第84話 Eランク
アーサー様との話し合いも終わり、何かあれば王国騎士団の助けを貰う事も出来た。王都に来てから1番の成果と言ってもいい。
そして次の日、ノアを新しい仲間に加えたいと、アモとナタリーに事情を説明すると、2人とも問題ないと言ってくれたのでノアが新しく仲間に加わる事となる。
弟ニアの置かれている現状も伝えて、スキル(運命操作)の詳細も説明する。
ノアも思う事があるのだろう。拳を握り締めながら話を聞いていた。
これで新たにやる事が増えた。まずは弟ニアの救出。
そしてノアの父と母を殺した犯人を倒す事。
情報は少ないけど、おそらく暗殺や偵察に長けた魔族なのだろう。実力者と判断し、これから戦う可能性も高い。
他にも今までの事を詳しくノアには説明して、まずは力をつける為に、空いた時間は一緒に鍛錬する事になった。
そして授業が終わり、その日の放課後。
やらなきゃいけない事がある。
そう…冒険者の登録だ。問題なく戦場に行く為には、早く上位の冒険者に上がらなくてはならない。
王都の南地区に冒険者ギルドがある。
そこに登録する為にやって来た。
「へぇ〜大きい建物だね。それにドライカの騎士団みたいに訓練場みたいな場所もある。」
そう言ったのはアモ。
確かに大きな建物の隣に併設されている。
建物は木造建築だが、それより中から圧倒的なパワーを感じる。実力のある冒険者達が建物の中に居るのだろう。
緊張しながらも4人で冒険者ギルドに入っていく。
入って来たルーベン達を一瞬見る冒険者達。
普通なら子供が来る所ではないが、テオドール学園の生徒達は冒険者登録が出来るのは周知の事実。
その為、何事もなくカウンターに並ぶ事が出来た。
ルーベン達の番になる。
受付の女性が、聞くまでもなく登録用紙を手渡して来る。
それに必要事項を記入して無事、登録が完了。
正直、呆気なく終わってしまった。
それからギルドの簡単な説明。
壁に貼り出された、自身のランクに見合った依頼の受注。
常時発行してある魔物の討伐依頼。
素材の買取所。訓練場の使用。
説明が終わり自分達の冒険者カードが渡される。
名前とEランク冒険者と書かれたカード。
ランクはE•D•C•B•Aの順。
目標はAランクの冒険者だが、最低でもBランクを目指す。ランクを上げるのには、依頼を達成し、依頼ごとのポイントを溜めて、規定のポイントになったら昇格試験を受けられる。
試験の内容は、自身の1つ上のランクの冒険者と模擬戦をして勝つか、それ相応の実力を示せれば晴れて昇格出来る。
•Dランク 20P
•Cランク 50P
•Bランク 100P
•Aランク 200P
そして、そのまま貼り出されてある依頼を一通り目を通した。受けられるのは、自身のランクの1のつ上の依頼まで、つまりはDランクまでの依頼だ。
Eランクの依頼は簡単なものばかり、ポイントを貰える依頼が殆どない。
それならばDランクの依頼なのだが……。
•■■村、コボルトの牙…5本
報酬 金貨1枚 1P
•■■商会、護衛依頼…約8日間 飯付き 人数2〜4
報酬 金貨10枚 1P
•■■男爵、中級ポーションの材料10個分
報酬 金貨3枚 2P
•■■食堂、新鮮なオーク肉
報酬 金貨1枚 銀貨7枚
•■■洞窟、洞窟内の調査並び鉱物の採取
報酬 金貨2枚 1P
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「どれも問題なくこなせるが、移動時間がかかるな。学園の休みは週2日間。依頼を達成出来ても2〜3件か……。昇格するのに時間かかるなぁ。効率良くやっていくしかないか……ん?この依頼は?」
そこで目にしたのは、他の依頼書に重なり見にくくなっていた依頼書。内容は…どれどれ。
•キャンベル男爵、王都北側の街道整備…ミールの町まで
噂に聞く伝説の街道整備士の方。
王都から見て南側だけでなく、北側もお願いしたい。
どうかどうか、我が領地にもあの素晴らしい道を。
報酬は下記に…足らないと思うが…領民の為に。
報酬 金貨100枚 30P
伝説の街道整備士?王都から見て南側ってドライカの街の方角だよな。
そう考えていると、1人の冒険者が声をかけてきた。
「坊主、その依頼は個人依頼みたいなもんだ。だから、どのランクだろうが受けられる。坊主が伝説の街道整備士ならな。ガハハハっ。ドライカの方面は通った事あるか?あの街道は凄い、真っ平らだし、雨が降っても、馬車で通っても崩れない。数日間の内に整備したみたいだが、誰がやったのか分からねぇから、指名依頼も出せず、そこに貼られたままなんだ。それじゃぁな。」
そう言って、手を振りながら冒険者はどこかに行ってしまった。
アモとナタリーが同時に声を上げる。
「「「ここにいた!!伝説の街道整備士!!」」」
「ん?僕?」
こうして初の依頼が決まった。
街道整備と言っても、ただ馬車に乗って移動するだけで金貨100枚…そして30P。
まさか…そんな騒ぎになっていたとは……。
ルーベンは父の顔を思い浮かべていた。