第71話 動揺
ゴーレムを難なく倒し、今はロックドラゴンと戦っている。大きさは5メートルと巨大。
ドラゴンと名前にあるが、首は短く、翼もない。
その体全体を使って攻撃をしてくる。
怖いのは突進攻撃と尻尾だろう。
その質量で潰されでもしたら終わりだ。
名前 ー
種族 ロックドラゴン
状態 ー
武器 ー
魔法 土(C) C
魔力量 73/73
スキル 硬化
称号 なし
能力はゴーレムの少し上位互換。
スキルも同じ。
ゴーレムの倒し方と同じように、耐えられなくなりヒビが入った箇所から攻撃を加えていき遂に倒す事が出来た。
「ゴーレムよりは苦労したけど、倒せる相手ね。ゴーレムは中級で、ロックドラゴンは上級なのよね?」
アモが聞いてくる。
「そうだね。個体によって違うだろうけど、やっぱりこれだけ大きいと、その分厄介だからね。中級の中位から上級の下位って所じゃないかな。少し上級は言い過ぎかもしれないね。」
ルーベンはそう答えるが、ナタリーは倒れたロックドラゴンから採れる素材はないか探しているみたいだ。
「ナタリー。言い忘れていたけど、ゴーレムやロックドラゴンには採れる素材はないんだよ。んー正確に言うと、岩のような硬い外皮は素材になるけど、下層でも同じような鉱物が採れるからね。だから危険を犯してまで上層に来る冒険者はいないんだ。」
ナタリーは、がっくりと項垂れている。
「ただ『メタルロックドラゴン』は違うよ。言ったと思うけどツノが目当てだからね。」
「気にはなっていたが、ツノは何の鉱物なんだ?」
「う〜ん。それは個体によって違う。説明するけど、ディアマンテ鉱山の魔物の多くは魔素を含んだ鉱物を好んで食べている。その中でもメタルロックドラゴンは食べた鉱物を体内で分解してエネルギーにすると同時に自身のツノにも溜めている。だからダイヤモンドの様なツノ。金の様なツノ。個体によって様々な鉱物になっている。もちろん古くから生き残っているメタルロックドラゴンの方が大きくて珍しいツノになっている可能性は高いよね。」
アモはキラキラした目になっている。
早く行きたそうだな。
「それで鍛錬も出来て、お金にもなるって言ったのはそんな理由があったのだな。でもそれなら上級の冒険者が来てもいいだろうに。誰もいないぞ。」
ナタリーは冷静だ。
「簡単な話だよ。メタルロックドラゴンは単純に強いからね。調べた通りなら上級魔物の中でも防御力は上位だろうし、上級の冒険者でも攻撃が通らないからだと思うよ。だから人がいないんだ。それにメタルロックドラゴンに行き着く前に魔力切れになってるのもあるだろうけど。」
「あぁ。確かに。やはりルーベンの魔力量は規格外だな。」
そこでアモが声を上げる。
「よーし。それじゃ行きましょう。どんなツノがあるのか楽しみね。私達で狩り尽くしてやる。」
そう言って頂上を目指す。
しかしおかしいな。
ロックドラゴンもゴーレムの数も聞いていたより少ない気がする。
「ルーベン!アモ!来て!!これロックドラゴンよね?」
ナタリーに少し範囲を広げ探索をして貰っていた。
何か発見したようだ。
「これは……。」
ルーベン達が登っていた所から見えない位置にいたロックドラゴンの死体を何体も発見する。
魔力感知にもひっかからない訳だ。
それにロックドラゴンと言っても遠くから見たら、ただの岩にしか見えない。それもあってか発見に遅れてしまった。
ロックドラゴンの死体を観察する。
「外皮の岩には、剣や槍でつけたキズが多数あるが、どれも岩の表面を少し削った程度。それに…これは水か?体の内部から破壊されているな。剣術や槍術は大した事ないが魔法に優れた者がいる。冒険者のパーティの可能性があるな。これからは更に注意して進むぞ!!これをやったのがどんなやつかわからないからな。」
それからは更に慎重に進んだ。
そして直ぐに衝撃的な光景を目にした。
4人の冒険者の死体を発見。
「アモ!ナタリー!見るな。」
ルーベンは止めるが、アモとナタリーは現実に立ち向かった。アモは病院で死体なら見てきたから平気だと言って、ナタリーは冒険者には、このような事態があるのは知っているから遺品だけ残して、ここに埋めてあげようと提案する。
ルーベンが思っていたより2人は強かった。
1番動揺していたのはルーベンかもしれない。
そして冷静になって観察する。
おかしな点があったが、名前の分かりそうな物を取り、ルーベンが土魔法で埋めてあげて、簡単な墓を作った。
「2人共すまない。動揺していた。嫌だと思うが、現状の確認をする……遺品から、この4名は同じパーティーの冒険者だと判明。死因は切り傷、刺し傷など…上層にいる魔物の攻撃によるものではない。4名とも武器を抜いていて、武器に血がついている事から仲間割れか、他の誰かと戦闘になったと判断するが。2人はどう思う?」
「私は仲間割れで殺し合いをしたなんて信じたくないわ。第3者に殺された方だと思う。」
「私も同じだ。」
「そうだよな…。予定よりもかなり危険度が増した。でも…僕は、こんな事をしたやつを絶対に許さない。まだ会ってないという事は頂上に進めば必ず出くわす。2人とも僕に手を貸してくれないか?」
「「「当たり前!!」」」
「ありがとう。2人が仲間で本当に良かった。」
最悪、魔族が居ようとも
必ず倒してみせる。
そう心に決めて頂上へと登って行く。