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異世界転生〜神の能力少しだけ使えます〜  作者: ★わくわく★
第2章 ドライカの街②
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第41話 対グルーガ


 次の相手はグルーガ兄さん。

 強敵だな。正直弱点という弱点はない気がするのだが、どうやって戦うか……考えていると。


 「いやぁ。幼い頃からルーベンは天才だと思っていたけど、これほどとは。僕も兄として、武人としても負けられないからね。全力でいかせてもらうよ。」


 グルーガ兄さんが言い放つ。圧が凄い。

 油断はしてないね…どっちにしろグルーガ兄さんの全力の戦闘は知らないんだよね。


 「父上。休憩はもう大丈夫です。息も整いましたし。」


 「よし。グルーガ。ルーベン。この勝負も3本勝負だ。魔法の使用も構わない。ルールは一緒。準備はいいな。」


 「はい。」「はい。」


 ルーベンは木剣を、グルーガは木槍を手に持つ。

 

 「では1本目…始め!!」


 ルーベンが最初に動く。

 槍の弱点は小回りが利かない、まずは懐へ。


 くそっ。

 牽制が上手い。

 グルーガの対処は完璧だ。

 それはそうだ。何度も練習してるのだろう。


 これで正攻法では近づけないことが分かった。それならとルーベンは石弾ストーンバレッドを発動する。


 「石弾ストーンバレッド×10!」

 

 10連の石弾を放つ。

 小回りが利かないとはいえグルーガはこんな事ではやられない。

 柄を短く持って対処したり、時には長く持って石弾を一斉に払いのける。


 そんなグルーガを見て思った。騎士団の人より槍を使うのが上手いような気がする。学園上位は伊達ではないな。


 「さっきも魔法使っていたし、ルーベンの魔力量はもの凄いな。一体いくつなんだい?」


 「勝負中です。教えませんよ。グルーガ兄さんこそ弱点を教えて貰えると嬉しいんですけど。」


 「いつの間に口も達者になって。」


 そう言うと初めてグルーガから攻撃を仕掛ける。

 槍での刺突。その威力、速さは申し分ない。

 ルーベンは神の目を発動していたが、かろうじて見える程度。普通ならこの一撃で終わっている。


 だが、かろうじてでも見えていれば対処は出来る。

 何度も連続で放たれる突きに剣を当て軌道を少しだけずらす事で、ルーベンは紙一重で躱していく。


 「なっ!?」

 これに驚くのはグルーガの方。

 1度ならまだしも、すべての攻撃を躱すのを見て、ルーベンの力を認める。強敵だと。


 グルーガの手数が減った事で、すかさずルーベンは魔法を使用する。


 

 「石槍ストーンランス×2。」

 魔力を込め石で出来た槍が2つルーベンの周りを浮遊する。それを見たグルーガも、まずいと思ったのか魔法を放つ。


 「ウィンドカッター石弾ストーンバレッド。」


 風の刃と石弾がルーベンに向かって来るが、石槍を操作してガードする。

 

 ズシャ。ドンっ!!

 

 「発想が凄いな。石槍ストーンランスで防御か。しかも僕の魔法では、びくともしない…魔法に関してルーベンの方が遥かに上をいくな…。」

 

 そう。ルーベンの石槍ストーンランスは、無傷の状態で浮遊している。

 

 本来の石槍ストーンランスの使用方法は、目標に向かって放つことで石弾ストーンバレッドよりも単体での攻撃力、貫通力が上位の魔法だが、ルーベンの使い方は異なるものであった。


 神様に言われ魔力の操作•制御の訓練をしてきたルーベンは、もちろん上達をしていた。

 

 今は思い通りに操作出来る石槍ストーンランスの数は2つ。それでも相手からしたら脅威なのだが……その後が凄かった。


 「闇魔法•やみまといくろの剣、くろの槍。」


 今度は自身の体ではなく。闇魔法をルーベンの持つ木剣と操作している石槍ストーンランスに纏い始めた。

 闇魔法も扱えるようになってきたのである。


 グルーガは闇纏については、ある程度理解していた。

 マルクとの勝負で見ていたからだ。纏った箇所が単純に攻撃、防御力が上昇していた事を。

 

 (ただの石槍ストーンランスなら、魔法は無理でも僕の槍で壊せていたのに……。)

 

 「ルーベン。その黒の槍は、手足のように操作出来るのだろ?」


 「当たり前です。手加減は出来ませんよ。このまま続けたらグルーガ兄さんに怪我をさせてしまうかもしれません。」


 「そうだろうね。次の僕の攻撃で…その黒の槍を壊す!!壊せたら僕の勝ち。壊せなければルーベンの勝ちだ。どうだい?分かりやすくていいだろ?僕も流石にルーベンと合わせて3方向の攻撃は受けられない。」


 「分かりました。全力で攻撃して下さい。受け止めて見せますから。」


 

 グルーガは集中し…自身のスキルを発動。

 

 「風ノ槍!!」

 

 ヒュルルルルル。

 

 グルーガが持つ木槍に風が纏う。

 攻撃力、何よりも貫通力が、かなり上がったように見える。

 

 これにより元々、発動していた身体強化ならびに槍術のスキルも合わせて、グルーガの全力。


 「行くぞ。ルーベン!」

 ザッ!!


 グルーガは勢いよく地面を蹴った。

 自身の全体重を乗せた一点突破、最大威力の刺突。

 

 ビュー、ゴォー。

 スキルの効果も合わさり、もの凄い風が吹き荒れる。




 対するはルーベン。

 浮遊している黒の槍を操作して回転を加える。


 ギュルギュルギュルギュル…キィーン。

 黒の槍は高回転により発する音が変わり、熱を持ち槍の先端が赤みを帯びる。


 シュン。

 そして、グルーガに向かって黒の槍を放つのであった。



 

 ドドンッ!!!!


 グルーガの風槍とルーベンの黒の槍が……激突した。


 もの凄い爆風が起きる。それにより訓練場の砂が舞い上がり視界を奪う。

 勝敗は単純明快。黒の槍が残っていればルーベンが、黒の槍が壊れていればグルーガの勝ちとなる。


 徐々に砂埃が晴れていく。

 立っているグルーガ……


 「まさか…ここまでとはね。」

 ピキピキッ。ボロボロッ。

 手に持つ木槍が衝撃に耐えられず崩れている。

 しかし黒の槍の方は……


 グルーガの前に、ほぼ無傷の状態で浮遊していた。


 「1本目……勝者。ルーベン。」


 その場に大の字に倒れるグルーガ。

 「ハァハァ。父上。僕は次の試合の事を考えず、ほとんどの魔力を使ってしまいました。3本勝負の内、1本でも勝とうと…この試合に僕の全力をかけてこのざまです。」

 

 「そうか…。」

 さらにグルーガが父上に話し出す。


 「ハァハァ。なので僕の負けです。少し学園でチヤホヤされて…僕はどこかに驕りがあったのかもしれませんね。だから気を引き締めようと、ルーベンと勝負をさせた。マルクも同様ですよね?父上は…すべてを見抜いていたのでしょ?」


 (うーん。勝負するのを見たかっただけで、別にそういう意図はないのだが……そんな顔で『見抜いていたのでしょ?』とか言われたら、否定も出来ん。こうなったら……)

 

 「そうだ。グルーガもマルクも武器同士でなら、ルーベンに余裕で勝てるだろう。しかし戦いは武器だけでない。その事を知ってもらいたくてだな。」


 「流石は、父上。これからは、より一層気を引き締め精進致します。」


 「おっおう。」


 それを横で聞いていたルーベンは…これで良いんですよね?父上。と訴えかける目を送っていたという。


 コクリッ。

 父ロキは、とりあえず頷いておいた。


 こうして久しぶりに息子達の実力を知れて満足のロキであった。


 「さぁて、帰って夕飯食べるか、アンネがご馳走用意しているぞ。久しぶりだろ?アンネの料理。」


 そう言って皆で仲良く家路についたのである。





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