第24話 ペンスの実力
翌朝。
あと少しで日が昇る。
徐々に周りも明るくなって来た。
魔物達も続々と森から出てくる事だろう。
僕は塀の修理及び、石弾を使い塀の上からペンスさんと一緒に後方支援を行う。
攻撃に参加するのは父上も渋っていたが。僕の能力も知っているので、なんとか了解を得た。約束事はひとつ。塀の外側には出ない事を条件に。
「ルー坊!来ました。まず確認を。」
「はい。」
塀の上から魔物を確認出来た。
鑑定すると、やはり『獣の刻印』と出る。
「『獣の刻印』確認出来ました。」
「よし。エリナさん。私が矢を放ち魔物を倒します。その内に魔力感知をお願いします。」
「えぇ。分かったわ。」
僕とペンスさんと共に行動するのは、冒険者の2人。
女性の方が魔法を得意とするエリナさん。
男性の方が剣を得意とするジンさんだ。
2人とも実力者で、普段からチームを組んでるとのこと。Bランクの冒険者なんだとか。
ペンスさんが遠くにいる魔物に向かって、弓を引く。
「身体強化(小)。鷹の目!!」
自身のスキルを発動した。
スーッ。ギリギリッ!
ペンスさんが弓を使うのを初めて見た。
その所作は美しく。力強く矢を放つ。
パンッ!!シュッ!!
(凄い集中力。それに3本同時に……これが父上を支え、共に戦ってきた副隊長ペンスさんの実力。)
それぞれの矢が魔物達の目に刺さる。
一撃で絶命しただろう。
(あっ!もう次の矢を……違う!ここは戦場だ。僕にも出来る事を。)
「砂地•罠!!」
「ルー坊。助かります。エリナさん確認出来たら報告を。」
それからペンスさんの独壇場だった。
魔物達もペンスさんの攻撃を嫌い、死体を壁にしたり、草陰に隠れたり、弓だけで魔物の足を遅らせる。
およそ10分が経過したその時。
「……………いた。発見したわ。ここから北西に約1キロ。やはりマヤの森の入り口付近。」
父上に伝えられる。
「分かった。これから私がそいつを森から引きずり出す。それまではペンス。お前が指揮をとれ。あとは作戦通りに。」
「ハッ!」
「父上!どうか無事で。ドライカで母上も待ってます。帰って母上の美味しい料理を食べましょうね。」
「あぁ。ルーベンも無理だけはするなよ。あんまり帰りが遅いとアンネになんて言われるか分からんしな。」
「フフハッ。」「アハハッ。」
「……では、行ってくる。ジン殿、お願いする。」
「はい。……隠蔽!!」
父上の体が見えにくくなり、存在も薄れる。
「説明した通り、隠蔽のスキルはおよそ5分です。その間、自身のスキル、魔法を使うと強制的に解除されますからね。」
「あぁ。感謝する。では行ってくる。」
こうして父上は森へ向かって行った。
(ご無事で。そしてどうかアナ様、神のご加護を……)