第52話 敗北から
目を覚ますと騎士団の医療施設。
(そうか…僕は負けたのか。)
ルーベンは最後の攻防を思い出している。
(おそらく…レオンさんは2つのスキルを使えば時間が掛かったとしても黒炎の槍を壊せていた。それでも『金剛力』を使ったのは僕に強さを見せる為。…結局何も見えなかったし分からなかった…完敗だな。)
父上とペンスが目に入る。
「ごめんなさい。勝手な事までして…負けてしまいました。」
父ロキがルーベンを抱きしめる。
「いいんだ…無事ならそれで。心配したんだぞ。拳王に挑む子供がどこにいる。」
ペンスも心配していたのだろう。
近くにいたのに何も出来なかった自分に悔いていそうな表情だ。
それからレオンさんがペンスさんに残した言葉を聞いた。
やっぱり魔王ディノンと繋がっていたか。
それに6人の将軍か……。
「魔将レオンに、魔将ウィング。あと4人も強者がいる事になりますね。」
父ロキも分かっているようだ。
「あぁ。『拳王』に『風聖』だ。他にも称号持ちの実力者もいると見た方がいい。さらには…ウィングが生きている事がほぼ確定したな。」
ペンスさんも顔を歪める。
魔将ウィング、エナ村で10人の犠牲者が出た。
皆、思う所はあるのだろう。
口を開くはルーベン。
「父上。レオンさんが自ら名乗ったと言う事は、もう人族の国には戻らないという意志の表れです。レオンさんの言い方だと魔王ディノンは人族を滅ぼそうと計画しているみたいですね。それの準備に5年掛かかるとみていいでしょう。」
「そうだな。」
「それまでに僕はもっともっと強くなります。レオンさんが止められなかった時は……戦争を止めなくてはなりません。」
「それは…別にルーベンじゃなくても。」
「そうです。止められるなら誰でもいい。でも僕はレオンさんに言われたんです。『強くなれ』と…そんな力じゃ何も出来ないと。戦いが起きなければそれが1番ですけど、起きる可能性があると知ってしまったんです。それなのに何もしない理由にはならない。」
「………。」
(おそらく堕神キリトが関わっている。これを無視したら、フロムが滅んでしまう。)
「だから…僕は強くなります。皆を守れるように。」
ルーベンは力強く答えた。
負けても立ち上がる。誰にも出来る事ではない。
「そうか。やる事は決まったな!それこそルーベンだけに任せていられるか。私も鍛え直す。とりあえず剣聖を目指してみるか。あとレオン!私は許さない。ルーベンを気絶させた事をな……いいか拳王レオンは私が倒す。」
「それなら私は弓豪ですね。隊長がレオンなら私はウィングを倒しますよ。アイツはクズですしね。」
すかさずルーベンが
「いやっ!父上待ってください。レオンさんは、そこまで悪い人ではないと……実際助けられた人もいる訳で…。」
「知るか!ルーベンに手を挙げた事に変わりない。私は話した事もないしな。」
各々の目標が決まった瞬間だった。




