第23話 前夜
その日の夜。
日が沈むと魔物達は大人しくなった。
警戒は怠らないが、本格的な戦闘は明日の朝だろうと父上は言っていた。
ルーベンは1人で座りながら空を見上げる。ドライカと比べてエナ村の空は広くて星も綺麗だった。
先程、騎士の人達が話している事を聞いてしまった。今日だけで村人が10人、冒険者の方が2人…合計で12人の人が亡くなったと聞いた。
初めての経験。初めての戦場。
僕にもう少し力があれば……もう少し早く到着すれば……助けられたのだろうか。そんな事を考えていると、後ろから近づいてくる足跡が聞こえる。父上かペンスかなと思い振り向くと。
1人の少女が立っていた。
「君は…確か……。」
「私はアモよ。ラーベン?いやルーベン?だったかしら?鑑定の儀でジロジロ見られてたから覚えてた。」
「あ〜あの時はごめん。僕はルーベン。ルーベン•アートルド。」
「わたしの事は特別にアモって呼んでいいわ。わたしもルーベンって呼ぶから。フンッ。」
(強気な子だな。)
「分かった。よろしくアモ。」
「よろしく。ルーベン。それで…その…ありがとう。ルーベンも助けに来てくれたって聞いたから。」
「そんな、僕なんかなにも……土魔法で壊れた塀を治したり、そんな事しか出来なくて。アモの事は村の人から聞いたよ。回復魔法、凄かったんだって?もう魔力切れの方は大丈夫なの?」
「寝たら治ったわ。それにわたしは凄くなんてないわ。今日だけで、もっと力があればって何度思ったことか分からないもの。」
「同じだね。僕も今、同じこと考えてた。」
「わたしは決めたの。もっともっと力をつけてパパの腕を治すって。男の子なんだからグジグジしない!!」
「アモは強いね。…なんか元気が出てきたよ。ありがとう。」
「フンッ。分かればいいわ。」
それから少しの静寂……声を出したのはルーベン。
「僕ね……自分に見合わない力があるんだ。」
「確か…闇魔法だったかしら?」
「そんなところかな。明日は、きっと今日より厳しい戦いになる。もう誰1人僕が死なせはしないから。」
「そう。怪我したら、わたしにいつでも言いなさい。治してあげるから。」
「うん。」
「おーい。ルー坊。」
ペンスさんの声だ。
「あっいたいた。そろそろ休まないと………お邪魔でしたね。しかし、その歳でもう女の子を口説くとは。」
「なっ!?違いますから。アモそうですよね?」
「そうよ。こんなチンチクリン。」
「へぇー。でも元気がある事はいいことです。戦闘中は休める時に休むのも大切な事ですからね。そろそろ休みましょう明日は早いですから。」
「そうですね。」
こうして明日の作戦に向け眠りについた。




