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月の少女ミレア

ある日突然、異世界へ通じるゲートが開き、触れると特殊能力が得られる結晶が見つかる。

冴えない主人公がゲート内で迷ってしまう。

ひょんなことから最強能力を手に入れ、

主人公は世界征服を目論む!?

私の名前は ミレア・ノクターン。

16歳。生まれも育ちも月。

私は、一度も地球に行ったことがない。

私たちルナ人にとって、地球は遠い星。

でも、私はいつも地球を想っている。







「今日の課題、理解できた?」


放課後、親友の ナユ が私に聞いてきた。

彼女は成績優秀で、宇宙工学を専攻している。


「うーん……正直、難しい」

ミレアが言う。


「ミレアは物理、苦手だもんね」

ナユが言う。


そう。私は物理が苦手だ。

月では、高度な量子力学や反重力制御技術の授業があるけれど、私はどうにも頭に入らない。


「でも、モンスター討伐の授業なら好きでしょ?」

ナユがクスクス笑う。


「そりゃね。だってモンスター、かっこいいじゃん?」




月にもモンスターがいる。

地球から連れてこられた。

最初は勝手に宇宙船に乗ってきたのだが。

でも、科学技術の発展によって、彼らはもはや脅威ではない。


「昔の地球では、剣とか銃でモンスターと戦ってたんでしょ?」

「そうだよ。今じゃ考えられないけどね」


今では、モンスターは完全に管理されている。

危険な個体は遠隔操作のドローンで鎮圧され、

研究用のモンスターは特別な施設で飼育されている。


私たちは、安全な環境で、モンスターを学ぶだけ。

私は、それが少しだけ物足りなく思う。




休み時間。

私は校舎の展望ルームにいた。


目の前には、大きな窓。

そこから見えるのは——青く輝く地球。


「……地球、行ってみたいな」


月の重力は、地球の1/6。

私は地球で、ちゃんと歩けるのだろうか?


「ミレアなら、行けるよ」


ナユが隣に座る。


「でも、地球って……私たちルナ人には住みにくいんでしょ?」

「確かに。空気も違うし、重力もきつい。でも、それでも行きたいんでしょ?」


私は頷いた。


「うん。自分の足で、大地を踏みしめてみたい」





私はまだ、地球に行けない。

両親は「月で十分」と言う。

確かに、ここでの生活は快適だ。

でも、私は知っている。

青い星の上には、私の知らない世界が広がっていることを。


「いつか、地球に行くよ」


私は、そう決意した。









青く輝く地球を見上げながら、私は決意する。

「地球へ行くには、軍に入るしかない…」


軍隊。それは月の最高機関の一つ。

そして、軍の成績優秀者だけが、地球に行くことを許される。

さらに、トップの者には 「人型大型ロボット」 が与えられる。

最近、地球には史上最速でロボットを与えられた者がいるらしい。

そのパイロットは誰なのか、私はまだ知らない。

だが、一つだけわかることがある。


「私も、ロボットを手に入れて、地球へ行く」






「ミレア、本気なの?」

親友の ナユ は、驚いた顔で私を見つめていた。


「うん。軍の試験を受けるよ」

ナユはため息をついた。


「……軍に入るってことは、簡単なことじゃないよ?」

「わかってる。でも、地球に行くにはそれしかない」


「それに……」

私は窓の外を見つめる。


「私も、人型大型ロボットに乗りたいんだ」


軍のエリートには、一人一機、ロボットが与えられる。

それは、地球のモンスター討伐や戦闘に使われるだけでなく、

軍の威信を示す象徴でもある。


「ロボットを持っていれば、自由に地球に行くことができる!!……私は、それが欲しい」


ナユは少し考え込んだ。


「……わかった。じゃあ、私がサポートするよ」

「え?」


「私は宇宙工学を専攻してるでしょ? 軍のロボットの設計データも、ある程度アクセスできるんだ」

ナユはニヤリと笑った。


「私がミレア専用の戦術プランを考えてあげる。軍に入っても、すぐトップを取れるようにね」

私は驚いたが、すぐに笑った。


「ナユ、ありがとう!」









軍の入隊試験は、月の軍事アカデミーで行われる。

筆記試験、身体能力テスト、そしてロボットの操縦適性検査。

私は、モンスター討伐の授業は得意だったが、物理は苦手だった。

でも、筆記試験の対策はナユが手伝ってくれたおかげで、なんとか突破できそうだ。


問題は操縦適性検査 だった。


「ロボットの操縦なんて、やったことない……」


「大丈夫、今から特訓しよう!」


ナユは私を訓練施設に連れて行った。

そこには、軍の練習用シミュレーターがあった。


「これは、軍の正式な機体じゃないけど、基本的な操縦感覚はこれで掴めるはず!」


私はコクピットに乗り込む。

画面が起動し、モンスター討伐ミッションが始まる。


「……すごい……!」

ロボットの視点で見る世界は、まるで別次元のようだった。

私は、戦場に立っている。


「ミレア、まずは歩くことからね!」

ナユの指示に従い、私はロボットを前進させた。


月の重力は軽いが、ロボットはその影響を計算しながら動くようになっている。

バランスを取るのは難しかったが私は、すぐに感覚を掴み始めた。


「いいよ! じゃあ、次は攻撃!」


ロボットの腕に搭載された エネルギーブレード を起動し、

仮想モンスターに向かって振り下ろす。


「……やれる!」

私は確信した。


「私、絶対に軍に入る!」







軍の試験会場には、月の各地から集まった候補生がいた。

私は、全員の顔を見回す。

彼らは皆、地球を目指す者ばかりだ。


「負けられない——」

筆記試験を終え、身体能力テストを突破し、

ついに、操縦適性検査が始まる。


「ミレア・ノクターン、出番だ」

試験官が私の名前を呼ぶ。

私は、練習用のロボットに乗り込んだ。


画面が起動する。


「よし……!」


ミッション開始。

私は、目の前のモンスター型ターゲットに向かって、ロボットを動かした。


足を踏み出し、エネルギーブレードを構える。

ターゲットが動き出す——


「いける!」


私は、ターゲットに向かって突進した。








数日後、試験の結果が発表された。


「ミレア、どうだった?」


ナユが心配そうに聞く。

私は、結果を見つめる。

試験結果の電子掲示板に、私の名前はなかった。


——不合格。


一瞬、目がかすんだ。

信じたくなくて、何度もスクロールする。

でも、何度見ても結果は変わらない。


「……そっか」


思わず、独り言が漏れた。

周りでは合格した候補生たちが歓声を上げている。


私は、手のひらをぎゅっと握りしめた。







その夜、私はナユの家にいた。

彼女は私のために温かいカフェミルクを淹れてくれたけれど、味はよくわからなかった。


「……悔しい?」

ナユがそっと聞いてくる。


「悔しいよ」


当たり前だ。

地球に行きたくて。

ロボットに乗りたくて。

ずっと頑張ってきたのに。


「でも……才能がなかったんだと思う」

そう言うと、ナユは即座に首を横に振った。


「そんなことない。努力してたの、私は知ってるよ」


「でも、結果はダメだったじゃん」


「結果だけがすべてじゃないよ!」


ナユは少し怒ったような顔をした。


「それに、まだ終わりじゃない」


「……どういう意味?」


ナユはカップを置いて、私の目をまっすぐ見つめた。


「来年、もう一度受ければいい」








再受験——

そんなこと、考えもしなかった。

軍隊の入隊試験は、普通一度しか受けないものだ。

落ちたら、ほとんどの人は諦める。


「もう一度……?」


「ミレア、私は知ってるよ。あんたがどれだけ地球に憧れてるか。どれだけ本気かも」


ナユの言葉は、私の胸にまっすぐ届いた。


「本当に地球に行きたいなら、諦めちゃダメだよ」


彼女の手が、そっと私の手に重なる。


私は唇を噛んで、ぐっと目を閉じた。


「……私、もう一度やる」









軍の正式な訓練コースを目指しながら、私はナユの力を借りて秘密の訓練を始めた。

ナユは自分のコネを使い、軍が使っている最新型ロボットの設計データを盗み出してきた。


「こんなの、バレたら停学だよ?」


「私たちの夢を叶えるためなら、停学ぐらい安いもんでしょ?」


ナユは悪戯っぽく笑った。


月の裏側にある廃棄ドーム。

ここに、私たちは自作のシミュレーターを設置した。


「ここで徹底的に練習するの」


私はコクピットに乗り込む。


数値データだけを頼りに、ロボットの動きを身体に叩き込んでいく。

来年の試験では、誰にも負けない。

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