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異世界転生〜神の能力少しだけ使えます〜  作者: ★わくわく★
第4章 テオドール学園編②

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第89話 兄貴


 ルーベンは朝練を毎日欠かさずに行う。

 それは5歳からの習慣になっている。

 今日も朝早く、学園の訓練場で素振りをしていた。


 シュッ!……シュッ!……シュッ!


 基本の型を一通り素振りをするのだが、型も音も実力のある剣士だと分かる。

 

 「ふぅ〜。いい汗をかいた。ん?あの子は?」

 

 いつもはルーベンを含めて朝練をしているのは数人程度なのだが、初めて見る顔の少年が素振りをしている。

 バッジに星が1つ。1年生だと分かった。

 テオドール学園では、バッジの着用が義務付けられている。単純に星の数が学年を表す。

 


 ブンッ…!ブンッ!…ブンッ!


 もう少し腰を据えて、剣を振る角度を若干変えれば良くなるのになと思っていたのだが、練習中に声をかけるのも悪いと思い。その子が素振りを終えるまで待つ事にした。


 (暇だしな…鑑定!!)


 名前   ガスパー•ウッド

 種族   人族 8歳

 状態   ー

 武器   盾(A) E

      剣(D) D

 魔法   火(C) D

 魔力量  74/74

 スキル  なし

 称号   なし


 (ふむ。ふむ。まぁ僕も剣のレベルがカンストしていても、剣の修行は続けているし、意味があるとも思っているけど……勿体無いな。盾のレベルがEってことは、ガスパー君は盾の修行をほとんどしていないのでは?以前のマルク兄さんと一緒かな?)


 「おい。何見てんだ!!邪魔だからどっか行け。」


 (なんか…口調といい、悪ガキみたいな見た目といい、小さい頃のマルク兄さんに見えてきたな。)


 「聞こえてるだろ?こっち見るんじゃねぇよ。」


 「ごめん。ごめん。少し君の素振りが気になって、腰を落として…肩の力を抜いて、それから……。」


 説明している最中に声を上げてきた。

 「うるせぇ。ザコ剣士の癖に教えてんじゃねぇ。剣聖様でも呼んで来るんだな。そうしたら聞いてやるよ。」


 (落ち着け…ルーベン。たかが子供の言うことだ。僕は大人だろ。そうだ…広い心で対応しよう。)

 「そうだね。でも僕の父上は剣豪なんだ。だから型なら教えられると思ってね。」


 「フッ。剣豪?オレは剣聖様を呼んで来いって言ったんだ。剣豪なんてお呼びじゃねぇ。豪の称号なんてコロコロ変わるザコ剣士じゃねぇか。分かったらどっか行け。」


 プチンッと何かが切れた音がした。

 「ルーベン!!」


 誰かが僕を呼んでいる。

 でもこのガキをボコボコのバキバキにして…。


 「ルーベン!!」


 肩を揺さぶられ、我に返る。

 「はっ。僕は一体何をしようと。無意識のうちに、このガキを土に還そうとしていたのか?それよりも、ナタリー?なんでここに?」


  

 「私も朝練しようと来てみたら、丁度ルーベンが見えて、ガスパーを襲おうとする雰囲気だったから止めたのよ。事情は大方想像がつくわ。ガスパーは口が悪いから。同じ剣術科で、誰にでも突っ掛かるの。素直になれって言ってるのに。」


 (なぜかナタリーが来てから、大人しくなったな。もじもじして……ふふふ。僕は気付いてしまった。ガスパーはナタリーの事が好きなんだな。一目惚れってやつか。)

 「ガスパーって言ったな。ちょっと耳を貸せ。ゴニョゴニョゴニョ。」

 

 ルーベンはガスパーにある事を提案した。

 ナタリーは団体戦のメンバーだと言う事。

 それにガスパーもメンバーになってみないかと提案したのだった。そしてナタリーを落とせるとっておきの方法があると。


 それを聞いたガスパーは手を握って頼み込んできた。

 「ルーベンの兄貴と呼ばせて下さい。兄貴!ぜひその方法を教えてもらえないでしょうか。」


 (チョロい奴だ。マルク兄さんよりも……。)

 「どうだ。ナタリー。僕とガスパーは勘違いをしていた。もう仲良しだから大丈夫だぞ。朝練してこい。」


 そう言って、ほぼ無理矢理、ナタリーを朝練に行かせた。

 「それで、兄貴!ナタリーを落とす方法とは?」

 

 「焦るなガスパー。まず話を聞け。いいか…想像しろ……団体戦で1番危険なのは、相手と接近して戦う前衛達だ。ナタリーは知っての通り前衛だ。ナタリーは強い!!それは周知の事実。敵なら強いナタリーを最優先に狙ってくるだろう。周りから攻撃を受け危険なナタリー。そこにガスパーが助けに入ればどうなる?」


 「はっ!!オレが敵をボコボコにして、危険になってるナタリーを助ける……完璧だ。完璧な作戦です。でもオレには、そんな力がありません。……あっ!だから素振り教えてくれようとしていのですね。生意気言って、すみませんでした。」


 『バカやろー!!』

 「ガスパー!!よく聞け!!お前に相手を倒す力はない。剣術を頑張っても底が見えている。」


 「なっ!なんでそれを。兄貴は何でも分かるのですね。」


 「そうだ。ガスパーが盾術の才能を持っている事もな。」


 「なっ!!!!!」


 「そして…ガスパーが盾術をカッコ悪いと思っている。その考えは違うぞ。盾術には盾術のカッコ良さがある。もう1度想像してみろ……ナタリーの元に相手の全身全霊の攻撃が迫る。まずい…避けられない……そこにガスパーが割って入り、軽々と攻撃を受けてナタリーに言うんだ…『安心しろ。防御はオレにまかせろ』と。仲間に傷を1つも負わせる事のない、最強の盾ガスパーの誕生だ。」


 「兄貴!!オレやります。盾なんか地味でカッコ悪いと思ってました。盾術を教えて下さい。」


 「だから焦るな。女の子は余裕のある男の方が好きなんだ。ガスパーに盾術を教えてくれる師匠にも心当たりがある。それは僕の兄、マルク兄さんだ。盾術も剣術も一流でガスパーの力になるだろう。」


 「兄貴の兄貴。大兄貴ですね。」


 (ガスパーはマルク兄さんと上手くやってくれるだろう。なんせお互い単純でバカだからな。これで上手くいったな。7人目のメンバーになってくれそうだ。)


 こうして、ガスパーが7人目のメンバーに決まった。

 マルク兄さんは、大兄貴と呼ばれ、子分が出来たみたいで嬉しそうに教えている。単純で良かった。

 

 将来ガスパーは大楯のガスパーとして名を轟かせるのだが、恋の結果は、また別のお話で。


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