第28話 初めての雷魔法
ルーベンとアモは無事に西門前に戻る。
「ルー坊!!良かった…本当ヒヤヒヤしませたぜ。」
「あの手の輩は、自分の手を汚すのを嫌いますからね。それより皆は避難完了しましたか?」
「はい。全員、壁の内側へ避難完了してますぜ。しかしどこでそんな事を……」
「まぁそこは本に書いてあったんです!!それじゃぁ僕は魔法の準備に取り掛かります。ペンスさん!僕が父上を呼んだら、ペンスさんは全力の土壁をお願いします。」
「よし。信じてますぜ。ルー坊。」
それからルーベンは神の魔法、雷魔法の準備に取り掛かった。
目を瞑り集中する。
今まで雷魔法は1度も使用した事がない。
それでもルーベンは不思議と使い方、どんな魔法なのか分かっていた。
いざ雷魔法を使おうとすると、不思議とゼノ様の存在が確認出来る。優しく、それでいて力強い魔力。
まず魔法の発動するべく魔力を体内で練る。
これはどの魔法も一緒だが、その魔力量にルーベンは驚く。
なぜかと言うと…発動するには、ほぼすべて…5万近い魔力を持っていかれたからだ。
(ハハッ。魔力操作も制御もあったもんじゃない。)
これには理由がある。膨大な魔力を必要とする雷魔法。
そんな魔力を初めて使うルーベン。
操作も制御も不十分。発動するのに余計な魔力を消費し、しかもただぶっ放すだけの……本来の魔法とは程遠い、不恰好な魔法。
それでも神の力、神の魔法だ。
ルーベンは倒せると判断し、あとは敵に向かって放つだけ。狙いも必要ない。放てば勝手に当たってくれるから。
ここまで雷魔法を準備するよに、およそ3分。
ルーベンは静かに目を開ける。
ペンスさんとアモと目が合った。
「準備完了です。」
(流石は父上。強化したブラッドウルフを余裕で足止めをしている。)
「父上ーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
それだけでロキは判断する。
演技をやめて、ブラッドウルフの目に、一太刀入れてから全速力で退避した。
「ブラッドウルフよ。確かにパワーやスピードは上がったが……前のが強かったぞ。もう眠れ。」
「ハハッ。将が剣豪が逃げたぞ。無様!!無様だなぁ〜そのまま子供も仲間も見捨てて1人で逃げるかぁ?1人なら逃げられるかもなぁ。」
そしてルーベンは神の魔法の名前を静かに、力強く唱えた。
「一の魔法。神の雷。」