第73話 三つ巴の戦い1
三つ巴の戦いが始まった。
目標は、まずゾーイを倒し、次にゴールドロックドラゴンの討伐する事。
向かい合っていたが、最初に動いたのはゴールドロックドラゴン。ゾーイに向かって長い尻尾を叩きつけた。
その隙にナタリーは自身のスキルを発動する。
「歯車拳•ファースト!!」
純黒の拳にオーラを纏う。
尻尾が地面に叩きつけられた。
ドゴォーン!
それだけで、もの凄い衝撃。
ゾーイは鞭を伸ばし岩山に巻き付け、鞭を縮める事で移動して攻撃を避ける。
2人でやり合ってくれるのは好都合とアモがゾーイに向けて矢を連射する。ヤドリギの弓による攻撃だが、闇纏による能力の向上と自身のスキル、弓術(中)も発動した全力の攻撃。矢の速度、威力も今までとは比にならない。
ゾーイの着地地点を狙ったこれ以上にない攻撃だが、水魔法を使って防御する。
「水盾!!」
流石、水聖の称号持ち。魔法の発動時間も早い。
ゾーイの目の前に現れた水盾は、3本のヤドリギの矢を貫通させる事なく防御した。
(行け!!初見殺し!!)
しかし、ここからがヤドリギの矢の真骨頂。
先端から木々が生え、ゾーイを襲う。
「なっ!?水鞭!!」
自身の青い長い髪から水の鞭を出現させ。
襲ってくる木の数と同じ数、水の鞭で防御。
ギリギリギリ!!
拮抗しているが、間に合わず何ヵ所か木が刺さり血が少し流れる。
しかし浅い…おそらく皮1枚で防御したのだろう。
一連の攻防で恐るべき点は魔法発動の速さと判断力。
完璧とはいかないが、初見殺しを防御したのはゾーイが初めて。
ルーベンもただ見ていた訳ではない。
ある魔法を放つ準備をしていた。
「黒炎の槍!!×2!!」
高速回転させた黒炎を纏った槍をゾーイに発射する。
キュイーーーン!!
(さぁ…どう動く?)
「ちっ!やるじゃない。……スキル発動。魔力暴走!!」
ゾーイは自身のスキル魔力暴走を使用。
その瞬間、魔力が膨れ上がる感じがした。
同時に周りの木々も水鞭で吹き飛ばす。
ルーベンは観察する。魔術(大)はゴールドロックドラゴンとの戦いで既に使用していたのは確認済み。
それならば魔力暴走とは?
もの凄い威力の黒炎の槍が飛んでいくが、それをゾーイは避けることもせず正面から向かい合う。
「水槍×2!!」
一瞬で形成した水槍を黒炎の槍に向け放つ。
水盾や水鞭よりも発動時間が短い。
しかし、それだけではない…2つ同時にぶつかり黒炎の槍と水槍は相殺した。
驚いた事に威力は互角。
それもあの一瞬で作り出す。
これでルーベンは魔力暴走の詳細は
魔法の威力の大幅増加。発動時間の大幅短縮。
及び魔力量の回復だと判断。
鑑定を使い。ゾーイの魔力残量は100を切っていたが、スキル発動後、全回復したのだ。
しかし、これだけ強いスキルには反動が必ずある。
早い段階で使わせて良かったと前向きに考える。
実際、息も上がって辛そうだ。
でも…僕達の攻撃はこれで終わりじゃない。
ナタリーが懐に入る。
そしてゾーイの横っ腹に拳を叩き込んだ。
ドンッ!
ゾーイは吹き飛ばされる。だがルーベンには見えていた…当たる直前に水盾でガードした事に、それでも今のナタリーの拳の威力はすべては防げまい。
そのまま岩山に激突し……。
「アハハッ。ハァハァ。お姉さんは人気者ねぇ。私にキズを負わせたこと後悔させてやる!!」
そう言ったゾーイだが……。
「「「ゴガァーーー!!」」」
どうやらゾーイじゃなく
ゴールドロックドラゴンの方が先に向かって来そうだ。
標的が変わったな。
「皆、気をつけろ!!避ける事だけ考えろ!!」
状況が刻一刻変わる。
ひとつでも判断を間違えたら、負けてしまう。
その重圧を撥ね除け、倒す事が出来るのか………。