第85話 僕があの伝説の街道整備士です
以前、姉フラン達と行った肉料理が美味しい王都のお店。
「「Dランク昇格おめでとー。」」
今、アモとナタリー、ノア。そして僕の4人でD級昇格祝いの為、ご飯を食べている。
なぜこの様な事態になっているかというと。
冒険者登録をして、初めての休日で、街道整備の依頼を受けたのだ。王都から北に行くと最初にある町、ミールの町。
そこまでの街道整備で金貨100枚、そして30P。
正直言うと…馬車に乗って3時間程で終わってしまう作業だった。でも…それだけで金貨100枚は流石に悪いので、1日かけて最強最良の街道にしてあげたのだ。
もちろん街道は真っ平ら。そして上手い具合に圧縮する事で程良い硬さもあり崩れにくくする。それだけだとドライカまでの街道と変わりないので、細部まで工夫を凝らした。
歩道と車道を分けて作り、街道を広げたり。
雨が降った時の為に水捌けがいい様に石畳の様な街道にしてあげたり。
やっていく内に楽しくなっていき、地層の砂岩を使って街道を少し黄色がかった道にしてみたり。
皆んなは、呆れていたな。
アモなんか、途中から何も言わなくなったし。
そんなこんなで1日かけて街道を整備した。
依頼者のキャンベル男爵も、まさか伝説の街道整備士がこんな小さな子供だとは知らず驚いていたが、完成した街道を見て更に驚き腰を抜かしていた。
依頼完了のサインを貰い、その日に王都へ帰還する。
それを受付の女性に提出したら……
「えっ?それじゃぁ。君が……あの?」
「「「はい。僕が伝説の街道整備士です!!」」」
自信満々に答えた。伝説とか言われたら、気分が良いし。
ノアは目を輝かせている。
女性陣は……なんだその目は。
カッコよくないのか?伝説だぞ?伝説!!
まるで死んだ魚の様な目をしやがって。
そして正式に受理され、金貨100枚と30Pを手に入れたのである。そして2日目の休日で昇格試験と称し、D級冒険者との模擬戦を行った。もちろん全員、勝利して見事にD級冒険者に昇格した訳だ。
それで昇格祝いと称して、美味しいお肉を食べている。
「しかし上手くいったね。あと20PでC級の昇格試験も受けられるし、かなり順調じゃないか。D級に上がったからC級の依頼まで受けられる様になったし。」
ノアがそう言ったが、どこか浮かない表情をしている。
ルーベンも薄々感じていたが、D級の昇格試験ではアモ、ナタリー、ルーベンの3人は冒険者達との模擬戦で圧勝したが、ノアはギリギリ勝利したといった感じだったからだ。
8歳でD級冒険者に勝つ事は凄い。普通あり得ない事だ。
でも3人との差がありすぎて焦ってるのかもしれない。
そもそもスタートが違うのだ。気にしなくてもノアは強くなるのに…女性陣が居ると話しづらいかもしれない、今度2人で話してみようと思うルーベンであった。
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とある町の領主。
「何?伝説の街道整備士が見つかった?すぐに連絡をとれ。そして依頼を出すぞ。お金??金貨200枚出す。それで依頼を出せ。急がねば取り合いになるぞ。」
違う町の領主。
「ついに見つかったか……おそらく他と取り合いになる。うちは商人の行き来が多い。金貨300枚を出そう。急ぎ依頼を。」
大金持ちの領主。
「いいか?次は我が町の街道を整備して貰う。金貨500枚出すぞ。何?高いだと!バカを言え!!あの道は馬にも負担が少ない。更には道が崩れないのだぞ。毎年、街道の整備をしてみろ、長く見れば安くすむ。急ぎ依頼を出せ。」
王都公爵邸。
「伝説の街道整備士が子供?しかも今年の新入生だと?それにミールの町までの街道は見たことがない最高の道だったか……財務卿を呼べ。それに国王様にも伝えねば。」
ルーベン達の知らない所で動き出す。
伝説の街道整備士を巡り、国王までも……。