第3話 1番の悩み事
あれから異世界に転生してからルーベンは5歳になっていた。
5年もあれば、言葉も理解し、文字だって読み書き出来るようになった。
父も母も教えてもないのに文字の読み書き。そして計算も出来るルーベンを見て最初は驚いていたが、ルーベンは天才だと。親バカのおかげでなんとかなった。
そのおかけで調べたい本も堂々と読めたしね。良い誤算だったよ。神の力と魔法のことは隠しながら日々修行していたけどね。
分かったことと言えば…まず異世界には、3つの大国があること。東に位置しルーベン達がいるアスタリア王国。その隣、西に位置するベルンド帝国。
北側には魔族が住むガンダリアン魔国領。
昔(100年ほど前)は3つの国で戦争をしていたんだとか。今は3カ国で平和条約を結んで戦争はなく平和になったらしいのだけれど。遺恨はまだ残っているらしいのよね。
どこの世界も戦争はあるんだなって思ったよ。
ちなみにルーベン達が住んでいる街はドライカという街だということ。人口は2000人ほどと中々に大きな街らしい。
父ロキは、ドライカの騎士で隊長をしている。
騎士とは魔物や盗賊などから街を守り、他の街などから救援要請があればそこに向かうこともあるのだとか。
とても危険な仕事だが街の人達からは尊敬される仕事なんだって。しかも父が隊長ってのに驚いたよ。
なんでも父は20代の頃、腕が確かな人しか入隊出来ない。王国騎士というのに所属していたらしい。しかも今でも剣の腕は王国内で上位に位置するんだとか。
それならなんで王国騎士を辞めたんだって思うじゃん。それが任務でこのドライカの街に来た時に母アンネを一目見て惚れたんだとか。ようは一目惚れってやつだね。
アンネを嫁にしたいが為に王国騎士を辞めて、ドライカの街に来て騎士になったんだとか。このことは街で知らない人はいないほど有名な話らしい。なんか恥ずかしいよね。
でも1人の男として尊敬するよ。母にメロメロな所しか見てないから、いまだに父が隊長している所は想像がつかないけど……。
まぁ分かったことといえばこんな所かな。
いまは夕食中だ。父ロキ母アンネ、ルーベンの3人で食卓を囲んでいる。他の3人の兄弟はみな学園に進学中だ。
この国は8歳になると6年間、寮付きの学園、剣術科と魔法科どちらかに進学することになっている。現在長男のグルーガが11歳(剣術科)、長女のフランが10歳(魔法科)、次男のマルクが8歳(剣術科)と今年から通っている。
まぁ長期の休暇の時には、帰ってくるのだがやっぱり居ないとさみしいよね。
「ごちそうさまでした。今日も美味しかったです母上。」
「そうだろ。アンネの飯はフロムいちだからな。ハハッ。」
「もうあなたったら。フフッ。」
「もうまったく。子供の前でイチャイチャしないで下さいよ。父上!母上。はぁー。」
(仲が良いのはいいんだけどなぁ。こっちが恥ずかしくなる。)
「そういえばルーベン。明日は大切な鑑定の儀よ。今日は早く寝なさいね。」
「わかってます。母上。では今日は早く寝ますね。」
鑑定の儀とは1年に1度、街中の5歳になる子供達が集められ、武器適正、魔法適正と魔力量を調べるのだ。
鑑定の儀の結果により8歳の学園進学までに魔法科と剣術科、どちらかに進学するのか決めるのだそうだ。
その日の夜。
あれから5年。ルーベンは神の目の能力も魔法の能力もバレないように訓練して来た。そのおかげで少しながらも成長していた。鏡に自分の顔が映る。
(鑑定!)
神の目の解析の力は鑑定と呼ぶことにした。
名前 ルーベン•アートルド
種族 人族 5歳
武器 剣(C) E
弓(C) E
魔法 土(A) C
闇(S) E
雷(SS) A
魔力量 50050/50100
スキル 魔術(小)
称号 なし
固有 神の目 神の魔法
うん。雷属性と魔力量はほっといて……ある程度は鑑定で見えるようにはなったんだけど。やっぱり神の力は化け物だよね。
武器•魔法適正に現在のレベルと最終的なレベルも分かるようなった。
レベルはおそらくSS•S•A•B•C•D•Eの7段階。
土属性の魔法は日々使っていたしDからCに上がる時も鑑定して気が付いた。でも問題は闇属性なんだよね。
これが5年間いくら闇をイメージしても魔法が発動しないんだよね。神様も光•闇属性は珍しい属性って言っていたし実際に闇属性の適正を持ってる人は今まで鑑定した人の中にはいなかった。
本にも闇属性に関しては詳しく載っていないんだよなぁ。
自分の能力で1番適正が高いのに。
これが1番の悩み事です。