1話目 前編 あだ名
だいぶ遅れて済みません。
柳
『それではまず、ここでのあだ名を自分で決めていただきましょうか』
「えー、なんか子供ぽくって嫌~」
「まぁまぁ、それくらいいいじゃねえか」
強気な女性を高身長の男性がなだめる。
『最初は飛び降り自殺未遂のあなたから』
「俺かい!」
そう言ったのは、先ほどの高身長の男性。
『自分のあだ名をお決めください』
「…リーダーでいいよ」
「えー、あんたが~?」
「いやいや、昔はよくリーダー役にされてたからだよ」
「なるほど~」
強気な女性は納得したようだ。
『それでは2番目に、浴室で手首を切ったあなた』
「…私か」
今度は強気な女性のようだ。
「うーん、どうしよう…じゃあ愛で!」
「あら、いい名前ですわね」
ゴスロリの女性が愛さんに話しかける。
「え、そう?なんか照れるな~」
「お可愛らしいですわね」
2人は仲良さそうに話している。
『3番目に、海への身投げをしたあなた』
「私ですわね。では、ミカエルでお願いしますわ」
「外国人の名前~?」
「いえいえ、大天使様の名前ですの」
「そうなんだ~」
あの2人はなんだか気が合いそうだ。
『4番目に、薬物自殺のあなた』
「……ゴホ」
よく咳き込むパーカーの男性の番のようだ。
「……ジャックで…ゴホッ」
なんだか怖い雰囲気がするせいか、あまり誰も話しかけようとしない。
『5番目に、首吊り自殺未遂のあなた』
「え、えっと…」
僕と同じくらいの年齢の男性は、すこし戸惑う。
「じゃあ…マフラーで」
そう言って、首に巻いているマフラーの端を握る。
「そういや、お前なんで夏にマフラー巻いているんだ?」
「え、あ、いや…」
無機質な声が言ったこと、それを考えれば夏にマフラーを巻いている理由など簡単に分かりそうだが…リーダーさんにはわからないのだろうか?
『6番目に、ガス自殺未遂のあなた』
「私ですか」
その人は、一見女性にも見える美しい好青年。
「では…Dでお願いします」
「どういう意味なの~」
「ドラックのDですよ」
「…怖~」
『最後に7番目のあなた』
最後が僕か。僕のあだ名…。
「……影でお願いします」
「…なんかかっこいいね」
マフラーさんが話しかけてきた。
「あ、ありがとう…ございます」
偏見はよくないけれど、この人が1番仲良くなれそうだ。
『全員の名前が決まったとこで、この施設の簡単なルールなどを説明しましょう』
無機質な声がそう言ったとたん、テレビ画面にこの施設の地図と思われるものが表示された。
『この施設の構造はこれを見ればわかるでしょう』
なるほど、この部屋は二階建てで、僕の部屋の右隣はミカエルさん、左隣がマフラーさんか。
『なお、この地図は皆様の部屋にの壁にも貼ってありますので、後ほどご確認ください』
「このあとは何をすればいいの~?」
『現時刻が午後3時。午後9時の自殺会議までは自由ですが、午後8時までは食事を済ませるようにお願いします』
「食事はどこで取ればいいのですか?」
Dさんが質問する。
『食堂でとるか、食堂での食事を自室に持って行って、自室で食事をするかです』
「なるほど…ゴホッ」
『それでは、自殺会議までご自由にお過ごし下さい』
プツリという音と共に、音声は聞こえなくなった。
「…自室に戻りますか」
「お、俺も」
「ねぇ、ミカエルちゃん~、お話しましょ~?」
「そうですわね。では、私の部屋でプチ女子会でもしましょうか」
「するする~」
みんなそれぞれに自室に戻っていった。
この部屋に残されたのは、僕と、マフラーさんと、ジャックさん。
僕は誰に話しかけようか。
誤字報告、感想などありましたらご連絡ください。
早速誤字修正しました。すみませんでした。
柳




