第6話 鑑定の儀1
朝ごはんを食べ終えて、父と母と一緒に鑑定の儀の会場に向かっていた。
「ルーベン着いたぞ。ここが話していた。ドライカの街の教会だ。ここで鑑定の儀が執り行われる。」
そう言ったのは父ロキだ。
一歩入ると…とても神秘的な場所だと感じた。
初めて見る建築様式。感動していると、中心に象がある。
(あれは?まさか)
「あの美しく聡明な姿がこの世界の神様。アナ様よ。ルーベン。」
「母上。」
(やっぱり、声だけしか分からなかったがアナ様はあんなにも美しい姿なのか。まぁ実際に見たことはないだろうから、間違ってるかもしれないけどね。)
「お集まりの皆さま。鑑定の儀を受けるお子様はこちらです。こちらに集まって下さい。」
教会の服を着た人が子供達を集めていた。
「ルーベン。行ってきなさい。鑑定の儀といっても水晶に手をかざすだけだ。どんな適正だろうがルーベンはルーベンだからな。」
「そうよ。行ってきなさい。どうかルーベンにアナ様の加護がありますように。」
「はい。行って参ります。父上母上。」
(もう適正は分かっているんだけどね。)
ざっと100人いるかいないかぐらいかな。
近くの村などからも鑑定の儀の為にドライカの街に来ているというので、こっちに転生してから、こんなにも人がいる所は初めてだな。
まだ呼ばれるまで時間がありそうだな。暇だし、それなら……(鑑定!!)
1人1人鑑定していると、面白そうな適正持ちは何人かいた。でもAランク以上の適正持ちは………うん。いないな。
やっぱり父上は凄かったのか。
すると1人の女の子に目が止まる。
ん?あの女の子…凄くないか?
名前 アモ•レーベン
種族 人族 5歳
武器 弓(A) E
魔法 火(C) E
風(C) E
光(S) E
魔力量 280/280
スキル なし
称号 なし
うん。凄いな。初めて光属性の適正持ちだ。魔力量も今まで鑑定した中で1番高い。それに魔法に目が行きがちだが弓のAも凄い。理想的な後方支援型だな。
「なに、さっきからジロジロ見てるのよ。」
(やべ。見すぎたか。それなら)
「はじめまして。僕はルーベン•アートルドと言います。街では見ない顔だったので。ついその美しく可愛い顔に見惚れていました。すみません。」
「なっ!いきなり!なに?そんなことまで聞いてないわよ。」
顔を真っ赤にしながら、反対側に行ってしまった。
(うん…対応間違えたな。つい父上が母上に言いそうな事を、言ってしまった。僕も父上の子供ということか。)
そんなこんなで、鑑定の儀が進む。
「次!!エナ村のアモ•レーベン。」
(おっ!あの子だ。これはみんな驚くだろうな。)
水晶に映し出される。
名前 アモ•レーベン
種族 人族 5歳
武器 弓(A) E
魔法 火(C) E
風(C) E
光(S) E
魔力量 280/280
スキル なし
称号 なし
「これは…凄い。」
「見ろ。光属性の適正が……しかもS」
「魔力量も凄いぞ。王国騎士の魔法部隊ぐらいだぞ。200越えなんて」
「弓の適正も高いわね。」
ガヤガヤ……やはり凄い注目されたな。本人も驚いているし。
「お静かに。お静かにお願いします。君はこの後、部屋で待つように。」
「分かりました。」
何人か適正が高い人は、部屋に通されているんだよね。若い内に囲っとこうってか。まぁそうするよな。
「次、ドライカ街のルーベン•アートルド。」
「呼ばれたか。はい!!」
少し周りがザワザワし始める。
「おい。アートルドってドライカ騎士団隊長ロキ様のご子息では?」
「そうだわ。剣豪ロキ様のお子様よ。」
「兄弟も剣術の適正が高かったと聞くしきっと…」
「将来有望株ね。」
(うん……思っていたより父は有名だったと。それはそうか。すいません父上。侮っていました。)
「では。この水晶に手を置いて下さい。」
「はい。」
水晶に手をかざした。
何度も見てたから、少し光って解析が映し出されるんだよね。
ピカー!!
輝きが他の人より眩しいな。
名前 ルーベン•アートルド
種族 人族 5歳
武器 剣(C) E
弓(C) E
魔法 土(A) C
闇(S) E
魔力量 950/100
スキル 魔術(小)
称号 なし
(良かった。魔力量は100の表示だ。これなら大丈夫だよね。)
「これも凄いの。土がAのC、しかも闇がSもあるぞ」
「闇属性の適正者を初めて見たわ。」
「魔法使いにしては、魔力量が100と少し低い気がするがの…」
「この歳でスキルがあるのも凄いが、ん?魔力の残量が……魔力量よりも高い?」
ザワザワ
「そんな事あるはずないじゃろ。」
ザワザワ
「良く見てみろって。ほら。」
ガヤガヤ。
ん?なにかまずいことでも……魔力残量?あっ!…さっき鑑定使いまくって魔力使ってたんだった。やばい………どうする?考えろ、考えろ。
※補足※
鑑定1回使用で50の魔力を使用します。神の力なので魔力をけっこう使いますね。この時ルーベンの魔力残量は、46950/50100。つまりこの時点で63回ほど鑑定を使用してました。この時ルーベンは焦っていた為気が付きませんでしたが、あと17回ほど鑑定を使えば水晶の表示を100/100に出来ました。
ガヤガヤ。
「お静かに!皆さまお静かにお願いします。」
(こんなことは初めてだな。故障だとしたら一大事だ。)
「ルーベン君と言ったね。もう1度水晶に手をかざしてみてくれるかな?」
「あっ。はい。」
ピカー!
さっきと変わらない数値が映し出された。
(まずい。まずい。)
アナ様助けて下さい。
ルーベンはかなり焦っていた。
その頃神界では……
「アナ様!いいですね。サボったらその分だけあとに皺寄せが来るのですよ?」
「あれから休みなしで……少しでいいから休ませて…⭐︎」
ドン!!
「ダメです。これと……これもですね。陳情書が溜まっています。」
「嫌じゃぁーー⭐︎誰か助けてぇーー⭐︎」