初めての魔法
あれ?これ…漫画であった回想場面?
薄ぼんやりと思い出す。
確かアイリがこれを壊してテオ君が中庭で一人で泣いている話があったような…。主人公が修復魔法で直して元通りになったんだけど。数少ないアイリの登場シーンだ。
私がテオくんの味方になっても、この場面は回避出来なかったようだ。
そこでふと気がつく。
「修復魔法……!!!」
「え?」
「そうよ!確か修復魔法っていうのがあったはずだわ。」
「修復魔法?」
「確か呪文は…リペア。」
手のひらをペンダントに向けて思念を送る。この世界には、魔法が存在するのだ。
緑色の光の玉が辺りにたくさん浮かび、テオ君の手の平にあるペンダントへ集まっていく。そしてペンダントはゆっくりと元の姿へと戻っていった。
「わぁ……」
その光は暖かく、幻想的だった。
光がなくなると、そこにあるのは壊れる前のペンダントそのものだった。
「な、直ってる!!凄い!ありがとうございます!アイリ姉さん!」
良かった…
実は成功するか不安だったんだけど、うまくいったみたいだ…
でも、魔力を結構使ったから
もうクタクタだ。
さすがにこの小さな体でこの魔法を使うのは厳しかったようだ。そのまま眠りについてしまった。
「あ、アイリ姉さん!?しっかりしてください!」
ごめんね、テオくん。多分魔力切れだわ…
「どうしよう…僕のせいで。」
最後に目に映ったのは心配そうに私を覗く彼の顔だった。