第29話 神の力
「一の魔法。神の雷。」
ウィングの遥か上空。
膨大な魔力の揺らぎ、そしてそれは落ちた。
「ハハッ逃げやがった。早く追えブラッドウルフ!!ん?なんだこの魔力は?」
その膨大な魔力が故に、発動と同時にウィングは気が付いた。上から何か来ると。
あくまでも勘、次同じことを出来るかと言ったら分からない。
ウィングは手を上に向けて魔力障壁を展開。
するとウィングは光の奔流に飲み込まれた。
ペンスは、土壁を全力展開。
ロキもそこに滑り込むように入ってくる。
すると…上空から極太の光が、落ちてくる……雷だと分かる人はいないだろう。色は金色に輝き、どこか神々しさも感じられた。
「耳を塞いで。伏せて下さい。」
「………なにあれ?」
「ルー坊。何ですかこれぇ。」
「ルーベン!!あとで……は」
ドンッ!!ドゴォーン!!バリバリッ!!
「キャーーーー。」
音と爆風が収まるまで、みんな寄り添い合った。
砂埃が舞っている。
「ゴホッゴホッ。みんな無事か?」
「わたしは口の中に砂が…ペッ!ペッ!」
「私は、耳が少しやられましたね。ルー坊は?」
「……すいません。僕はもう動けそうにありませんね。これが魔力切れですか。体が重い。眠りたい。」
「ルーベン後で話しがあるからな!!」
「はい。それより敵は?」
「これで生きているとは思えないが、そうだな。ペンス、確認しに行くぞ。ルーベンはここで寝ていろ。すまないがルーベンを頼めるか?」
「はい。わたしも魔力が少なくて回復魔法は唱えられませんけど。」
「そういえば礼を言っていなかったな。あの時はありがとう。君のおかげで助かったよ。」
「いえいえ。そんな。それよりも」
「そうだな。ペンス行こう。」
「はい。」
光が落ちた中心はクレーターが出来ている。
砂埃も収まってきた。
「これは?爪に牙か?」
「おそらくここがブラッドウルフが居た場所でしょう。爪や牙には魔法耐性もあったんでしょうが、それ以外は何も残っちゃいませんよ。しかもこんなボロボロじゃ使い物になりませんよ。あっ。」
「どうした?奴を見つけたか?」
「いえ、すいません。この爪。この一本だけ、これなら使えますよ。」
「全く。少し緊張感を持て。奴が…まぁ…無事ではないか……しかし本当に、この威力、範囲、凄まじいな。」
「隊長でも知らなかったんですか?そりゃ隠したくもなりますよね。でもルー坊なら無闇に放つことはありませんよ。」
「そうだな。」
ロキは目の端で砂埃の揺らぎを捉えた。
「ペンス!!」
「はい!!」
すぐに戦闘態勢に移行する。
まだ砂埃で見えにくいが、ロキ達は急いでその場へ向かう。するとそこには倒れている奴がいた。
「ゴホッゴホッ。なんですか?あれは?なんですか?魔力障壁も命の玉も防御魔道具も、そして手も足も……すべてあの魔法に持っていかれた。」
そこには、所々黒く焦げ。両腕、そして右脚がなくなり、白衣の男であろう者が倒れていた。
ロキとペンスは倒れている者に剣を向ける。
「まさか、生きてるとは思わなかったが、丁度いい。死ぬ前に質問に答えてもらうぞ。目的はなんだ?魔物を使い村を襲って何を企む。それに1人では出来ないはず!他の仲間は?」
「ハハッ。すぐ殺さなくていいんですか?甘いですね。私も聞きたい事があるんですヨ。あの魔法は?魔法と言っていいのか分かりませんが…あれは誰が?まさか貴方達のどちらかが……それはありませんね。」
「質問に答えろ!!」
「そういえば名乗っていませんでしたね。私はウィング。魔道具を作るのが得意でして……」
するとウィングの胸にかかるペンダントのような物が光り始めた。
「どうせ死ぬんです。それなら一緒に逝きましょうヨ。」
「ペンス!!」
「はい。」
2人はウィングから急いで遠ざかった。すると
「引っかかりましたね。貴方達はすぐに私を殺すべきだった。」
ペンダントが赤く発光し、黒いモヤが出てきてウィングの全身を包んだ。
「くそっ。逃がさん!!」
気付いた時には遅く。ウィングは黒いモヤと共に姿を消したのであった。




