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異世界転生〜神の能力少しだけ使えます〜  作者: ★わくわく★
第2章 ドライカの街②
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第38話 叫べ!!その名は

 

 魔道具の義手を作ると言ったルーベン。

 ひとつ目の材料を持ってくると言っていたが、何だろうと思うアモであった。



 「ハァハァ。これです。」

 息を切らしながら、材料を持って来たルーベンを見て、男の浪漫とは、そこまでなのかと思う……しかしルーベンの手に持つ素材に目を持っていかれる。身長程はありそうな長さの白い骨?いや少し透明だ……これは一体?


 「ブラッドウルフの爪です。最後は僕が倒しましたから、これだけ残ってたんです。」


 驚いて言葉も出ない。

 操られていたとはいえ、エナ村を襲ったブラッドウルフの素材。

 それにブラッドウルフとは上級の魔物。素材だけでも高値が付くのは子供でも分かる。

 そんな事はお構いなしにルーベンは話しを続ける。


 「見て下さい。ブラッドウルフの爪は魔力を通しやすく。何より頑丈です。これを義手の骨組みに活用すれば問題ないかと。あとは外枠なんですが、もう一つの素材は家にはありません。」

 

 「買うしかないってことね。それはなんなの?」

 

 「それは『メタルスライム』を使います。メタルスライムは自身の魔力で体を変形させながら戦うと本に書いてありました。僕の予想が正しければ、これで魔道具の義手は出来ると思います。」


 「あとは値段ね。高い値段ならどうしよう。」


 「そこは大丈夫です。メタルスライムは鉱山近くなら何処にでも出現するらしいですし、大通りの鍛冶屋に行けば置いてありますよ。善は急げです。さっそく行きますよ。」


 義手を作るのに熱心なルーベン。

 単純にルーカスに使って貰いたいという気持ちがあるのは分かってはいるので、嬉しいのだが……その裏ではどうなってしまうのか心配なアモであった。


 その後は、すぐに材料が集まった。

 しかし物作りの経験はゼロ。

 加工の失敗は許されない、メタルスライムはいいのだがブラッドウルフの爪に限っては1つ。

 元々、全部自分達で作れるとも思っていない。

 そこでルーベンは物作りならベン爺に聞こうと思い声を掛けた。


 「……………という事なんです。」


 一通り説明は、してみたものの。ベン爺は元大工。

 なにか参考になればと聞いてはみたが、面白い答えが返ってくる。


 「ふむ。1週間時間を貰えんか?ワシが作ってやる。」


 「えっ?ベン爺は魔道具の経験があるのですか?」


 「大工といっても、魔物の素材を使う事もあるし、魔道具も少し齧っていての。話しを聞いて久しぶりに職人の血が騒いだしの。ワシが作ってやる。」


 凄い自信溢れる言葉で喋るベン爺を見てルーベンは思った。


 「お願いします。やはり男の浪漫ですよね。」


 「そうじゃな。」


 隣で話しを聞いていたアモはというと。

 パパの腕からロケットパンチにビームに刃……それを想像したアモは

 (あっ……パパの腕が終わった……。早くわたしが治さないと。)

 

 違う意味で治す事を心に誓ったのであった。




 それから2週間。

 1週間と言ったが、微調整や足りない材料なんかもあったりして、作るのに時間がかかってしまった。

 少しだけ僕も手伝ったが、流石はベン爺、予想以上の出来だ。


 

 ちなみに魔道具の義手を作っているのは皆には内緒にしてある。驚かせてやる為だ。

 そして完成発表当日。

 父上とルーカスさんが仕事を終えて帰ること、18時過ぎ。アートルド宅に皆を集める。


 その中で唯一勘違いしてそうな人が1人。

 「きゃぁ〜ルーベンちゃん、アモちゃんが皆を揃えて話しがあるとか……ついに、ついになのね。」

 

 そう母上ことアンネさん…あなたは一体何を勘違いしているのか……はぁ。まぁいいか。話しを始めよう。

 ルーベンとアモが皆の前に立ち、集まってもらった経緯を話し始める。


 「……………という経緯でして。」

 

 説明を終え皆、驚いている所、アモと目を合わせた2人で頷く。


 せーのっ!!

 『ベン爺ーーー!!』


 ガチャ。

 ベン爺が包みを持って部屋に入ってくる。

 包みを机の上に置き。ベン爺が宣言する。

 その顔はどこか興奮し、まるで子供のようにはしゃいでいるようにも見えた。

 

 「これがワシらで作った魔道義手。その名も……」


 ゴクリっ。

 バサッと包みを広げ名を呼んだ。


 「『トランスフォームアーマー•ブラッドメタル』じゃ。」


 「おぉー。やっぱりその名前カッコいいですよね。」

 ルーベンも目を輝かせている。

 

 しかしベン爺とルーベン以外の男性人は、驚きの方が大きいのか、2人して目を合わせている。


 母上は…あまり興味がなさそうだ。

 

 特にアモは頭を抱えながら、ブツブツと独り言を発していた。

 「止められなかった。パパの腕が……パパの腕が……。」



 とりあえずは装着しなくては、始まらない。

 その為、ルーベンが動いた。


 「ルーカスさん。あなたの為に作りました。こちらに…そしてこの『トランスフォームアーマー•ブラッドメタル』を装着して下さい。」


 ルーカスさんは、少しだけ躊躇したが、自分の為にせっかく作ってくれたので断る事もいかず、仕方なく装着する。

 腕に近づけた所で魔力を少し流すように言われたので、流してみると……なんと腕とくっついているではないか。


 「凄いですね。この………えぇと……魔道義手。」

 

 「違います。『トランスフォームアーマー•ブラッドメタル』です。そうですよね?ベン爺?」

 「そうじゃ。そうじゃ。長いと思うならブラッドメタルでもいいぞ。」


 なぜか名前を呼ぶことに拘りがあるので、ルーカスは2人の前ではブラッドメタルと呼ぶことにした。

 するとルーベンが次の説明を興奮しながら教えてくれる。


 「それだと、ただ腕にくっついている普通の義手です。ですがブラッドウルフの爪に魔力が流れて、そこからメタルスライムの素材へ細かい命令を送り込むことである程度の動きなら可能です。少しコツがいりますが、慣れればすぐに動かせるようになります。1度手を動かしてみて下さい。開いて閉じてを……」


 そう言われたルーカスは、魔力をブラッドメタルに流し込む、手を開いて閉じる感覚。すると…思い通りに動くではないか。


 「凄い!!これなら前と変わらず料理も生活も出来ます。ありがとうございます。」


 その性能に皆が驚く中。

 涙を流しながら何度も礼を言うルーカス。


 「ありがとうございます。ありがとうルーベン君。ありがとうアモ。」


 

 だがベン爺とルーベンは驚くのは、まだ早いと。機能はこれだけではないと声を上げている。

 「ルーカスさん。少しいいですか?」


 そう言って装着するブラッドメタルにルーベンは手を当てて魔力を流し込む。

 「トランスフォーム!!」と言いながら。


 すると、さっきまで腕の形をしていたのが、腕から先が1本の剣に変形し始める。

 

 「うわっ!!」

 驚くのも無理はない。

 明らかに切れ味のよさそうな剣。

 

 そして、どうですか?カッコいいですよね?と目で訴えて来るルーベンとベン爺。


 流石にこの光景を見て、ロキもアンネも頭を抱えている。

 アモは、独り言が止まらない。


 そこでさらにルーベンが追撃をかける。

 「あとは最後の機能……『魔力砲マジックキャノン』です。1度外へ出ましょう。」


 名前からして嫌な予感しかしない。


 外に出て、ルーベンが作った土壁サンドウォールに、腕の形に戻したブラッドメタルを向け、また魔力を込めている。


 『魔力砲マジックキャノン!!』

 

 ドンっ!!


 すると手のひら部分から魔力そのものが形をなし、土壁サンドウォールへと当たり……爆散した。


 「これが、ブラッドメタルの全機能です。」

 「これが。ブラッドメタルの全機能じゃ。」

 自信満々で言い放つ2人。




 ロキは叫んだ、皆が思っている事を

 

 『お前ら、なんて物を作ったんだぁーーー。』


 この日、ロキ隊長宅から爆発音、さらに叫び声を聞いた住民達が何事かと、騎士団まで出動する騒ぎになったという。


 

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