第82話 今代の
ノアの話を聞いたの夜。
ルーベンは神様達に連絡をとる。
ディアマンテ鉱山での戦いの報告をしたばかりだったので、何事かと驚いていたが、説明をした。
話を聞いたゼノ様が、まずは声を上げる。
「学園のクラスメイトにも魔族によって不幸にさせられた子がおるとはの。悲しい事じゃ。…話は変わるが、アナは『運命操作』のスキルの詳細は分かるかの?」
そう言われアナ様が答える。
ルーベンも気になっていた、魔族が攫ってまで欲しかったスキルの詳細。
「そうね。『運命操作』は、自身の運命、そして関係のある他者の運命の『方向』を操作するスキルよ。フロムの世界でも運命操作のスキルを持つ者は、歴代でも数人程度。そして扱えるまでに至った者は1人もいないわ☆」
ルーベンも名前から予想はしていた。しかしここで1つの疑問が思い浮かぶ。
「運命の方向?抽象的ですね。」
「そうね。まず運命を何か考えて見て。運命とは人の意思や想いをこえて人に幸・不幸を与える力を意味するの。それのどちらかに方向を傾けると言った方が分かりやすいかしら。今回の話を聞く限り弟のニア君は、危機感知で危険が分かり、無意識のうちに兄ノア君に運命操作のスキルを発動していたわね。運命は何十何百何千通りもある。その中で兄ノア君の運命を良い方向に操作したのではないかしら。あくまでも勘だけど☆」
「そうなんですね。それでも幸、不幸を選べるのなら、今までのスキルの中でも、かなり有能なスキルですね。」
「そう…スキルの内容はね。…とても強力なスキルよ…分かってるとは思うけど発動条件も厳しいわ。まず運命を操作出来るのは、1人だけ。そして良い方向や悪い方向に傾ける時は魔力の他に、自分の生命力…つまりは自身の『寿命』を代価として発動するわ。運命の方向だけでも選べるのだから、仕方ないわね。人が操作出来る範囲をこえている。おそらくだけど……ニア君が運命操作のスキルを使えても残り2回か3回が限度かと思うわ。魔族は運命操作のスキルを知っていたのね…だから攫って、自分達の良い様に使い潰すつもりだわ……☆」
「……魔物を操作する魔道具、魔物化する種、それに運命操作。……まずいですね。こちらからも動かないと、僕達だけでは限界がある。」
それからも遅くまで話し合う。
そして、急ぎある人物に協力を得られるよう動いたのだった。
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アスタリア王国
王国騎士団 第1部隊
第1部隊は。王国騎士団の中でも実力者しか入隊出来ないエリート部隊。
その部隊長を長年務めるのは、『剣聖アーサー•ヒル』。
数々の国の危機を自身の剣で解決してきた、国の英雄。
少し話を変えよう。
今代の『剣王』は誰だか分かってはいない。
しかし1代前の剣王がアーサー•ヒルなのだ。
剣聖の称号になっても、剣の実力が下がった訳ではない。むしろ今は剣王だった頃よりも上がっている様にも見える。
アーサーは剣聖に落ちた時に、ある言葉を残した。
『これだから剣の道は面白いと。』
アーサーは落ちた事の悔しさよりも、楽しさの方が強かった。もう一度高みを目指せると。
剣聖に落ちた事は、周りの人達の方が納得出来なかったみたいだ。
しかし…それなら誰が剣王になったのか。
アスタリア王国には、剣豪、剣聖の実力者は把握している。それならベルンド帝国かガンダリアン魔国領か…注目が集まるのだが、どの国も剣王が現れたと宣言していない。
それが続き10年。今だに剣王が誰か分からないままだ。
なぜ今、この話をしているかと言うと。
ルーベンは今…
国の英雄。『剣聖アーサー•ヒル』の前で跪いていた。
「話を聞いて貰える場を用意して頂き、ありがとうございます。」




