第30話 ○○○の英雄
父上達が確認に向かったので今はアモと2人っきりだ。
「しかし、なによ?あれ?あんなの無茶苦茶よ。」
「ハハッ。みんなには内緒にしてくれるかな?そうしてもらえると、嬉しいな。」
「分かったわ。それに…ありがとね。本当に村を救ってくれて。」
「僕だけの力じゃない。みんなの力がなければ勝てなかった。もちろんアモの力もね。」
「そう?そうよね。わたしも頑張ったわよね。でも……なんというか……少しだけよ?ほんの少しルーベンの事、カッコいいと思ったわ。」
アモは顔を赤らめた。ルーベンを見ると
「スースースー。」
「はぁ。もう。……でもありがとう。ルーベンは、わたしの英雄よ。」
それから目を覚ましたのは、もう日が落ちかかる夕暮れ時。ベッドの上だった。
起きたら1番に父上とペンスが顔を出し、ウィングがかろうじて生きていて、魔道具でウィングに逃げられた事、でも両腕、右足がなく逃げた先で死んだ可能性もあると言われた。
まぁその可能性は低いと見てるけど。
それよりも父上に仕返しの心配はしなくていいか聞いた。
だって来る時も逃げる時も突然現れたんだし、安全な場所なんてないと考えるのが普通だからね。
それは父上にほぼ問題ないと言われた。
転移の魔法は昔から研究されていて、転移するには色々条件があるんだとか。詳しく説明すると時間がかかるって言われたんだけど、おそらくあれは覚えてないな。
今度自分で転移魔法について調べようと思う。
他の魔法についても詳しく知りたかったし。
確かに好きな時間、場所に、ホイホイ移動出来たら最強だしね。
ウィングが来た時はブラッドウルフに付けた魔道具を目印に、逃げた時はおそらくアジトに逃げたか……考えても仕方ないか。来たらまた返り討ちにすればいい。
やはりその為には、もっと力を付けないとなってぼやいたら、そこから説教が始まったよ。起きたばかりなのに。
雷魔法の事と鑑定出来る件は、父上とペンスさんには正直に話した。でも神様の事は言ってない。
魔法の事を、今まで黙ってたのは、そもそも使う気がなかったからって言ったら。2人とも妙に納得してたっけ。
他の皆には神様のおかげという事に父上とペンスさんが誤魔化したらしい。ちょっと無理矢理かと思ったが、皆は納得してるらしい。
雷魔法を発動する時にペンスさんがみんなを上手く、壁の内側に避難してくれたおかげで、僕が発動したのは見られていない。
そもそもあれを個人で発動出来るとも思わないし、僕も神様のおかげって事でいいと思う。
実際、この力は神様の力なんだし。
なので雷魔法の事は父上、ペンスさん、アモの3人って事になる。2人から洩れることはないと確信出来るが、心配なのはアモって事になる。
嘘をつくのが下手そうだし。
そんな事を考えているとお腹が鳴った。
グゥ〜。
「父上。お腹が空きました。」
「ハハッ。それもそうだな。起きられるか?外で勝利の宴を開いているよ。冒険者と村人が中心になってな。」
「それを早く言って下さい。どおりで外が騒がしいと思った。よいしょ。それじゃ行きましょう。食べ物がなくなります。」
「ハハッ!そうだな。でも食べ物のなくなる心配はしなくていいぞ。魔物の肉なら腐るほどあるからな。」
「ハァ〜私は外には………」
「父上どうしたんですか?ペンスさん。」
「それが…どこでどうなったのか分からんが…ハハッ。昨日、ほら…土壁で村を囲っただろ?作戦通りあれをペンスがやったと皆、思っててな。それはいいのだが…なぜか土王様って呼ばれてるんだ。しかもペンスは独身、更にドライカ騎士団副隊長だしな。」
「あ〜〜でもいい機会ですから、身を固めてみては?ふふふ。」
「ルー坊がそれを言いますか……ルー坊はいいですよねぇ。もう相手が決まっていて!!」
「なっ!?ペンスさん!!」
「そうだ。ルーベンそれを1番聞きたかったんだ。アンネにも話さないといかんしな。」
「何もありませんからぁ〜!!」
それから皆で宴を楽しんだ。
なんでも…戦いに勝利したら
亡くなった人達の分まで皆で食べて飲んで騒ぐのが決まりらしい。
「村の英雄!剣豪ロキ様。土王ペンス様にかんぱぁーーーーーい。」
「我らが神様。アナ様にも、かんぱぁーーーーい。」
エナ村の綺麗な星空を見上げて
確かにそれもありだなと思うルーベンだった。
(しかし何度目の乾杯だろ?酔っ払いはどこの世界も同じだな。)




