第83話 英雄
ルーベンは剣聖アーサー•ヒルの前で跪く。
この部屋の中に4人居る。
•王国騎士第1部隊隊長 剣聖アーサー•ヒル
•王国騎士第1部隊副隊長 剣豪ディラン•カーター
•テオドール学園校長
兼魔法研究員 水王ウィリアム•ウォーカー
そしてルーベンの4名。
王国でも実力者が集まるこの場を用意してくれたのは、ウィリアム校長だ。ルーベンがこれまでの経緯をすべて話す事で、看過できないと判断したウィリアムが急ぎ準備をしてくれた。
ルーベンは国の英雄と呼ばれるアーサーに話を聞いて貰えるとは思っていなかったので、聞いた時は驚いた。
場所は王城近くの王国騎士団の施設。
そこのアーサー•ヒルの隊長部屋に案内された。
そしてルーベンは包み隠さず、知っているすべての情報を剣聖アーサー•ヒルに話をした。
とりあえずは話をすべて聞いてくれる。
それでも魔族が動いている証拠はない。信じて貰えるか不安になる。
だから、ある物をアーサーに手渡した。
包みを取ると、そこには黄金に輝く鉱物。
そう『オリハルコン』だ。
「これがディアマンテ鉱山での戦いで得た『オリハルコン』です。魔族が動いている証拠にはなりませんが、これを差し上げます。これでどうにか国軍も本格的に魔族に備えて貰えるように進言してもらえませんか?お願いします。」
それを見て驚く一同。
しかしアーサーは首を振る。
やっぱりダメだったか。と項垂れる。
やはり子供の言ってる荒唐無稽な話としか思ってくれないのだろう。どうにかして他の案を考えていた矢先。
『君達が倒したんだ、オリハルコンはルーベン君が使いたまえ。そして国の危機を教えてくれて感謝する。君の父、ロキは私の元部下でね。以前に個人で報告は受けていたのだよ。確かに証拠はないが、ロキが嘘を付くはずがないからね。』
それから、アスタリア王国の上層部は魔族が戦争を起こそうとしているのは懐疑的である事。
アーサー様は、父ロキの報告を信じているが、軍は動かせず、軍の強化に力を入れていたらしい。
そして今後の話になる。
「しかし魔物操作の魔道具は聞いていたが、魔物化に運命操作のスキル持ちの誘拐か……。疑問に思っていた事があるのだが、ルーベン君はなぜ運命操作の内容が分かったんだい?国の書物にも書いていないような内容を。」
アーサー様の一言で空気が変わる。
でも…嘘をついたら分かるだろう。
それでも神様の事や神様の力は話せない。
信用はしているが、どこから漏れるか分からないから…そしたら確実にキリトに狙われて、ゼノ様の封印が解かれ、世界が終わってしまうから。
それならば……。
「僕は調べたい者の適正、スキルなどを闇魔法で見る事が出来ます。更に少しだけなら詳細も…それで運命操作を知る事が出来ました。」
(少しだけ嘘をつこう。成長すれば詳細も分かる様になるはずだから。)
そこで今まで一言も発する事がなかった、副隊長のディラン•カーターが声を上げる。
「それなら証明してみよ。私を調べて貰って構わない。」
そう言われたので、鑑定を使用した。
名前 ディラン•カーター
種族 人族 36歳
状態 ー
武器 剣(A) A
拳(C) C
魔法 風(C) C
魔力量 65/65
スキル 会心 剣術(大) 危機感知
称号 剣豪
そして、鑑定した結果をそのままディランに説明する。
適正、魔力量、スキルのすべてを言い当てたので皆んな信じてくれたみたいだ。
「すまなかったな。知られたくない能力だったのに…これは秘密にする事を約束する。もちろん皆もだ。そして、これにより運命操作の詳細も事実だと分かった。その上で話すが、ニア君が操られていて、あと2回か3回程は魔族にとって良い方向に運命を進める事が出来るのだな?」
「そうですね。でも…あくまで使用出来る者は1人ですから、『魔族が戦争に勝つ』とか、そう言った運命は操作出来ません。例えば…個人間の戦闘や個人で何か欲しい物など、そういった個人での運命操作のはずです。………それでも恐ろしいスキルですが。」
「そうだな。例えばなんだが…私と子供が本気で戦う場合、運命操作を発動したらどうなる?」
「う〜ん。それは…いくらなんでも実力差がありすぎて運命を良い方向に向けても、勝つのは無理かと…良くてアーサー様から逃げられるか、見逃される、その辺りが最高の運命になるのではないでしょうか。アーサー様が言う通り、運命操作は分からない部分が多すぎます。それでも発動中は見える位置には居るでしょうから、ニア君を救出した方が良いかもしれませんね。」
それからも皆んなで話を交わす。
主に決まった事は3つ。
1つ目は、魔物操作の魔道具及び魔物化する種の回収。
これはウィリアム校長が言った事。
ウィリアム校長は魔法は勿論、魔道具の研究もしていて、国の中でも詳しい。サンプルがあれば妨害出来るかもしれないと言ってくれたからだ。
2つ目は、ガンダリアン魔国領の偵察。
もちろん、軍を動かす事は出来ないので、少数精鋭で偵察を得意とする者で行う。そこで何か掴めれば国で動く事も出来る様になるかもしれない。これにはアーサー様の知り合いが動いてくれるらしく、心配するなと言われた。
3つ目は、ルーベン達のこれからの事。
まずはこれからも独自に動いていいと許可を貰えた。危険がない範囲でだが。
そしてルーベンの他にアモとナタリーでチームを組んでいるのは伝えている。ノアを仲間に加えるか迷っている事も。
アーサー様は子供に戦闘参加は、させたくない様子。
それでも戦争を止める為に戦場に行くのならA級冒険者になれと言われた。元々そのつもりだったので問題はない。
そして、あの人に言われた期間まで2年を切っている。
急いで冒険者のレベルを上げて、自分達も強くならなくてはならない。
そして『オリハルコン』だ。
加工依頼を早く出した方がいいと言われた。
大賢者テオドール様の武器にも用いられていたとされる伝説の鉱物。
これを加工出来る鍛治師は限られてくる。それに完成するまで、どのくらいの時間がかかるか分からないからだ。
そこでアーサー様の剣を打った鍛治師を紹介して貰う事になった。何から何まで感謝しかない。
ひとまずは、こんな所だ。
それに今後も何かがあればアーサー様の所へ直接来ていいと了解を得た。そして王国騎士団第1部隊をすぐに動ける様にしてくれると言ってくれた。
こうしてアスタリア王国の英雄と呼ばれる剣聖アーサー•ヒルと直接繋がりを持つ事になった。
もちろん鑑定は1番にしていたよ。
名前 アーサー•ヒル
種族 人族 44歳
状態 ー
武器 剣(S) S
盾(B) B
魔法 火(C) C
土(C) C
魔力量 172/172
スキル 剣気解放 重力剣
剣術(大) 魔術(中)
称号 剣聖
(流石、元剣王…強すぎる。)




