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ツキ ノ ハンギャクシャ

京平は月についた。

討伐隊は軍に属する。

京平は最高位の軍位を得ているため、すんなり月の軍事基地に入る手続きができた。

スリーテンから降りてブレスレットにしようとした瞬間、月の軍事基地の整備士が話しかけてきた。


京平きょう隊員整備は自分がやります!」

敬礼しながら言う。


「いや、いいよ。」

京平が言う。


「そんな、上司に怒られちゃいますよ…」

整備士が言う。


「そう?でも直すとこあんの?

今まで不具合なかったけど。」

京平は言う。


「でも、絶対したほうが良いと思います。

これ多分、宇宙飛行モードに入らずにここまで来ちゃってるので…」

整備士が言う。


「宇宙飛行モードとかあんの?知らんかった。

じゃ、じゃあ、お願いしよっかな。」

京平は恥ずかしいそうに言う。


京平は建物内部へと進むため背を向けた瞬間叫び声が聞こえる。


「コラッ!!なにやってるんだお前!!!!」

さっきの整備士の声だ。


次の瞬間スリーテンが暴れ始めた。
















月の軍事基地の周囲は、高さ30メートル近い巨大な障壁で囲まれており、その最上部には、侵入者を阻むための鋭い返しが設けられていた。生身でこの障壁を乗り越えるのは、ほぼ不可能に近い。


頂上に到達したミレアは、一瞬だけ眼下の光景を見下ろした。30メートルの高さから見る月面基地は、まるで模型のように小さく、静まり返っていた。

返しで怪我をしながら柵を越える。

そして躊躇なく、ミレアは障壁から身を躍らせた。重力の影響が少ない月面とはいえ、30メートルの高さからの落下は、生身の体には大きな衝撃となる。着地の瞬間、彼女の右足は不自然な方向に折れ曲がり、鈍い音が響いた。しかし、ミレアの表情は歪むことなく、彼女の意識は、アドレナリンの奔流によって、さらなる高みへと研ぎ澄まされていた。

ついにミレアは、よろめきながらもスリーテンの操縦席に身を滑り込ませた。彼女の瞳は、計器盤に並ぶ無数のランプとモニターを捉え、その奥に潜む機能を瞬時に理解しようと努めていた。

まず、彼女は右手のひらをスリーテンの中央コンソールに押し当てた。認証システムが彼女の生体情報を読み取り、コクピット内の照明が赤から緑へと変化した。

「システム起動。」

無機質な合成音声がコクピット内に響き渡る。

ミレアは、痛む右足を庇いながら、左手で操縦桿を握りしめた。彼女の指先は、無数のボタンやスイッチの上を滑り、必要な機能を選択していく。

目の前のメインモニターには、スリーテンの機体状況が3Dモデルで表示され、各部の損傷具合やエネルギー残量が詳細に示された。彼女は、損傷した右足の駆動系をバイパスし、残された左足と推進装置を連動させることで、機体のバランスを保とうと試みた。

「駆動系バイパス。左足、推進装置と連動。バランス制御、最適化。」

ミレアは、サブモニターに表示された兵器システムにアクセスした。彼女の指が数回タップされると、モニターにはスリーテンに搭載された武装の一覧が表示された。彼女は、エネルギー消費効率と破壊力を考慮し、プラズマキャノンとミサイルポッドを選択した。

「武装選択。プラズマキャノン、ミサイルポッド。エネルギー供給、最適化。」

彼女は、照準システムを起動し、周囲の状況を把握しようとした。メインモニターには、月の軍事基地の内部構造が透視図のように表示され、敵兵の配置や防御システムの状況がリアルタイムで更新されていく。

「照準システム起動。敵性目標、自動識別。防御システム、解析。」

ミレアは、スリーテンの姿勢制御システムを操作し、機体をゆっくりと浮上させた。彼女の視線は、メインモニターに映し出された敵兵の動きを追い、攻撃のタイミングを見計らっていた。

「姿勢制御。ホバリング状態維持。攻撃目標、ロックオン。」

彼女の指がトリガーボタンに触れた瞬間、スリーテンのプラズマキャノンが轟音と共に火を噴き、京平に向けて閃光が放たれた。




スリーテンの機体が目覚めた瞬間、月面の静寂は完全に破られた。全身の駆動系が作動し、関節部から圧縮ガスが噴き出す。滑らかに装甲が動き、15メートルもの巨体がゆっくりと姿勢を正した。頭部に備えられた光学センサーが紅く光り、京平を捉える。


京平は反射的に『神の槍』を大きな平面に形成した。

傾斜を持つ坂を自身の目の前に出現させることで向かってくるキャノンを上方向へ反射した。

それにより天井に穴が空き、空気が漏れ出ている。



両手を前に突き出すと、彼の周囲に黄金色の輝きが発生する。瞬く間に、高さ3メートルほどの円錐状のエネルギー体が無数に形成された。それらは一瞬の静止の後、一斉にスリーテンへと襲いかかる。黄金の槍が群れをなし、まるで蜂の大群のように鋼の巨兵を包囲する。


だが、スリーテンは微動だにしない。


京平の攻撃が直撃する刹那、機体の装甲表面が発光し、槍が突き刺さるたびに、衝突点から眩い火花が飛び散る。しかし、いくら撃ち込んでも、その表面は傷一つ付かず、槍は次々と光の粒子となって霧散していく。


「っ……やっぱり、簡単にはいかないか。」


京平が舌打ちした瞬間、スリーテンの胸部装甲がスライドし、内部から砲門が露出する。



京平が防御のために動こうとした、その一瞬の間に、砲口が強烈な光を放つ。圧縮されたプラズマが収束され、次の瞬間には超高温の砲撃が一直線に放たれた。

京平は即座に『神の槍』を前方に展開し、幾何学的な盾を形成する。キャノンのエネルギーは『神の槍』で形成された盾に何度か反射され、起動を変えた。高温のプラズマが弾かれ、スリーテンに向かって跳ね返る。


しかし、スリーテンは一歩も動かず、反射された砲撃に対し即座にもう一発のキャノンを放つ。


二つのエネルギー弾が空中で激突した瞬間、圧縮されたエネルギーが暴発し、太陽のように眩い光球が発生する。数秒後、その光球は限界を迎え、凄まじい爆発が起こった。


京平は咄嗟に防御壁を形成し、爆風から身を守る。だが、衝撃波の余波で周囲の岩石が粉砕され、砂塵が一気に舞い上がった。




砂塵の向こうから、スリーテンの赤い光がゆっくりと浮かび上がる。爆発の影響で僅かに装甲表面が焦げ付いていたが、依然としてその巨体は堂々とした姿勢を保っている。


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