表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生〜神の能力少しだけ使えます〜  作者: ★わくわく★
第2章 ドライカの街②
47/193

第45話 新たな武具と敵


 それから長かった夏休みも終わりを告げる。

 兄弟対決から始まり、コカトリス騒動、ピクニック。

 途中泥棒退治なんかもあり、夏祭り、それに魔道具作り。もちろん訓練は怠らず。


 なかなか濃い一カ月が終わりを告げる。

 

 明日の朝に学園に戻る為、兄達は出発するのだが、夕飯を食べ終えた所でルーベンは声を上げる。


 「では皆さん。あのコカトリスの素材を使ってある魔道武具が完成したので発表をしたいと思います。ベン爺にはお礼を、父上も援助してくれました。」


 「おぉー。」パチパチ。


 「まずはこちら、コカトリスの盾です。こちらは、グルーガ兄さんとマルク兄さんに。コカトリスの胴体部の皮膚や鱗を使ってます。元々、魔法や剣を受けつけない強靭な防御力を誇りますが、魔力を流す事により更に硬度が増し、いかなる攻撃も防御出来るでしょう。色は我慢して下さい。」


 そう言って2人に手渡していく。

 色は紫、好みが分かれる色ではあるがルーベンは気に入っている。

 2人とも早く盾の性能を試したそうにウズウズしているのが分かる。


 「そして次はこれ。コカトリスの鞭です。こちらはフラン姉さんに。コカトリスの尻尾の部分を使ってます。魔力を流す事で鞭の長さ、重さを自在に、さらに先端の蛇の口の部分、ここから魔法を放つ事が出来ます。鞭と火魔法が得意なフラン姉さんには最強の武器となる事でしょう。」


 色は茶色、持ってみてまず感じた事は…軽い。

 でも魔力を込めれば長さ、重さを調整出来る事から、フランにとって唯一無二の武器になる。 

 フラン姉さんも試したいみたいだ。

 


 少し作りたかった魔道具とは違ったが、コカトリスの素材を使って出来た魔道武具はこの3つ。

 父上がお金を出してくれたおかげが大きい。

 

 やっぱり離れている子供逹の事も心配だもんね。


 そして夏休み最後の夜を迎え、翌朝兄達は出発するのであった。


 出発する時。皆悲しむから僕も泣きそうだったよ。

 フラン姉さんとアモは抱き合って泣いていたっけ。


 兄達にも再戦を約束された。結局この1カ月、武器だけの勝負では、どちらにも勝てなかった。これからお互いの成長が楽しみだ。


 ……色々あったけど、楽しかったな。


 

 こうして馬車の背中が見えなくなるまで見送ったのである。ルーベン5歳の夏が終わりを迎えた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 〜ガンダリアン魔国領〜


 魔王城のある城下町

 

 とある魔族達が話をしていた。

 「もう何年も魔王様を見ていないよな。昔は城下町にも顔を出していたのに。」


 「きっと仕事が忙しいんだよ。」


 「オレが聞いた話だと…あの優しかった魔王様が人が変わったように、叫んでいるらしいぞ。人間を滅ぼせ!!って。」


 「本当かよ。出鱈目じゃないか?」


 「オレも人間は憎いが…でも条約はどうするんだよ?破ったら戦争が始まるぞ。いくら人間が憎くても2国は同時に相手なんて出来ない。」

 

 「だから今は準備しているんだとか。」


 「何の準備だよ。」


 「詳しくは知らなねぇよ。兵器とかじゃねぇの。」


 「……これから一体、どうなっちまうんだろうな。」


 話をしていた魔族達は、魔王城を見上げた。

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーー



 まず魔族について話をしよう。

 魔族と人族、見た目はある一点を除きそこまで見た目は変わらない。何が違うか…それはつのだ。

 魔族は生まれた時は角は生えていないが成長するにつれて生えてくる。その角は、長さに比例して魔力量が多いとされている。

 角は魔族にとって誇りである。それだけ大切にしているのだが、ある時…人族である噂が流れはじめる。

 それは『魔族の角は万病に効く薬の材料になる』と。それを聞いた人族は魔族を襲い。角を切りとばすという凶行に出る。もちろんそんな効果はないのだが、止まることはなく被害が増加する。

 それ以前も種族が違うと言うだけでお互い衝突はあったものの、ここまでの被害はなかった。

 そこで魔族は北の大地に逃げ、今のガンダリアン魔国領を作る。

 そして人族と魔族との長い戦いの幕が開ける。

 

 約300年続いたとされる魔族と人族との戦争。

 しかし100年程前に突如、終わりを迎えた。人族と魔族の国同士、3カ国で平和条約を結んだのだ。


 だが100年経とうが…人族への恨みは消えない。憎しみ恨みは親から子へ受け継がれる。

 魔族が人族の国を歩けば角を切り落とされる話は教訓として子供に話される。

 実際、魔国領を出たら魔族を攫おうとする者も多い。

 だから基本、魔族は魔国領を出ないのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 〜魔王城〜


 王の間


 玉座に座るは魔王ディノン。

 顔は見えないが長い2本の角が生えている。

 

 そしてその前に跪く2人の魔族。

 

 「久しぶりだな。『魔将ウィング』そして『魔将レオン』よ。顔を上げよ。」


 「はっ。」「はっ。」

 

 「ウィングよ。傷の具合はどうだ?」


 「はい。もう完全に回復致しました。そして申し訳ありません…このような大切な時期に。」


 そう答えたウィングだが、確かに無くなった足と腕が付いている。


 「構わぬ。お主がいなければ魔道具は完成しなかった。して量産を命じたが、どれほど時間がかかる?」


 「5年…いや3年あれば目標の数に達すると思われます。」

 

 「ならば急いでとりかかれ。完成したら本格的に動くぞ。そしてレオンには新たな命令を与える。ウィングが倒されたとされる強大な魔法を放った者の調査を。可能ならここに連れて来い。生きていさえすれば、どんな状態でも構わない。」


 「はっ。」「はっ。」


 こうしてルーベン達は知る由もなく、新たな敵が動き出したのだった。

 

 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ