログラムがあるんだ。
そもそもあの部屋も俺が創ったらしいが、そんな覚えがない。
俺がしらないだけで誰かの思惑に巻き込まれているのか。
俺は呆然としながら黒い犬を眺めていた。
次回
呪いの沼とカエルの合唱団
ユキの運命は?
ツヨシの初勝利か?
そしてカエルの大合唱
次回もお楽しみに