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異世界転生〜神の能力少しだけ使えます〜  作者: ★わくわく★
第2章 ドライカの街②
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第50話 拳王レオン


 ペンスさんになんとか許可を貰うが、ペンスさんの事だ。門番に父上に報告するよう手配したはず。

 父上に連絡が行き、来るまで早くて15分。充分時間はある。

 ドライカの門をくぐり誰もいない荒野に立つのは3人。


 1人は『拳王レオン』対するのは、ルーベン。

 それを見守るペンス。


 「いつでもかかって来るといい。」カチャ。

 そう言い放ち…拳にメリケンサックのような武器を装着。レオンは底が知れないルーベンに警戒は怠らない。


 「分かりました。それでは始めますね。」

 なんとも気の抜けた勝負の始まりがあったもんだと思いながらも、拳を構えるレオン。


 ルーベンは腰に差した木剣を構えて魔法を発動する。

 「石槍ストーンランス×2!!」


 みるみる石の槍が完成し、更に

 「闇魔法•やみまといくろの剣、くろの槍、くろの鎧。」


 闇魔法を発動。闇が纏われた剣と槍は黒く染まり、ルーベンの腕と足の部分に黒い鎧が現れる。

 それを見て、眉を動かすレオン。纏う空気が変わった。

 (闇魔法の適正があるのは調べていたが、あれがルーベンの闇魔法か。)


 先に動くのはルーベン。黒の槍を巧みに動かして、レオンの背後と前方から攻撃を仕掛ける。

 

 「甘いわ。」

 ガン。ゴン。ガン。

 すべての攻撃を拳で受ける。

 (壊れぬか。纏っている箇所は防御力が上がっているな。)

 ルーベンはその隙に、手数を増やす。

 

 「石弾ストーンバレッド×10!!」

 「更に砂地サンドピット!!」


 黒の槍に続き、石弾。更にレオンの足元が砂地へと変わりバランスを崩す。流石のレオンも焦りの表情に変わる。


 ルーベンもレオンの元に駆ける。神の目を使い、レオンの死角へ潜り込んだルーベンは黒の剣を横薙ぎに振るう。


 ブンッ!!

 (貰った!)


 「しゃらくせぇー。」

 そう言い放ったレオンは地面に向けて拳を落とす。

 

 ドドンッ!!!!

 全ての攻撃がレオンのたった一撃の拳により吹き飛ばされる。ルーベンも飛ばされるが、黒の槍を操作して空中で踏み留まった。


 おそらく今の一撃は身体強化を使ったのだろう。

 パンチした地面が大きく凹んでいる。

 そう判断したルーベンは空中で鑑定を使用。


 レオンの魔量量は34/35。


 (ちっ!)


 ルーベンはレオンの弱点は魔力量の低さだと思っていた。レベルも低くまず魔法は撃ってこない。レオンのスキルは身体強化•拳術•金剛力。

 金剛力も名前からして身体能力の向上か、拳術の技とみていい。だから攻撃手段は拳のみだと判断した。

 それならスキルを使わせる状況を作り、魔力枯渇にすれば勝機もあるかもと。


 その考えが間違えだった。おそらく拳で攻撃のインパクトの一瞬だけスキルを使用したのだ。


 「レオンさん。そんなスキルの使い方もあるとは。初めて知りましたよ。」


 「ほぉ。分かったか今の一瞬で……ハッハッハッ。スキルを使わされた事に驚いていたが…そこまで分かるとは。良い目をしている。しかし…上から見下ろされるのは好きではない。降りて来ないなら、こっちから行くぞ。」


 レオンは地を蹴った。

 バンッ!!!!!!


 地面が大きく凹む…これも足にスキルを一瞬だけ使用したな。遠距離からの攻撃は投石ぐらいしかないと思っていたルーベンは自ら突っ込んで来るレオンに驚きを隠せない。


 「なっ!筋肉お化けですか。レオンさんは…!」

 なんとかもう1つの黒の槍を間に滑り込ませる。


 ゴゴン。バコッ。

 なんとか黒の槍で防御する事に成功するも。

 その勢いでルーベンは地面に戻されてしまう。


 (空中戦はするつもりはなかったけど、スキル1つ使えば黒の槍が一撃か。)

 防御に使った黒の槍が崩れていく。


 レオンの魔量量32/35


 (今の攻防で魔力は2減っただけか…。しかもスキルを1つ使った攻撃で神の目でもやっと見える程度。2つ目、3つ目のスキルを重ねがけしたら、一体どんな威力、スピードになるんだ…考えただけでゾッとする。)


 レオンさんが空中から落ちて来た。

 ドンッ!!

 

 ブンッ!!

 手を振るだけで砂埃が晴れる。


 「さぁ。続きをやろうぜルーベン。」ニコッ。


 「ええ。流石は拳王。楽しくなって来ました。」

ニコッ。

 


 それを見守るペンスは、早くロキ隊長が来る事を祈っていた。


 


 

 

 


 

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