第57話 ゴブリン
それから進む事1時間。
パンッ!パンッ!
またアモが馬車の上から矢を射抜く。
ルーベンは魔力感知を使用して進んでいるが、さっきからゴブリンが多く引っかかる。
アモが降りて来る。
「さっきから多いわね。これで15匹目よ。まさかとは思うけど、操られたりしてないわよね?」
きっとエナ村での魔物事件を思い出しているのだろう。
しかしルーベンは首を振る。
鑑定したものの、状態異常にはなっていない。
つまり操られたりはしていないという事。
それなら答えは1つとルーベンは説明を始める。
ゴブリンは低級魔物の中でも下の部類。
おそらくナワバリを追われて、この森に流れついたのだろう。ゴブリンは集まると集落を作り、更に仲間を呼び寄せナワバリを広げていく習性がある。
「だから、この森の中に集落があるね。しかも数は100は超えるかもしれない。餌がなくなりドンドン外に出てきてしまってるんだと思う。このままだと村にも被害が出るかもしれない。どうする?」
「そんなの決まってる。私達で倒すわ。」
そうと決まれば倒しに行こうとしたが…
集落があるなら森の奥。
馬車はここに置いていけない。
ひとまず村に行く事になったのだがルーベンの魔力感知に引っかかる。
「これは!?アモ。この先に20以上の魔物。おそらく誰かが囲まれているな。急ぐぞ。」
急いで馬車を動かすルーベン。
そこには馬車に乗る数名の人達、それを守る護衛の冒険者らしき人が2人と子供が1人。15匹程のゴブリンと戦っていた。
急いで助けに入るルーベンとアモ。
アモは馬車の上から矢を射抜く。
ルーベンも石弾の連射で、ゴブリン達を駆逐していく。
いきなり矢と石弾で次々に倒れていくゴブリンを見て、戦っていた人達も僕達に気付く。
馬車を近くに止める。
「大丈夫ですか?僕は魔力感知を使えます。もう近くにゴブリンは居ません。安心して下さい。」
「怪我をしている人はいませんか?私は回復魔法を使えます。少しのキズでも私に言って下さい。」
それには皆が驚いていた。
こんな小さな子供達に助けられた驚きと、10歳にも満たない子だけで旅をしている両方だ。
少し落ち着いて来た所で話しを聞くと、どうやらルーベン達と似たような感じだった。
森を進むにつれゴブリンが増えていったという。
おそらく集落があるのだろうと。
そして村へ急ぎ向かっていた矢先に大勢のゴブリンに囲まれたそうだ。
村の騎士の人や警備の人に報告しなくてはならない。
だから一緒に進まないかと提案されたので、了承した。
そこで少し気になっていた子にルーベンが話かける。
「僕はルーベン。君も王都のテオドール学園を受験する子?僕達もそうなんだけど。乗り合いの馬車見たいだし、王都方面だから、そうかなぁって思って。」
「……そうよ。私はナタリー。さっきは助かった。ありがとう。」
どこか、ぶっきらぼうに答えるナタリー。
髪の色は銀色で、珍しい色をしている。
髪は短く。近くに寄るまでは、男の子だと思っていた。
ゴブリン達と素手で戦っていた事から正義感に溢れた優しい子なのだろう。
素手という事は、おそらく……(鑑定!!)
名前 ナタリー•テイラー
種族 人族 8歳
状態 ー
武器 拳(S) C
魔法 ー
魔力量 83/88
スキル 歯車拳
称号 なし
ふぅーん。なかなか尖った面白い能力をしているなぁ。
スキルの内容も気になるけど、拳のSはレオンさん以来か。
そこでアモもナタリーと話しをしている。
おそらく同級生になるんだから、女の子同士、仲良くなれるといいね。
そして護衛をしながら慎重に進む事1時間。
2回ゴブリンと遭遇したが、特に問題なく村に着いた。
冒険者達が話しかけて来る。
「ありがとう。君達のおかげで皆、無事に村に着く事が出来た。私達はゴブリンの集落を報告して来る。おそらく王都か、近くの町から討伐隊が組まれる事になるだろう。それでは…。」
そこでアモが耳元で話してくる。
「ねぇ。討伐隊が来るのってどのぐらいなの?」
「ん〜。ドライカの騎士団ならすぐ動くけど…他の騎士団は分からないからなぁ。報告と到着するので早くても3日は掛かるんじゃない?」
そこでドライカの騎士団が凄い事にアモは気付く。
エナ村での事件では距離が近いと言っても、その日に救援に来てくれたのだから。
改めてロキに感謝をしつつも、やっぱりゴブリンは自分達で倒す事に決めたのであった。
そうと決まれば話しは早い。
2人で作戦会議をしていると。
後ろから近づいて来る人が1人。
「ねぇ。少し聞こえたんだけど。ゴブリンの集落に行く気なの?」
ナタリーだ。別にウソをつく必要もないので、ルーベンはその通りと答えた。
「あなた達はバカなの?確かに腕は多少あるのは認めるわ。いくらゴブリンが弱いと言っても、大勢に囲まれれば死ぬわよ。」
「ナタリーって言ったね。ありがとう心配してくれて、でも問題ないよ。僕達も死ぬつもりはない。倒せるから行くだけさ。」
ルーベンは答えたが、なるほど……そりゃ信じてくれないよね。目の前には拳を構えるナタリーが立っていた。
「そう。私はあなた達には死んで欲しくない。言っても辞めないのなら、少し痛い目を見るわよ。」
ふーん。願ってもない。
ナタリーのスキルは気になっていたからね。




