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異世界転生〜神の能力少しだけ使えます〜  作者: ★わくわく★
第2章 ドライカの街②
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第36話 3つ目の物件

 

 幸福亭で美味しいご飯を食べ、ルーカスさんの働き先も決まり、あとは引っ越し先を決めるだけ。

 どこか皆、足取りも軽そうに見える。


 今は最後の物件を見にドライカの北区にやって来ている。

 

 「今の所、1つ目の物件がいいんだっけ?」


 「そうね。次が最後なんでしょ?そこが駄目なら1つ目かなぁ。そういえばルーベン達の家は何処にあるの?」

 

 さらっと場所を聞いてみるが、何気にドキドキしていたアモであった。


 「僕の家は、ここ北区にあるよ。近くを通ったら教えるよ。」


 「へぇ〜そうなんだ。でもなんか北区だけ雰囲気が少し違うわね。なんだろ?」

 何かが違うのは確かなのだが、答えはわからない。


 「北区はドライカ騎士団の本部があるからね。騎士団の人とか多く住んでるから、自然と治安が良くなるんだよ。大通りにも一本道で繋がってるから迷う事もないしね。」


 どうりで雰囲気が違う訳だ。

 「そういう事か。」


 「ほら見て、あの大きい建物が騎士団の本部、訓練場もあるんだよ。僕も週に2回ぐらい使わせてもらってる。」


 「魔法の訓練?それとも武器の訓練?」


 「魔法の訓練のが多いかなぁ。時間がある時は、ペンスさんに弓の稽古つけてもらってるんだけど。」


 「そういえばルーベンって武器の適正って剣と弓だっけ?」


 「うん。アモは弓でしょ?」


 「そうね。良ければわたしも教えてもらえないかしら。ペンスさんの弓、凄かったし。まだ光魔法の訓練しかしてないのよね。」


 エナ村でのペンスさんの活躍は、今でも鮮明に思い出す。


 「そこは父上とペンスさんに聞いてみないとね。でも弓術に興味があるんだ。ちょっと意外かな。」


 「エナ村の事もあったしね。少しは戦える力もあった方がいいって思っただけよ。」


 「そうだね。……あっ!話しをしてたら、気が付かなかった。あそこ、あれが僕の家。」


 「いきなりね。……へぇ〜大きいし良い家じゃない。庭も手入れしてあるし、流石、隊長ロキさんの家って感じだわ。ルーベン、お母さん呼んでるわよ。」


 少し息の荒い母上がこっちにきた。

 「ルーベンちゃん。アモちゃん。歩くの早いわよ。」


 「ごめんなさい。話しに夢中で、そういえば引っ越し先は何処なんです?僕の家まで来ちゃいましたけど。」


 すると自信溢れる笑顔で予想外の事を口にした。

 「ふふふ。驚きなさい。ここが最後の引っ越し先候補よ!!」


 「えっ?えぇーーーー。ここって僕の家の……目の前じゃないですか。あれ?でもベン爺の家ですよね?」


 家も目の前で、良くあいさつをする。ご近所さん。仕事は引退して元大工の親方。皆ベン爺って呼んでいるから僕も呼んでるんだよね。とっても優しいお爺ちゃんだ。


 「まぁ。まずは説明しないとね。ルーカスさん、アモちゃん、いいかしら?」


 「はい。」「はい。」

 2人も驚きだろう。まさか引っ越し先候補がアートルド家の目の前だとは。


 「ここは、ベン爺さんって言う人の家なんだけど、家が2つ並んで建ってるでしょ?こっちがベン爺さんが住んでいるわ。もう1つは従業員の為の家だったの。元大工さんなんだけど、仕事も引退して、今は誰も使ってないから、掃除すれば住めるし自由に使ってくれて構わないとのことよ。あっ。噂をすれば…ベン爺さん。」


 髪は白髪の良く笑っているお爺ちゃんだ。

 大工の親方のイメージって恐いし、すぐ怒るって感じだったけど、ベン爺は違うよなぁ。引退すると丸くなるのかなぁ。

 「ホッホッ。話しは聞いとるよ。大変だったの。とりあえず中を見てみなさい。住む気があるなら少し掃除をすれば使えるじゃろうて。」


 僕も一緒に中を見てみた。

 今日見た中で1番広い。部屋数もあるし、キッチンも広い。文句なしの物件だけど……アートルド家の目の前か…ルーカスさん達がなんて思うかだよな。


 「どうじゃった?多い時はここに弟子達5人程で住んでおったから部屋数もそれなりじゃろ。ワシの住んでる隣じゃから、知らん奴には貸したくなかったからの、アートルド家から話しを聞いてお主達にならと思ったのじゃよ。それに気になる所があるなら、ワシがなんとかするぞ。元大工だからの。」


 「いえいえ。気になる所なんてひとつもありませんよ。」


 アモが興奮している。

 「広ーい。部屋も多い。日当たりもいい。ベンおじいちゃんが建てたの?」


 「そうじゃよ。ワシが建てたんじゃ。」


 「すごぉーい。わたしここがいい。ベンおじいちゃんも隣に住んで、目の前はルーベン達、文句ないじゃん。ねぇパパ?」キラキラ⭐︎


 「それもそうだが……何から何まで…ありがとうございます。」


 「気にしないで下さい。助け合うのはお互い様ですよ。」

 (何よりルーベンちゃんとアモちゃんの為に)


 「アモもここに住むと言っているし、でもここまで良い立地と建物。値段の方法はどのぐらいになるのでしょう。」


 「そうじゃのぉ……これでどうじゃ?」

 ベン爺は、3つの指を立てている。

 「銀貨3枚でいいぞ。」

 

 「えっ!?安すぎませんか?流石にそれは申し訳ないです。」


 「いいのじゃよ。どうせ使っとらんかったしの。お金は子供の為に使ってやりなさい。」


 「……ありがとうございます。」


 こうして引っ越し先も決定した。

 結局、母上の手のひらの上で踊らされているような気がするのだが……

 



 (ふふふ。上手くいったわね。これで楽しくなるわ。あの子にもさっそく伝えなくちゃ。)

 何かよからぬ事を企む母は、うっすら笑みを浮かべていた。


 

 


 

 

 


 

 

 銅貨1枚……100円

 銀貨1枚……1000円

 金貨1枚……10000円


 

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