絶対に守ります
「あの、どうしてお茶に誘ってくださったんですか?」
「……?」
どうしてって……義弟になったんだし
「親睦会…?」
「しん…ぼく…かい…」
テオくんは暫く言葉の意味が飲み込めていない様子だった。
「そうよ、親睦会!私、あなたと仲良くなりたいの!」
「えぇ…僕なんかと…ですか?」
「ええ、もちろん!」
「…………」
ど、どうしよう!?テオ君また固まっちゃったよ…
待てよ、親睦会って使い方合ってるよね??
「本当に、…アイリさ…姉さんは、気にしないのですね。」
「?」
気にしない…?どう言うこと?もしや私、何か失礼を働いてしまった??
「その、僕は皆の恥さらしだから。」
「!!」
そんなっ…!恥さらし、なんて言われて育ってきたのだろうか…如何にも品のない御貴族様が言いそうな言葉だ。
「テオ君は、恥さらしなんかじゃないよ!!!」
思わず推しを布教するときが如く初対面のテオ君にテオくんの魅力を語りだそうとしている自分に気がつき、はっとなる。
「え?」
「だから、もっと胸を張って生きても良いと思うな。」
「っ……」
な………テオくん?
テオくんは目の前でボロボロと涙を溢している。
あわわわ…!どうしよう!?泣かせちゃった。えっと、えっと…
「っ、ご、ごめんなさい…あれ?な、どうしてだろう。涙が…急、に。」
私はテオ君が一人で抱え込んできたものの大きさを感じとると、居ても立ってもいられなくなって思わず近寄り、優しく抱き締める。
「……っ、///」
「もう大丈夫だよ。」
私は「アイリ」。だけど漫画の世界の「アイリ」じゃない。だからテオ君を、絶対に守るからね。
恐る恐るテオ君の手が私の腰に回る。
「僕、僕…」
うわーん、と泣くまだ幼い彼に私ができることは、彼をただ優しく抱き締めて頭を撫でるくらいしかなかった。