第5話 父と称号
あれからアナ様からの連絡はなかった。なんか疲れたのですぐに寝てしまった。
んー!いい天気だ!体を起こし。
目が覚めると昨夜のことを思い出す。
アナ様は捕まったのだろうか…神様の仕事は分からないがサボるのは良くないと思うよ。一応は神様なんだし。
ゼノ様はきちんと仕事してそうだなぁっと思いながら、鑑定の儀の準備をしていた。
「ルーベン。おっもう起きていたか。」
「はい。おはようございます父上。良く寝れました。」
「それなら良かった。ご飯出来ているから着替えたらおいで。その後は鑑定の儀だからな。」
「はい。」
ちなみに父ロキも母アンネも鑑定の儀に一緒に来ることになっていた。
「武器適正は剣だな。俺の息子だからな。」
そう言った父ロキ。
「もー。適正なんてなんでもいいじゃないの。元気に育ってくれれば。」
「そうだな。アンネ。お前ってやつは、しかし今日も美しいな。」
「もー。あなたったら。」
はぁー。朝からイチャイチャ、これが我が家の日常だ。こんな親でも一応は尊敬している。なぜなら……
(鑑定!!)
名前 ロキ•アートルド
種族 人族 38歳
武器 剣(A) A
槍(B) C
魔法 火(C) C
魔力量 68/68
スキル 身体強化(中) 剣術(大)
火ノ剣 火ノ槍
称号 剣豪 アンネ命
名前 アンネ•アートルド
種族 人族 37歳
武器 弓(C) D
魔法 水(C) C
風(C) D
魔力量 81/81
スキル 魔術(小)
称号 なし
うん。やっぱり父は強い。母は魔法よりだ。
前にも言ったが父はアスタリア王国の元王国騎士、母を追いかけ王国騎士を辞めて現在はこの街、ドライカ騎士団の隊長だ。剣術の腕は王国上位。
剣のレベルはA。いままで鑑定した中でレベルAに到達している人は父しか見たことがない。
それに称号だよね。アンネ命は触れずに……剣豪!!なんかカッコいいよね。なんか厨二病っぽくて。
だから前に父に聞いたことがあるんだ。剣豪ってなに?って…そしたら嬉しそうに答えてくれたよ。
「家族に聞いたか。いいか剣豪ってのは称号だ。いわいる『豪』の称号って言われる。称号を持つというのは、とても凄いことなんだぞ。父は強いのだ。」
「どのぐらい?強いの?」
「そうだなぁ。まだ難しいかもしれんがルーベンなら分かるかもな。いいか称号ってのは、その分野で上位の者を表す。分野ごとに称号持ちは世界に10人しかいない。」
「10人?」
「そうだ。1番上から『王』『聖』『豪』の称号が与えられる。『王』は世界に1人しかいない。だからその分野での1番の名が与えられる。剣なら剣王、槍なら槍王。魔法でも一緒だぞ。火なら火王って感じだな。『聖』は世界に3人。『豪』は世界に6人だな。」
「凄かったのですね。父上は。母上にメロメロなだけな父上かと思ってました。」
「ハハッ。そんな映り方していたんだな。泣」
「いえ。今変わりました。笑。それで称号を得るにはどうしたら?」
「そうだな。いつの間にか称号は与えられるんだ。与えられた時は分かるぞ。なんか…こう…力が溢れる感じだったな。基準はおそらくレベルと経験と言われている。我らが神アナ様が見ていてくれるんだろうな。だから称号を与えられるのはとても栄誉なことなんだ。」
「へぇ。それならそれなら!父上は剣王に会ったことは?」
「確かに王の称号は憧れるよな。剣王か……いや会ったことはない。実は今代の剣王は誰なのか分かっていないのだよ。この世界にいるのは確かなのだがな。剣士として1度でもいいから剣王様の剣術を見てみたいものだ。」
「そうなんですね。確かに自分から言わなきゃバレませんしね。でもそれって剣王の偽物も現れるんじゃないですか?」
「まぁな。実際に良くある話しだな。いいか…称号を得たら国に報告する決まりがあるんだが、これはどこの国でも一緒さ。魔道具を使えば称号持ちか分かるからウソついても分かるぞ。称号のウソは厳罰だ。悪ければ処刑されることもあるんだ。だから称号のウソはしちゃだめだぞ。」
「わかりました。それなら今の『王』の称号持ちは全員は分かっていないのですね。」
「そうなるな。王都にいた頃に何人か他の『王』の称号持ちには会ったことはあるぞ。まぁ…みんな一癖も二癖もある人ばかりだったな。仮に戦ったとして…剣豪持ちといっても赤子のようにあしらわれるだろうとそう感じたな。それほど『王』の称号持ちは別格だということ。それに称号持ちは国が率先して勧誘する。実際それが嫌で報告しない人も多い。たとえ報告してないのが国にバレても称号持ちは、単純に強いからな。反感を持たれて他国にでも行かれたらそれでこそ損失がでかいからな。国も、強く出れないのが現状だな。」
(幼いルーベンに難しい話だろうな)
「そうですよね。将来は父上みたいに称号持ちになりたいです。」
「よし。それなら鍛錬あるのみ。いくぞルーベン!」
「はい。父上!!」
この日から父を見る目が変わったのだった。
………少しだけね。