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異界の魔神  作者: 飛狼
1/31

プロローグ

初投稿です

宜しくお願いします


「えっと、ここどこ?」

 私の口から思わず呟きが溢れ出た。

 私はさっきまで電車に乗っていて、駅のホームに降りたはずなんだがな。


 後ろを振り返って見ても、降りたはずのドアはなくなり、立っている場所も駅のホームではない。

 呆然としながら周りを見渡してみても、見慣れたはずの風景はない。


 そこは真っ白に光輝く空間で、地面も真っ白でふわふわのクッションの上に立っているような感じだ。


 なんとも心もとない状態に不安を感じながら上を見上げれば、そこだけは夜の空のように真っ暗で、色とりどりのシャボン玉のような物がふわふわと空中を漂っている。


「これは夢か、私は電車内で疲れて居眠りでもしているのだろう」


 私はそう思い自分の腕を強く抓ってみる。

 つっ、かなり痛い。

 どういう事だ、私は気が触れたのか。

 

 私は、自分の正気を疑い頭の中の記憶を確かめる。


 私は仕事が終わって家に帰る途中だったので服装は、ビジネススーツに持ち物は携帯に鞄ぐらいしかない。


 鞄の中には、仕事が内装関係の会社で営業部の係長をしているので、その資料とカタログだけだ。


 後は財布ぐらいか中身は1万5千円に免許証か名前は立川強たちかわつよし強い子になってほしいと親がつけたようだが、まあ強くはなってないけど争い事が嫌いだからね。


 会社でもみんなの調整役だし、和を持って尊しの精神だね。


 生年月日も合ってるし、先月38才になったばっかりだ。


 まだ独身だし、早く可愛い嫁さんもらわないとねって、こんなこと考えてる場合じゃない。


 すいません。現実逃避してましたって、誰に言ってるんだか。人間っておかしなことにまきこまれると、変になったゃいますね……トホホ。

 

 私の免許証に持ち物も合ってるし、全て記憶通りだ。

 これは死んであの世なのか。実際のところ独身彼女なし親も早くに亡くして、親しい身内もなく死んでいたとしても問題はないけどな。


 しかしこの場所は、じっと立っているだけで疲れるな。

 なんというか、生命力を吸いとられていくような感じだ。

 これは早いこと出口を探さないと、動けなくなりそうだと感じて動きだした。


 すると背後から凄まじい圧力というか、空間がビリビリ震えるようなプレッシャーを、感じて座り込みそうになる。


 驚いて振り返ると

「な〜何だ!」

 私は叫んでいた。


 10メートルほど向こうに身長が、5メートルほどの光輝く巨人が立っている。


「え〜 宇宙人! もしかしてさらわれたっていうか、ここはほかの星とか?」


 私の声に反応したかのように巨人は、一歩近付きながら喋りかけるように口らしきものが開いた瞬間、大量な情報が頭の中に流れ込んでくる。

 それは耳元で大音量のスピーカーを鳴らしたようなもので、あっという間に意識を手放した。


「お〜い、目覚めよ」


 頭の中に直接響くような声に目覚めてみれば、やはり夢でなかったようで、さっきの場所みたいです。


「お〜、やっと目覚めたかの〜。さっきは悪かったの〜、少し調整に失敗したみたいじゃ」


「あなたは……」

 目の前には白いあごひげをはやした老人が、こちらをのぞきこんでいた。   

「ふむ、わしか。宇宙人でもないしここは、ほかの星でもないの〜。そうじゃの、わしはここの管理者といったところかの」


「もしかして先程の巨人は、あなたですか? それに、ここはいったいどこなのでしょうか?」


「ふむ、意外と落ち着いておるの〜。もう少し慌てるかと思ったがの〜」


「いえいえ、驚きすぎて感情が麻痺しているだけです。今は困惑といったところですね」


「ふむ、そんなものかの〜。まあ、それはいいとして先程の質問じゃが、巨人というものがわからぬが、先程お主を驚かせたのわしじゃよ」


 すまなそうな顔をして言葉を続ける。

「さっきは出力の調整が絞りきれてなかったようだ。今は、おぬしの頭の中の知識を借りてこの姿になっておる。本来のわしは姿形などなく高位階精神の集合体であるからな」


「おぬしの知識の中にあるものでいうならば、神のようなものじゃな。あらゆる世界に存在して、時の始まりから終わりまで全ての時間軸に存在する者じゃよ」


「今は、おぬしの位階に無理にあわせておるのじゃ。そしてここは世界と世界の狭間の空間じゃ。本来は人が立ち入る事が出来ぬ所じゃ」


「ははは……神様ですか……なぜ私はここにいるのでしょうか。やっぱり私は死んでしまったのでしょうか」

 これは、SF的なものを考えていましたが、ファンタジーでしたか。神様って、もう驚きを通り越して呆然ですね。


「ふむ、そうでわないおぬしを呼んだのはわしじゃ。少し頼み事があっての」


「あの空中に漂うたくさんの色のついた丸いのが世界じゃ。あの中におぬしのいた世界もある。そしてあそこに黒いものがみえるじゃろ」


 そう言われて指差す方を見れば、野球のボールほどの大きさのグネグネと動く黒い塊が、水色のサッカーボールほどの大きさの世界に取り付こうとしているのが見えた。


「おー、これはまずいの〜」


 そういいながら神様の手から光が飛び出し黒い塊を包みこんで、あっという間に消滅した。


「今の黒い塊は、すべての世界からでてくる負の想念が集まってできるもので、わしとは反対の負の精神体といったところじゃな」


「まだ生まれたばかりのものじゃからよかったが、あれは年を経て意識を持ち世界を喰らい増殖していく」


「大きくなれば手がおえなくなるだから、小さいあいだに潰さなくてはならないのじゃ。そしておぬしの居った世界じゃが」


 そう言うと、ひとつだけ離れた場所にあった世界を目の前に招き寄せた。


 私の居た世界というものをみたが、う〜んよくわからないというのが正直な感じだな。


 それは、1メートルほどの大きさの球体で灰色がかった、くすんだ色で周りに黒い霧のようなものが漂っている。


「えっと……この丸いのが私の居た世界ですか。この中に地球とかあるということですか。それにこの黒い霧みたいなものは……」


 私はますます困惑が増すばかりだ。


「そうじゃ。今世界の外から眺めておるから小さく見えるが、おぬしが居た地球もほかの星も宇宙も全て入っておる」


「それにすでに負の精神体に蝕まれておる。ほっておけば世界そのものを喰らつくすじゃろ。そして大量の負の想念を吐き出しておる」


「わしは全てが知覚できるはずなのにあり得ぬことじゃが、気が付いたときにはこうなっておった。今わしの力で浄化すればおぬしの世界そのものが消滅するかもしれん」


「位階の高い世界であり大きく育った事もあって消滅すれば、ほかの世界にかなりの影響を与え。この空間のバランスを崩し、大きなダメージを与えることになる」


 私は驚き半ば呆然となり神様の話を聞いていたが、自分が住んでいる世界の話になりやっと頭が働きだした。


 自分の住んでいる世界の事なので少しあわてて

「えっと何とかならないのですか?」

 と問い掛ける。


「そこでじゃが今あやつらは、おぬしの世界の人間を依り代としておる。感情が豊かで、怒り、悲しみ、憎しみなど負の感情に染まりやすいからじゃ」


「だからおぬしには邪神となり、恐怖の大王としておぬしの世界に降臨し、人間の数を3分の1以下に減らすのじゃ」


「そうすれば後は、わしがお主の世界に影響がでぬ程度の力で浄化すれば治まるであろう」


「えー!」


 いやいやこの神様、とんでもないこといいだしたよ。

 恐怖の大王ってあれか。

 前世紀末に天から降ってくるとかいうやつか。

 完全に時期がずれてるんですけど。


 意味がわかんないというか、理解できないし。思考停止状態でかたまってしまいました。


「おぬしは、高位階の精神体に転位して能力をたかめるのじゃ」


 たかめるのじゃって、既に神様の中では決定事項なのですね。

 そういえば全ての時間に存在するとか、おっしゃっていましたから全て決まってある事なのでしょうか?

 そんな事を呆然しながら考えていました。


「どうじゃ、何か要望や質問はあるか、なければ早速おぬしの世界に降臨させるが」

 このままではまずいと思いあわてて言った。

「ちょっとお待ち下さい。何故私なのですか。それに争い事が嫌いな私には、大量殺戮など不可能です」


「そうじゃたのその説明がまだじゃったの。お主は3回ほど前の前世で、ある国の高僧であっての〜。長い修行のはてに仏の悟りを開き、驚く事にこのわしにコンタクトをとってきたのじゃ」


「この世の理を教えてほしいと言いおった。本当に驚く事であったの。悟りを開いた時に位階を飛ばしてわしの位階に迫りよった」


「あり得ぬ事じゃ。その時にわしは高精神体の集合体であるから、転生する時には合流するように促したのじゃが断られたのじゃ。何でも世界そのものの位階を、上位に転位させるといっておったのじゃ」


「素晴らしい者であった。だからおぬしには、神に至る素地がすでにできておるのじゃ。それにおぬしが排除した者たちは、別の世界に転生させればよかろう。このままほっておけば、負の精神体に喰らわれて転生の輪からはずれるだけじゃ」


 う〜ん、私はそんなに偉い人だったのですね。

 実感がないですけどね。というか仏の悟りってあの人の事ですかね。

 考えるだけで怖いんですが、聞かなかったことにしよう。


 しかし話を聞けば私がやるしかないのかな。

 う〜ん、大量殺戮など嫌なんだが、その人たちを助ける事になるならやるしかないのか。

 でも、私なんかがみんなの運命を変えてもいいんですかね。

 それに邪神といっても怪物みたいな姿は勘弁してもらいたいですね。


「う〜ん……わかりました。私でよければお手伝いします。ただ姿形は普通に、できれば美形にお願いします」


「うむ、よかろう。しかし普通では誰も恐怖せぬだろう。よしこんなものだろう」


 そう言うと手のひらより光をだし、その光が私の体をつつんだ。


 しかし恐怖を与える必要があるのだろうか。

 いやむしろ相手は負の精神体なので、喜ぶんじゃないのか。

 まあ神様相手につっこめないけど、精神構造が違うから理解してないとかじゃないよね。

 ちゃんと考えてると信じる事とにしよう。信じる者は救われるていうしね。

 そんな事を考えてると、体をつつんでいた光が薄れていった。


「どうじゃおぬしの知識を使ったのじゃが」

 そう言うと目の前に等身大の鏡を出現させた。


 いまさらだが、私の知識を使うという事は私の考えてる事は、筒抜けなのだろうか。


「筒抜けじゃの〜。まあさっきおぬしの考えていた事は正解じゃ。おぬしとは精神構造が違うからの」


「今は、おぬしの位階にあわせておるからある程度会話が成立しておるが、本来は動物と植物の違いぐらいしかわからぬ」


「おぬしが虫を一匹々識別できぬのといっしょじゃ。それよりも早く自分の姿を鏡で確認するのじゃ」


 神様からすれば我々、人間など虫と同じようなものなのだろうか。

 ならばこの先、思わぬ落とし穴に嵌まる事になるかもしれないな。

 そんな事を考えて、ちらっと神様に目を向けると、ニヤリと笑ったような気がした。

 今はこれ以上考えても仕方がないと、考えなおして鏡に向かって全身を映してみる。


「う〜ん、まあ悪くはないのか?」


 そこには透きとおるような白い肌に光輝く白銀の流れるような髪が生え、人形のように整った顔立ちに目は真っ赤でつり上がり、額からは真っ黒な角が生え酷薄そうな雰囲気を、周りに漂わせまさに恐怖系美少年が映っている。


 目をみつめれば体の芯から恐怖がわき上がり、これは魔眼というものか。

 微笑めば思わず土下座しそうになる。自分に土下座ってどんだけだよと軽くツッコミをいれる。

 着てる服も変わっていて、黒に金色の飾りが随所にあしらわれた貴族風の上下に、赤いマントを羽織っている。


 う〜ん、まさに廚二病万歳の状況ですね。

 これが私の知識からでてるとしたら、30代後半のおじさんには恥ずかしいものがあるな。

 まあ、かなり若返ってるからよしとするか。


「後は位階と能力じゃな。おぬしは元々前世で位階を上げておったからの、それを世界の位階にあわせて生まれ変わる際に自ら位階をさげよったのじゃ」


「だからこの空間に召喚した際に、すでに位階が上がっておるし能力もそれにあわせて上がっておる」


「わしの力で後すこし位階をあげてやろう。それに望みの能力も与えよう何かあるか?」


「う〜んそうですね。位階とか能力とかいわれても実際のところよくわからないので、私の世界のゲームのようにステータスやスキルなど分かりやすくしてほしいです」


「それは世界の理に関する事になるから難しいが、まあ、なんとかしようあとはなにかあるか」


「あとは、神様との連絡方法と、このような事は初めてなので相談相手がほしいですね」


「連絡方法は無い。位階が違いすぎて連絡方法がないのじゃ。相談相手にしてもこれ以上の転生もできんしの〜」


「わしは高次元高位階の精神の集合体であって、おぬしの知識の中にある神の概念に近い存在だというだけじゃ」


「おぬしの考えてる神のように完全なる全知全能ではない。それに近い存在ではあるが」


 あらゆる世界を管理する者であり、私からすれば神のような存在でも、できる事とできない事があるということか。


「そうですか……」


 転生したあとは、全て一人でやらなければいけないということか。かなり不安ですね。


「そうがっかりするでない現地で協力者をみつければよい。それに代わりにこれを授けよう」


 そう言うと手のひらに光を集めて、ひとつの指輪を造り出した。


「これは叡知の指輪じゃ。相談相手とはいかぬがおぬしの質問にはある程度答えれるじゃろ」


「あっ、ありがとうございます」


「もうこれでよかろう。それでは、おぬしを送るとしよう」

 そう言って、手のひらを私に向けて光で私を包みこみながら

「おっ、これはどうしたことじゃ。むう、まずいの〜、引っ張られておる」


 神様の聞きたくないような言葉を、聞きながら私は光の渦にのみこまれて意識を手放した。


***********


「これは困った事になったの〜、まさか転生する時に別の世界で、邪神召喚の儀式を行うとは、本来はその様な儀式で、別の世界の邪神を喚ぶ事などできぬはずじゃが」


「わしの転生の力と重なって成立させたようじゃ。わしの知覚をのがれてこのような事がおきるはずなどないんじゃが。まさかあやつが裏で糸を引いておるのか……計画を修正せねばなるまい」

 そう言いながら目の前の、緑色に輝く球体を眺めていた。


***********


「う〜ん、よく眠ったな。寝すぎて変な夢を見ちゃったよ。たしか今日は朝から会社で会議があったはず。間に合うのかよ……って、ここどこだよ」


 目を覚まして見れば、真っ白な部屋の中で壁も床も天井も真っ白で、ふわふわとしていて夢の中で見たはずの場所に似た部屋にいた。


 あれは夢じゃなかったんだ。そう思いながら額に手をやると有りました角が。

 角があるという事は転生したはずだけど、どうなってるの。

 そういえば転生する時に神様が、変な事言ってたような気がするけど、転生に失敗したのか。

 どうすればいい。

 おちついて考えよう。まずは周り見渡してみる。


 この部屋は縦横高さ全てが、5メートル程の立方体で出口も窓も何もない。壁を叩いてもふわふわとしているだけで、壊す事もできない。

 叫んでも応答もない物音ひとつしない。う〜ん、完全に詰んでるな。


「これじゃ、どうする事もできないな」


 あきらめてその場で横になり、転生する時の神様との会話を思いだす。


 連絡もとれないと言っていたし、ということは、当然力での介入もしないだろうな。

 それなら世界の管理って何してんだろう。ただ眺めてるだけなのかな。

 あとは、あの負の精神体を浄化するだけなら神様も退屈な仕事だよな。

 なんて馬鹿な事を考えながらゴロゴロしていた。

 ふとそういえば、最後に指輪をもらった事を思いだして

「あっそうだよ、指輪だよ。指輪をまだためしてないよ」


 あわてて起き上がりポケットから指輪を出し、左手の人差し指に嵌めてみた。


「叡知の指輪を、私の質問に答えてくれ」


 すると一瞬、光輝くと

《ハイマスター シツモンヲ ドウゾ》


 私の頭の中に声が響く

「これはビンゴだよ。えーと、まずはここはどこだ」


《ハイマスター ココハ マスターガ ツクリダシタ セカイデス》


 ん…………私が造り出した世界だと

「どういうことだ。詳しく話せ。あー分かりやすくな」


《ハイマスター マスターガ カンリNo.413ニ トバサレタトキニ No.413ノ パワート マスターノ パワーガ ブツカリ マスターハ キンキューカイヒノタメ コノセカイヲ ツクリマシタ イマコノセカイハ No.413二 クッツキパワーヲ スコシヅツ キュウシュウシテ ソンザイシテイマス》


「No.413とは、なんの事だ」


《グランドマスターガ 413バンメニ ソウゾウシテ カンリシテイル セカイデス》


 う〜ん、グランドマスターが神様の事で、No.413が別の世界で、転生する時の神様が言っていた事を考えると、何か事故があったようだな。

 神様が事故をおこすなど考えられないが、どうやら別の世界にとばされたようだ。


 しかし私が、無意識に世界を創造していたとは驚きだな。

 まあ何も無い小さな世界だが、しかも別の世界にくっついて力を吸収して成り立ってるって、寄生しているようなもんか。


「叡知の指輪よ、こうなったのは事故なのか。どうやったらここから出られるのか教えくれ」


《ハイマスター ジコニツイテハ ワカリマセン グランドマスターニ キクシカナイデショウ  ココカラデルニハ マスターノ シンリョクヲ ツカッテ ゲートヲ ヨビダセバ デラレマス》


「グランドマスターとかには連絡はとれないのか。向こうからも連絡ないのか」


《マスターノ ランクヲアゲレバ レンラクデキマス グランドマスターカラノ レンラクモ50ネン アリマセン》


 やっぱり今は連絡とれないか。ランクというのは位階のことだろうし、上げるには前世のように悟りを開くしかないな。

 まあ、今の私には無理だな。

 神様からも50年連絡が無いって…………。


「えっ、えー、50年てどういうことだよ!」


《ハイ マスターハ コノセカイデ 50ネン ネテイマシタ》

 さすがに50年は寝すぎだろ。寝溜めしすぎだろ……トホホ。


 まあ今は、そんな事より目の前の問題をかたずけよう。

 まずは

「叡知の指輪よ、しんりょくとかゲートとかって何だ?」


《マスターハ ステータスヲ ヨビダシテ シンリョクヲ ツカッテ ゲートヲ ショウカン デキマス》


 おっステータスだとそういえば、ゲームのような仕様にお願いしていたな。


「ステータス」


 そう呟くとステータスが、頭の中にうかんできた。


***********


ステータス

名前   :−

年齢  :50

職業   :異界の魔神

称号   :恐怖の大王

level  :0

HP   :−/−

MP  :−/−

神力P :5000


----------------------


筋力  :10

耐久力 :10

素早さ :10

知力  :100

魔力  :−

精神力 :−

器用さ :10

運  :−


---------------------

スキル

神力 神眼 魔眼


***********


 う〜ん、ツッコミどころがありすぎるな。

 まずは名前がない。

 これは転生したから名前がないのか。つよしと念じてみる。

 おっ名前の所につよしと出たなこれはほかにも変えれることができるのか。

 まあ今は使い慣れた名前のつよしでいいな。


 年齢の50は、転生して50年たったということだな。

 しかし、寝てる間に50才も年をとったのは、悲しいものがあるな。まあ、考えないようにしよう。


 職業の異界の魔神はなんだろう。

 たしか邪神のはずなんだが、そもそも、魔神は職業なのか。おっ、クリックできるな。


<異界の魔神>

異界より降臨した高位階の神


 まあそのままだな高位階の所が、ちょっと嬉しい。

 次は恐怖の大王か、これもクリックしてみる。


<恐怖の大王>

見渡す事ができる範囲に畏怖をあたえる


 これは威圧みたいなものか、よくわからん。これはとばして次だな。


 これが一番、訳がわからん。level0なんですけど、どういうことですか。


 その関係なんだろうが、能力も全て低いんですけど、数値の無い項目もあるし、困ったときはユビエモンに聞くしかない。


「プリ〜ズ、ユビエモ〜ン……返事が無い」


 まずい、ちょっとパニックになったみたいだ。


「う〜ん。ゴホン。え〜、叡知の指輪よ。我が質問に答えよ。レベルが0とはどういうことだ。能力値の数値もおかしいのだが」


 しかし、いちいち叡知の指輪と、呼びかけるのは恥ずかしいな。名前でもつけてみるか、親しみも持てそうだしな。


《ハイ マスター マスターノ ノウリョクハ フウイン サレテイマスノデ スウチモ サガッテイマス スウチガナイノハ ソクテイ フノウデス》


「あー叡知の指輪よ。お前に名前をつけよう。そうだなレクターにしよう。以後は名前を呼ばれた時に答えるように」


《ハイ マスター ワカリマシタ》


 しかし封印されているとはな、誰がいつ封印したのかさっぱりわからん。

 しかし転生する前より能力が、さがってるんじゃないのか。レベルが0はひどいな

 とりあえず後は、スキルでも確認するか。


<神眼>

全ての本質を見抜く事ができる

予知、予測ができる

レベルに依存する


<魔眼>

あらゆる状態異常を与えることができる

レベルに依存する


 このスキルは2つとも暗転しているな。これはレベルが0なので使えないのか。レベル依存になっているしな


 まだだ。最後にこいつが残っている。

 このスキルが一番期待できる。さっきレクターが神力を使って、ゲートをよびだせとか言ってたからな。


 クリックをしてみると

「う〜ん。これはなんだよー。うそだろ!」


 スキルが沢山出てくるが、ほとんどが暗転している。使えるのがないのか。

 下にどんどんスクロールさせていくと、十五分程掛かって見てみたら、使えるスキルが2つ程ありました。


 ふー、散々探して2つだけかよ。

 まあ封印されてレベルが0だからな2つあるだけでもありがたいか。0だからある方が不思議だからな。


 使えるスキルはと

<ゲート>

異空間をつなげる門

必要 P 3000


<神オーラ>

神のオーラ周囲にただよわせ周りに癒しを与える

必要 P 秒/1


 たぶんこの必要ポイントというのが、ステータスにある神力ポイントの事だろうな。

 神オーラは、今必要ではないし。

 癒しというのもどういう癒しかわからん。

 後はゲートだがこれで出入口が作れるのか。たぶんNo.413に繋がっているのだろう。


「レクター ゲートで繋がるのはNo.413なのか」


《ハイ マスター ソウデス》


「その世界は、どういった世界だ」


《マスターノ チシキデイエバ ブンカレベルハ チュウセイ カガクノ カワリニ マホウガクガ アリ マジュウノ イルセカイデス》


 おっ、それは剣と魔法の世界ということか、魔法があるのか。

 そして、魔獣かドラゴンとかも、いるかもしれないな。

 ちょっと興奮するが、今のレベルで外に出るには不安があるな。

 そういえば食事とかどうなってるんだ。50年も寝ていたときもどうなってるんだ。


「レクター、50年寝ていた間は、食事とかどうなっていた」


《ハイ マスターノ カラダハ イカイガアガリ  セカイノハザマノ クウカンノ エネルギーデ ツクラレテフメツノ カラダニ ナッテイマスノデ カナラズシモ ヒツヨウデハ アリマセン マスターノ ショクジハ タノシムタメノモノデス》


 食事は必要ないのか。

 楽しむためか、まあ味覚とかはあるみたいだからな。

 あと不滅の体とかなんだ。そういえば神になったんだよな。


「レクター、不滅の体なら死ぬことはないのか」


《ハイマスター マスターヨリ タカイイカイノ ソンザイニ コウゲキサレナイカギリ ダイジョウブデス 413ノセカイニハ マスターヨリ コウイカイノ ソンザイハイマセン》


 自分より高位階の存在に攻撃されると、死ぬ事もあるのか。

 不滅じゃ、ないじゃないか。言葉間違ってるよ。

 まあ私の知識の中の言葉で喋ってるんだろうが、レクターの言ってる事も完全には信用できないな。


 完全な不死身ではないが、それに近いならここからでても大丈夫か。


「よし」

 かけ声と共に、立ち上がり壁に向かって。

「ゲート」

 と唱えると、体の中から力が抜けていくのを感じる。

 壁を見てみたら光に包まれ壁一面が、両開きの扉に変わっていった。


「ふう、今から異世界ライフのはじまりだ。行くぞ!」

 ため息をひとつつき、気合いをいれなおし扉の外に飛び出した。



次回

<廃墟の塔と黒い番犬>


主人公は無事異世界の土を踏めるのか?

異世界の生物と初遭遇?


次回もお楽しみに





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