仲良くなりたい!
「お父様、テオくん…コホン、テオドールは?」
その日の夕飯。テオドールの姿は見られなかった。
するとアイリの父親が答えた。
「ああ、テオドールは部屋で食べるから良いんだよ」
「部屋で…?」
「別に気にしなくて良いのよ、アイリ。あんな子がいたって食事が不味くなるだけだから。」
「そんな…」
テオくん、1人で…
せっかく推しが同じ建物内にいるというのに寂しすぎる。
お母様は明らかに嫌っているし、例え無理に食事に誘ったとしても嫌な思いをさせてしまいそうだ。
お父様はなんと言うか、お母様に尻に敷かれるタイプだから…お母様を説得しない限り無理。
お兄様は…お兄様なら、今は学校の寮に入っていて屋敷には居ないけれど私の味方になってくれるはずだ。
あの時のテオくんの暗い表情を思い出す。このままじゃダメだ。何かしなきゃ、変えないと。
(そうだ!まずは、後でお茶でも一緒に飲もう)
頭の中はテオくんの事を考えていて、食事中の会話は全く頭に入ってこなかった。
コンコン
自室のドアがノックされた。
「はい、どうぞ。」
一人のメイドが中に入ってきた。
「お嬢様、食後のお茶をお持ちいたしました。」
「ありがとう。ねぇ、ミリー。」
「はい、お嬢様。」
「テオドールって今何してるかしら。」
「テオドール様ですか?部屋にいらっしゃると思いますが。」
「呼んできてもらえるかしら。一緒にお茶を飲みたいの。」
ミリーは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに微笑んだ。
「かしこまりました。呼んで参ります。あと、茶器セットももう一セット御用意いたしますね。」
「ありがとう。よろしく頼むわ。」