チート能力で無双します。
ある日突然、異世界へ通じるゲートが開き、触れると特殊能力が得られる結晶が見つかる。
冴えない主人公がゲート内で迷ってしまう。
ひょんなことから最強能力を手に入れ、
主人公は世界征服を目論む!?
授業内容は、現在中央国家が分かっている結晶について教えられた。
「みんなもわかっている通り、結晶は炎の結晶だけではありません。......」
先生によると、この授業で習得する結晶は
炎の結晶
水魔の結晶
(水を発生、操作できる)
渦雷の結晶
(電気を発生、操作できる)
全治の結晶
(傷の回復)
だった。
この内、渦雷の結晶は現実世界ではとても希少な結晶で持っている人は数人だと聞いたことがある。
それに、全治の結晶に関しては現実世界ではまだ発見されていない結晶である。
え!?あと3つも結晶がもらえるのか?
しかも全部手に入れるのが難しい結晶ばかり...
よし!この学園に通っていたらプロのクリスタラーも夢じゃないぞ!
クリスタラーとは、結晶の能力を使って、ゲートの攻略やゲートから出てきたモンスターの討伐をする職業。
その日の授業は、対人戦だった。
これもまた基礎コースと発展コースの合同で行われた。
俺は、発展コースの1人に手合わせの相手を申し込まれた。
「おい、そこの基礎コース!
俺が手合わせしてやる。相手しろ!
ありがたく思えよ。」
たぶん貴族だろう。
完全にナメられている。
「先生!
みんなの見本としてコイツと俺で対人戦をさせてください。」
発展コースの貴族が俺を指差しながら言った。
「ま、まあ見本なら必要ですね...
お願いしましょう。」
先生は、自分の授業プランとは違うことが起こり、納得していない様子だったが、相手が貴族だからか全く反対はしなかった。
俺は発展コースの貴族と向かい合って深呼吸をする。
「で、では、見本として手合わせを始めてください。」
先生がそう言った瞬間、あの貴族が炎を放ってきた。
俺は、両手で顔を覆い、防御の姿勢を取った。
炎を放ってきているため、この姿勢を取ることの意味はないが反射的に気づいたらこうなっていた。
しかし、俺の「守れ!」という気持ちが功を奏したのか六角形の傘のような炎が自分の前に出て盾の役割を果たした。
その時俺は、炎の中に金色に光る小さな粒が無数にあることに気づいた。
炎の結晶だけでなく最高魔力の結晶も同時に発動していた。
最高魔力の結晶は、それ単体の強さだけでなく、他の結晶と併用することで他の結晶の能力を底上げするのだと俺は思った。
俺の前の炎の盾は貴族の放った炎を完全に防いでいる。
貴族が炎を放つのをやめた時、金色の円錐に炎を纏わせ、貴族に飛ばす。
貴族は1度それを避けたが、追尾し、直撃する。
誰も予想していなかった結果にみんなが啞然とする。
貴族は医務室へと運ばれ、授業は再開された。
授業を終え、次の講義室へ行くため、それぞれ移動し始めた。
発展コースの連中からは嫌な視線を向けられたが、基礎コースの仲間たちからは称えられ、より結束力が強まった。
この出来事で、基礎コースと発展コースの溝がさらに深まった。
あれから1ヶ月。
炎の結晶の授業を終え、次の結晶である全治の結晶が配られた。
「先生、なんでこの順番で結晶を配るんですか?」
この前俺に話しかけてきたソリトが聞く。
「炎の結晶は1番操作が簡単だからです。
次に操作が簡単なのは水魔の結晶ですが、最も必要性が高いのが全治の結晶なのでこの順番で結晶を配りました。」
先生が質問に答える。
その日の晩、俺はまた現実世界に帰ることにした。
こちらの世界に夢中になり、現実世界に戻ることを忘れてしまった。
この前買った地図を持って、深夜に寮を抜け出す。
人1人が跨がれるくらいの金色の円錐形を発生させ、それに乗ってあの洞窟まで移動する。
おそらく時速50kmくらいは出ているだろう。
落ちないように気をつけながら円錐形を操る。
洞窟に着くとあの地図を参考に現実世界へと帰った。
現実世界に着くと俺がわざとはぐれたグループがまだいた。
「お前、どこ行ってたんだ?
見ろこれ俺は結晶ゲットできたんだぜ」
そう言いながらそいつは手の上も火を発生させた。
これでやっと分かった。
俺が異世界に行っている間、現実世界の時間は止まっているかとても遅くなる。
逆に俺が現実世界にいる時、異世界は現実世界と同じ時間が経っている。
「よし、6時間くらいしたらまた異世界に帰らなきゃ。」
そう呟きながら俺はクリスタラーになるべく結晶機関と呼ばれるクリスタラーの政府機関へと赴いた。
そこでは、結晶能力の測定、ランクの付与を行っている。
高ランクになると多くのギルドからスカウトされる。
高ランククリスタラーの中には結晶機関に所属する者もいるがほとんどは収入の良い民間ギルドへと行く。
「結晶能力の検査ですか?
それは事前に検査費用と身元確認書類の提出をしなくてはいけませんので、今日すぐには検査できません。」
俺は受付でそう言われる。
「そうですか...」
俺がそう言うと
「民間ギルドに入りたいだけであればギルドに直接頼むという方法があるにはあるのですが...非常識ですね。」
受付が言う。
「分かりました。」
俺はスマホで近くの民間ギルドの場所を調べ、事務所へと向かった。
「ファイヤーギルド...弱小ギルドって書いてあるけど...
ホントにここでいいかな?」
俺は呟きながらファイヤーギルドの事務所に入る。
「能力検査をお願いします!!」
俺は入っていったすぐそう叫んだ。
建物内にいた人たちはこちらを見ながらポカンとしている。
すると奥の方からガタイのいいスキンヘッドの大男が出てきた。
「うちが弱小ギルドと呼ばれてるからってナメてもらっちゃ困るぜ。
お前ごときすぐに潰せるぞ!」
そう言いながらニヤリと笑っている。
こういう奴は煽ればノッてくる。そう思い、
「いやー、俺なら楽勝だと思うけど?」
俺はそう言う。
「なんだと?
こっちに来い!
相手してやる!」
そう言いながら大男は顎で示す。
「望むところ」
と言いながら大男についていく。
「君!怪我しても責任取れないからね!いい?」
審判らしき人が聞いてくる。
「もちろん大丈夫です。」
俺が答える。
「じゃあ、よーいはじめ!!」
審判がそう言った瞬間、俺は炎に最高魔力の結晶を混ぜ込み業火を放つ。
大男は建物の壁を突き抜け、そのまま吹っ飛ぶ。
ファイヤーギルドが大男に寄っていき、
「大丈夫ですか?起きてください!」
と叫んでいる。
大男の腹には10cmほどの穴が空いていた。
倒れている大男の近くにいる奴らはほとんど諦めた様子である。
こちらを睨んでる奴も多い。
俺は大男に歩み寄り、全治の結晶を使ってみる。
すると、大男の腹はすっかり元通りになり、大男の傷は完治した。
ファイヤーギルドの奴らは驚いたまま固まっている様子だ。
「こんな弱いギルドはやっぱりいいや」
そう言いながら俺は去っていく。
今まででは味わえなかった優越感を感じ、人生で最も良い気分になった。
自分の実力を確かめた後、俺はすぐに異世界へと帰った。
関係者のふりをするとあっさりゲートに入ることができた。
それから地図を使い、洞窟を抜け、来たときと同じように金色の円錐形に乗って中央国家まで帰る。
こちらの世界では夜が明けて1時間が経った頃だった。
ファイヤーギルドは最弱ギルドです。
モンスターの死体処理だったり、雑魚モンスターの駆除だったりを行っています。